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妹の方が良いと婚約を破棄されました。え、本当に?!

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「事情は分かりました。
貴方と私との婚約破棄は承りますわ。」

「あぁ、理解してくれて嬉しいよ。」

「私の妹は、まだ婚約を結ぶことの出来る年齢ではありませんので、5歳以上になってからお申し出くださいませ。」

「分かった。」

「では、どうぞお帰りくださいませ。
父には、私の方から説明しておきますわ。」

「あぁ、父上にはこちらで説明しておくよ。」

「はい、よろしくお願いいたしますわ。」

本当に、妹に婚約を変えようと思われているのね...父も母も、どうなさるのかしら?
父は仕事ばかりでしたし、母とは長らく離れておりましたし、戸惑ってしまってあまり関係を持ってこなかったので、お2人がどのようにお考えになられるのかが分かりませんわね。

「お嬢様、奥様がお茶をご一緒したいそうです。」

「あら、申し訳ないけれど、これから友人のお茶会に行くので、母とのお茶はお断りしてくださいませ。」

「お嬢様?!
もう少し奥様との交流を持ってくださいませ。」

「あら、なぁに?
私には予定があるのだから、今日は無理よ。
そもそも、10年も放っておいたのだから多少会わなくとも大丈夫でしょう?」

突然お茶をしたいと言われましても、私にも予定があるのよ?
毎回母に合わせることは出来ませんわ。
母の希望で妹の夜泣きに対応なさっておられますので、お昼になる少し前まで眠っておられる母とは朝食の時間が合いませんの。
私は、お昼は執務室で執務の合間に軽食を摂りますのよね。
けれど、夜会に参加する日以外は、なるべく一緒に夕食を摂っているのですから、母との交流はしておりますわよね?
ほら、別に今日お茶をせずとも大丈夫でしょう?

「そんな悲しいことを言わないでください。
奥様は、魔女見習いの育成のために、泣く泣く向かわれたのですよ?」

「あら、そんなの知らないわ。
私、何の説明も受けていないもの。」

「説明いたしましたでしょう?!」

「えぇ、私のお母様は遠くに行かれたのだと、そう聞きましたわ。
遠くに行かれた理由や場所などは機密もあるからと教えてくださらず、ただ、遠くに行かれたのだとしか教えていただけませんでしたわね。
母からのお手紙もなく、私からお手紙を送ることも出来ないと拒否されましたわ。
ですから、あぁ、私のお母様はもう亡くなられているのだと、もう二度とお会いすることは出来ないのだと、そう認識しておりましたの。」

「そ、それは...でも!」

「あぁ、
『奥様の葬儀を行っていないでしょう?』
なんて言わないでくださいね?
あの頃の私は、自分は幼いから参加させて貰えなかったのだと、そう悟っておりましたのよ。」

父も、使用人達も、母の行方を探す私に対して面倒くさそうにしておられましたでしょう?
母のことを聞くと、面倒くさそうに溜め息を吐かれてから、
『奥様は、遠くに行かれたのです。
お嬢様、そろそろ理解してくださいませ。』
と、皆様同じ返答しかしなかったわ。
ですから、母はもう亡くなられたのだと、そう理解いたしましたのよ?
誰も、
『奥様はお仕事で遠くに行かれた。』
と、ひと言も言わなかったでしょう?
それでも、勘違いをしてしまった私の方が悪いと言うの?
説明不足であったご自分達が悪いのでしょう?
私だけを責めるのは止めていただきたいわ。
私は、戸惑うことも許されないの?

「お嬢様...」

「母が帰ってきたから、直ぐに昔の通りに戻れるだなんて思わないでくださいませ。
私にとって、恋しい母はもう亡くなられているのですわ。
今更お会い出来ても、もう恋しいとは思えませんの。
私と母にとって、適切な距離を取らせていただきますわ。」

「どうして...?」

「どうして?と、貴女達が私にお聞きになられますの?
父も母も悪いですけれど、貴女達も悪いでしょう?
私への説明が不足していたのは、否めませんもの。
それとも、私が調べなかったのが悪いとでも?
既に亡くなられているのだと思っているのに、調べるなんていたしませんわ。」

「あ、で、ですが!
奥様は歩み寄ろうとなさっておられます!」

「歩み寄ろうとしておられるからなんだと言うのです?」

「努力なされば、元に戻ることも出来るでしょう?!
旦那様も、昔のように仲の良いお2人をお望みなのですよ?!」

父が望んでいるから何だと言うの?
私のことを放っておいたのは、父も同じでしょう?
母のことをきちんと説明せずに、仕事にかまけてばかりいたのは事実ですわ。





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