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妹の方が良いと婚約を破棄されました。え、本当に?!
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「申し訳ないのだが、君との婚約を破棄させてもらう。」
女癖の悪い貴方との婚約を、そちらから破棄してくださるのはとても嬉しいですわ!
どんなに有効な証拠を揃えても、何人もの女性と不貞を行っておられるのだと何度訴えても、公爵家の権力でもって軽く揉み消されましてしまいますのよね。
申し訳ないと仰っておられますけれど、全く申し訳なさそうに見えないのは何故かしら?
ここへは謝罪にきた筈ですのに、こうしてソファにだらしなく座り居丈高な態度をとられるだなんて、何をお考えなのでしょうか?
普段の言動から垣間見えてはおりましたけれど、公爵子息であるから自分は偉いと勘違いしているみたいですわね。
スペアですらない三男ですから、伯爵家を継ぐ私と婚姻させることにより体裁を保とうとして、殆ど無理矢理に結ばれた婚約でしたけれど、それを破棄してこの方はどうなさるのかしら?
「...何故でしょう?」
一応、理由を聞いておきますわね。
私にも理解できる内容ならば良いのだけれど...この方の思考回路は分かりませんわ。
「理由?あぁ、一応説明が必要か...。
君にも理解できるように簡単に言うと、君の妹君と婚約を結ぶことにしたからだ。」
「そうですか......え、正気ですか?!」
あぁ、そういう...ん?ちょっと待ってくださいませね?!
私の妹と婚約を結ぶことにしたですって??
理解できる範囲を軽々しく飛び越えないでくださいませ!
頭がおかしくなったとしか思えませんわ。
「正気に決まっているだろう!
失礼だぞ?」
失礼?いいえ、貴方が馬鹿な発言をなさったのは明白なのですから、正気を疑われるのは仕方のないことでしょう?
そもそも、私には既に婚約者がいたにも関わらず、存分にお家のお力をお使いになられて無理矢理に結ばれた婚約を、理不尽にもそちらから破棄されるのですよ?
全ての責はそちらにありますのに、とうしてこう偉そうなのかしら?
無理をして結ばれた姉との婚約を破棄なさるのに、その妹と婚約など結べる筈がありませんわ。
「私の妹は、まだ、生後半年ですのよ!
それなのに、貴方との婚約など、たとえ公爵家のお力をお使いになられたとしても結べる筈ありませんわ。」
そして、私が貴方の正気を疑う一番の理由は、私の妹が生まれたばかりだからですわ!
生まれたてのホニャホニャした状態から大分成長いたしましたので、首も座り、1人で座ることも出来るようにはなりましたけれど、まだ生後半年なのですよ?
婚約の可能な年齢ではありませんもの...頭が可笑しいとしか言えませんわ。
「君の妹君は、かの有名な魔女マグナレーダ殿の娘だろう?
我が家に利益をもたらすのは妹君の方だ。」
えぇ、たしかに、マグナレーダは有名な魔女ですし、妹の母ですわ。
...私の母でもありますけれども。
私が5歳の誕生日を迎えた直ぐ後に、とある教会の孤児の中から魔女見習いが現れまして、母はその方の教育の為にと、その教会へと足を運んでおりましたの。
それから10年経って、魔女見習いがやっと一人前の魔女となられましたので、2年前に我が家へと戻ってきましたのよね。
5歳以前の記憶は朧気ですし、母からの私に宛てた手紙などが来ることもありませんでしたわ。
父を含めた周囲の方々から、私の母は遠いところに行ったのだと言い聞かされておりましたから、10年も経てば母は亡くなったのだと理解しておりましたの。
今更、魔女見習いの教育をしていたから側にいなかったのだと聞かされましても、恋しい母とは思えませんわ。
あ、母って生きてたのね?と、そのことはとても喜ばしいと感じましたけれどね?
父や使用人による説明が大雑把すぎましたし、母も手紙くらいは送れたのではないかと思いますもの。
まぁ、私のことなどどうでもよろしかったのでしょうけれど...一応母として認識して欲しかったのならば、多少は努力していただきたいものですわ。
ま、妹を生んでくださったことには感謝しておりますのよ?
無邪気に懐いてくれる妹は、とても可愛いですもの。
*
女癖の悪い貴方との婚約を、そちらから破棄してくださるのはとても嬉しいですわ!
どんなに有効な証拠を揃えても、何人もの女性と不貞を行っておられるのだと何度訴えても、公爵家の権力でもって軽く揉み消されましてしまいますのよね。
申し訳ないと仰っておられますけれど、全く申し訳なさそうに見えないのは何故かしら?
ここへは謝罪にきた筈ですのに、こうしてソファにだらしなく座り居丈高な態度をとられるだなんて、何をお考えなのでしょうか?
普段の言動から垣間見えてはおりましたけれど、公爵子息であるから自分は偉いと勘違いしているみたいですわね。
スペアですらない三男ですから、伯爵家を継ぐ私と婚姻させることにより体裁を保とうとして、殆ど無理矢理に結ばれた婚約でしたけれど、それを破棄してこの方はどうなさるのかしら?
「...何故でしょう?」
一応、理由を聞いておきますわね。
私にも理解できる内容ならば良いのだけれど...この方の思考回路は分かりませんわ。
「理由?あぁ、一応説明が必要か...。
君にも理解できるように簡単に言うと、君の妹君と婚約を結ぶことにしたからだ。」
「そうですか......え、正気ですか?!」
あぁ、そういう...ん?ちょっと待ってくださいませね?!
私の妹と婚約を結ぶことにしたですって??
理解できる範囲を軽々しく飛び越えないでくださいませ!
頭がおかしくなったとしか思えませんわ。
「正気に決まっているだろう!
失礼だぞ?」
失礼?いいえ、貴方が馬鹿な発言をなさったのは明白なのですから、正気を疑われるのは仕方のないことでしょう?
そもそも、私には既に婚約者がいたにも関わらず、存分にお家のお力をお使いになられて無理矢理に結ばれた婚約を、理不尽にもそちらから破棄されるのですよ?
全ての責はそちらにありますのに、とうしてこう偉そうなのかしら?
無理をして結ばれた姉との婚約を破棄なさるのに、その妹と婚約など結べる筈がありませんわ。
「私の妹は、まだ、生後半年ですのよ!
それなのに、貴方との婚約など、たとえ公爵家のお力をお使いになられたとしても結べる筈ありませんわ。」
そして、私が貴方の正気を疑う一番の理由は、私の妹が生まれたばかりだからですわ!
生まれたてのホニャホニャした状態から大分成長いたしましたので、首も座り、1人で座ることも出来るようにはなりましたけれど、まだ生後半年なのですよ?
婚約の可能な年齢ではありませんもの...頭が可笑しいとしか言えませんわ。
「君の妹君は、かの有名な魔女マグナレーダ殿の娘だろう?
我が家に利益をもたらすのは妹君の方だ。」
えぇ、たしかに、マグナレーダは有名な魔女ですし、妹の母ですわ。
...私の母でもありますけれども。
私が5歳の誕生日を迎えた直ぐ後に、とある教会の孤児の中から魔女見習いが現れまして、母はその方の教育の為にと、その教会へと足を運んでおりましたの。
それから10年経って、魔女見習いがやっと一人前の魔女となられましたので、2年前に我が家へと戻ってきましたのよね。
5歳以前の記憶は朧気ですし、母からの私に宛てた手紙などが来ることもありませんでしたわ。
父を含めた周囲の方々から、私の母は遠いところに行ったのだと言い聞かされておりましたから、10年も経てば母は亡くなったのだと理解しておりましたの。
今更、魔女見習いの教育をしていたから側にいなかったのだと聞かされましても、恋しい母とは思えませんわ。
あ、母って生きてたのね?と、そのことはとても喜ばしいと感じましたけれどね?
父や使用人による説明が大雑把すぎましたし、母も手紙くらいは送れたのではないかと思いますもの。
まぁ、私のことなどどうでもよろしかったのでしょうけれど...一応母として認識して欲しかったのならば、多少は努力していただきたいものですわ。
ま、妹を生んでくださったことには感謝しておりますのよ?
無邪気に懐いてくれる妹は、とても可愛いですもの。
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