32 / 66
第31話 役に立てたかな?
しおりを挟む
「アリ、ス……」
ネムリネズミはぜえぜえと荒い息を吐きながら、重そうな足で少しずつ私に歩み寄ってきた。
(な、んで……?)
初めて彼女に出会い目線が交わった時には、あれほど強烈な恐怖と嫌悪感を抱いていたというのに……今は、平気で彼女の緑色の瞳を見つめ返すことができる。
「……アリ、ス……ア、リス……」
「……っ!!」
ぐらりと揺れて倒れそうになったネムリネズミの体を、すんでのところで抱きとめた。
立つことすらままならない様子の彼女を考慮し、自身の片腕を枕代わりにして後頭部を支えたままゆっくりと屈みこんで地べたに座らせると、突然がしりと左肩を掴まれる。
何事だろうかと驚いて彼女の顔に目線を落とせば、虚ろな瞳が私を見上げていた。
「ネムリネズミ……大丈夫、なの?」
「……ア、リス、」
私の首に腕を回して肩に顔を埋め、ネムリネズミはとても弱々しい力で抱きついてくる。
汗の滲む背中をそっと撫でれば、彼女の腕に少しだけ力が増した。
「ねえ、本当にどうしたの……? 大丈夫? お医者様に診てもらった方が、」
「……ねえ、アリス……アリスは……まだ、『僕』のことが怖い……? 今でも『僕』が、嫌い……?」
蚊の鳴くような、か細い声で問う彼女。
怖いか?と聞かれたら、答えは一つだ……もう、怖くはない。
嫌いか、という問いに対しての言葉はもう、決まっている。
「……いいえ、怖くなんかないわ。嫌いでも、ない。私は、ネムリネズミのことが……あなたのことも、大切よ」
あのね、ネムリネズミ。私……なんとなくだけれど、気づいたの。
きっと、あなたは私の――……、
「……そう、そっかぁ……うん、そっか……よかった、よかったぁ……」
肩が、冷たい。
ネムリネズミの体はかすかに震えていて……恐らく彼女は今、泣いているのだろう。
「よかった……僕なんかでも、やっと……アリスの役に立てた……嬉しいなぁ、よかったぁ……」
「ネムリネズミ……」
「ごめんね、アリス。ごめんね……僕は、頭の悪いネズミだから……役に立てなくて、ごめんね……“これくらい”しかできなくて、ごめんね……」
(ねえ、泣かないで……?)
彼女を抱きしめ返そうと伸ばした両腕は、その体をすり抜けてしまった。
「……え?」
そんなはずはない、ただの幻覚だとと自身に言い聞かせてもう一度同じ行動を繰り返すが、結果は変わらなかった。
ネムリネズミは今たしかに目の前にいるのに、彼女の体温を感じるというのに……まるで蜃気楼みたいに、触れることがままならない。
(そん、な……そんなはず、)
なんで?どうして?と頭の中で自問自答が渦巻き始めた頃、ネムリネズミの消え入りそうな声が鼓膜を震わせた。
「ごめんね、アリス……僕……嘘つきで、ごめんね……大嫌いだ、なんて……そんなの、嘘だよ……嫌いになれるわけ、ないんだ……」
「……待って……待って、ネムリネズミ……っ!」
「本当は……アリスのこと、大好きだよ……昔からずっと……アリス、大好きだよ……」
ネムリネズミは体を離すと、涙に濡れた瞳で笑う。
「……アリスが、幸せになるために……僕も、少しくらい……役に、立てたかな……?」
「!!」
まばたきを一つしたほんのわずかな時間で、ネムリネズミの体は完全に消えてしまった。
(そんな……)
今さっきまで確かにそこにいたのに、まだ私の体には彼女の体温が残っているというのに……ネムリネズミはもう、どこにもいない。
「ネムリ、ネズ、ミ……どうして……?」
ねえ、ネムリネズミ。どこに行ってしまったの?私、まだあなたに謝っていないじゃない。
過去に、私はあなたに何か酷いことを言ったんでしょう?酷い事をしたんでしょう?
私はまだ、きちんと謝れていないわ。いいえ……それどころか、思い出せてすらいない。
ねえ、どうして?
「何で、そんなこと……忘れてしまえたの……?」
頬を伝って落ちた涙が、エプロンドレスに小さな染みを作る。
「何が、あったの……? ねえ、ネムリネズミ……」
何で、どうして……私は、忘れてしまったの?
「……っ、どう、して……」
誰か、教えてほしい。私に、全てを。
こうして私が頭を悩ませている間にも、ネムリネズミは『存在しなかった』という認識にすり替わってしまうのだ。
それがたまらなく怖くて、寂しくて、悔しくて……辛くてたまらない。
ネムリネズミの言葉が何度も頭の中で反響し、行き場をなくした悲しみが心の中で渦巻いた。
「あーあ、消えちゃったんだ!」
「消えちゃったね!」
そんな私とは対照的に、双子はどうでもよさそうに肩をすくめて顔を見合わせる。
まるで「特別求めていなかったプレゼントを無理やり手渡され、致し方なく遊んでいる最中に壊れてしまった……たった『それだけ』の出来事だ」とでも言うかのような声音。
チェシャ猫はといえば、ネムリネズミが完全に消滅したのを目で確認した途端、安堵したように胸を撫で下ろして深く息を吐いただけで、他に何の言葉もなかった。
彼らのその様子に――はらわたが、煮えくり返りそう。
「……して……、どうして……なんで、あなた達は平気でいられるの!?」
急に声を荒げた私を見て、三人は驚いたように目を丸くした。
しかし「なぜ怒っているのかわからない」と言いたげな、「怒っているアリスの方がおかしいよ」とでも考えているかのような瞳がさらに神経を逆撫でする。
「なか、ま、が……仲間が、消えちゃったのよ!? もう、どこにも居ないのよ!? 悲しくないの!?」
瞬間、三人の表情が一変した。
嘲笑するかのように三日月型に歪められる口。氷のように冷たい瞳が、静かに私を映す。
たじろぐ私を見て、チェシャ猫は小さく鼻で笑い言葉を落とした。
「にゃんにゃん? 仲間ぁ? にゃーにぃ? それぇ?」
チェシャ猫が「ねぇ?」と双子に同意を求めれば、彼らは「ねー?」と首を傾げる。
「この世界にぃ……仲間なんてぇ、甘ったれた関係はにゃいんだよぉ?」
「上か下か、同等か」
「利用できるか、できないか。それだけだもん!」
双子の無邪気な笑顔にすら、今は狂気が見え隠れした。
「おかしいのはアリスだよ」
背後で、誰かが囁く。
エースとは違うその声で勢いよく振り返るが、そこには誰もいない。
「……っ、」
言いたいことは山ほどあるのに、言葉が喉で詰まってしまう。
まるで、私を見る三人の瞳が首を絞めているかのように。
「……あ! ねえ、兄弟。これって、お花のお兄さんに教えないといけないんじゃないかな? ネズミはクローバーだったもんね」
「ああ、そうだったね! 面倒だけど、お花のお兄さんに報告しに行かないといけないね。兄弟」
お花のお兄さん。
その言葉を脳が理解した瞬間、弾かれたように顔を上げて双子を見る。すると彼らは、にんまりとあやしげな笑みを向けてきた。
「花屋さん……花屋さん、は……まだ、いるの?」
「うんー、今はまだいると思うよぉ」
「……っ!!」
チェシャ猫が肯定した瞬間、足が勝手に動き始める。
まるで「早く彼の所へ行け」とでも言っているかのように。
(花屋さん、花屋さん……っ! あなたなら、まだそこにいてくれるって……私は、)
目の前にある道から続く先には、クローバーの街の建物が小さく見える。
一度呼吸を整えてから、花屋さんの元に向かって走りだした。
ネムリネズミはぜえぜえと荒い息を吐きながら、重そうな足で少しずつ私に歩み寄ってきた。
(な、んで……?)
初めて彼女に出会い目線が交わった時には、あれほど強烈な恐怖と嫌悪感を抱いていたというのに……今は、平気で彼女の緑色の瞳を見つめ返すことができる。
「……アリ、ス……ア、リス……」
「……っ!!」
ぐらりと揺れて倒れそうになったネムリネズミの体を、すんでのところで抱きとめた。
立つことすらままならない様子の彼女を考慮し、自身の片腕を枕代わりにして後頭部を支えたままゆっくりと屈みこんで地べたに座らせると、突然がしりと左肩を掴まれる。
何事だろうかと驚いて彼女の顔に目線を落とせば、虚ろな瞳が私を見上げていた。
「ネムリネズミ……大丈夫、なの?」
「……ア、リス、」
私の首に腕を回して肩に顔を埋め、ネムリネズミはとても弱々しい力で抱きついてくる。
汗の滲む背中をそっと撫でれば、彼女の腕に少しだけ力が増した。
「ねえ、本当にどうしたの……? 大丈夫? お医者様に診てもらった方が、」
「……ねえ、アリス……アリスは……まだ、『僕』のことが怖い……? 今でも『僕』が、嫌い……?」
蚊の鳴くような、か細い声で問う彼女。
怖いか?と聞かれたら、答えは一つだ……もう、怖くはない。
嫌いか、という問いに対しての言葉はもう、決まっている。
「……いいえ、怖くなんかないわ。嫌いでも、ない。私は、ネムリネズミのことが……あなたのことも、大切よ」
あのね、ネムリネズミ。私……なんとなくだけれど、気づいたの。
きっと、あなたは私の――……、
「……そう、そっかぁ……うん、そっか……よかった、よかったぁ……」
肩が、冷たい。
ネムリネズミの体はかすかに震えていて……恐らく彼女は今、泣いているのだろう。
「よかった……僕なんかでも、やっと……アリスの役に立てた……嬉しいなぁ、よかったぁ……」
「ネムリネズミ……」
「ごめんね、アリス。ごめんね……僕は、頭の悪いネズミだから……役に立てなくて、ごめんね……“これくらい”しかできなくて、ごめんね……」
(ねえ、泣かないで……?)
彼女を抱きしめ返そうと伸ばした両腕は、その体をすり抜けてしまった。
「……え?」
そんなはずはない、ただの幻覚だとと自身に言い聞かせてもう一度同じ行動を繰り返すが、結果は変わらなかった。
ネムリネズミは今たしかに目の前にいるのに、彼女の体温を感じるというのに……まるで蜃気楼みたいに、触れることがままならない。
(そん、な……そんなはず、)
なんで?どうして?と頭の中で自問自答が渦巻き始めた頃、ネムリネズミの消え入りそうな声が鼓膜を震わせた。
「ごめんね、アリス……僕……嘘つきで、ごめんね……大嫌いだ、なんて……そんなの、嘘だよ……嫌いになれるわけ、ないんだ……」
「……待って……待って、ネムリネズミ……っ!」
「本当は……アリスのこと、大好きだよ……昔からずっと……アリス、大好きだよ……」
ネムリネズミは体を離すと、涙に濡れた瞳で笑う。
「……アリスが、幸せになるために……僕も、少しくらい……役に、立てたかな……?」
「!!」
まばたきを一つしたほんのわずかな時間で、ネムリネズミの体は完全に消えてしまった。
(そんな……)
今さっきまで確かにそこにいたのに、まだ私の体には彼女の体温が残っているというのに……ネムリネズミはもう、どこにもいない。
「ネムリ、ネズ、ミ……どうして……?」
ねえ、ネムリネズミ。どこに行ってしまったの?私、まだあなたに謝っていないじゃない。
過去に、私はあなたに何か酷いことを言ったんでしょう?酷い事をしたんでしょう?
私はまだ、きちんと謝れていないわ。いいえ……それどころか、思い出せてすらいない。
ねえ、どうして?
「何で、そんなこと……忘れてしまえたの……?」
頬を伝って落ちた涙が、エプロンドレスに小さな染みを作る。
「何が、あったの……? ねえ、ネムリネズミ……」
何で、どうして……私は、忘れてしまったの?
「……っ、どう、して……」
誰か、教えてほしい。私に、全てを。
こうして私が頭を悩ませている間にも、ネムリネズミは『存在しなかった』という認識にすり替わってしまうのだ。
それがたまらなく怖くて、寂しくて、悔しくて……辛くてたまらない。
ネムリネズミの言葉が何度も頭の中で反響し、行き場をなくした悲しみが心の中で渦巻いた。
「あーあ、消えちゃったんだ!」
「消えちゃったね!」
そんな私とは対照的に、双子はどうでもよさそうに肩をすくめて顔を見合わせる。
まるで「特別求めていなかったプレゼントを無理やり手渡され、致し方なく遊んでいる最中に壊れてしまった……たった『それだけ』の出来事だ」とでも言うかのような声音。
チェシャ猫はといえば、ネムリネズミが完全に消滅したのを目で確認した途端、安堵したように胸を撫で下ろして深く息を吐いただけで、他に何の言葉もなかった。
彼らのその様子に――はらわたが、煮えくり返りそう。
「……して……、どうして……なんで、あなた達は平気でいられるの!?」
急に声を荒げた私を見て、三人は驚いたように目を丸くした。
しかし「なぜ怒っているのかわからない」と言いたげな、「怒っているアリスの方がおかしいよ」とでも考えているかのような瞳がさらに神経を逆撫でする。
「なか、ま、が……仲間が、消えちゃったのよ!? もう、どこにも居ないのよ!? 悲しくないの!?」
瞬間、三人の表情が一変した。
嘲笑するかのように三日月型に歪められる口。氷のように冷たい瞳が、静かに私を映す。
たじろぐ私を見て、チェシャ猫は小さく鼻で笑い言葉を落とした。
「にゃんにゃん? 仲間ぁ? にゃーにぃ? それぇ?」
チェシャ猫が「ねぇ?」と双子に同意を求めれば、彼らは「ねー?」と首を傾げる。
「この世界にぃ……仲間なんてぇ、甘ったれた関係はにゃいんだよぉ?」
「上か下か、同等か」
「利用できるか、できないか。それだけだもん!」
双子の無邪気な笑顔にすら、今は狂気が見え隠れした。
「おかしいのはアリスだよ」
背後で、誰かが囁く。
エースとは違うその声で勢いよく振り返るが、そこには誰もいない。
「……っ、」
言いたいことは山ほどあるのに、言葉が喉で詰まってしまう。
まるで、私を見る三人の瞳が首を絞めているかのように。
「……あ! ねえ、兄弟。これって、お花のお兄さんに教えないといけないんじゃないかな? ネズミはクローバーだったもんね」
「ああ、そうだったね! 面倒だけど、お花のお兄さんに報告しに行かないといけないね。兄弟」
お花のお兄さん。
その言葉を脳が理解した瞬間、弾かれたように顔を上げて双子を見る。すると彼らは、にんまりとあやしげな笑みを向けてきた。
「花屋さん……花屋さん、は……まだ、いるの?」
「うんー、今はまだいると思うよぉ」
「……っ!!」
チェシャ猫が肯定した瞬間、足が勝手に動き始める。
まるで「早く彼の所へ行け」とでも言っているかのように。
(花屋さん、花屋さん……っ! あなたなら、まだそこにいてくれるって……私は、)
目の前にある道から続く先には、クローバーの街の建物が小さく見える。
一度呼吸を整えてから、花屋さんの元に向かって走りだした。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

シャーロック・モリアーティ
名久井悟朗
ミステリー
大正時代日本によく似た世界。
西岩森也(にしいわ しんや)という、放蕩が過ぎ家を追い出された少年がいた。
少年は何の因果か、誰の仕業か、他自共に認める名探偵にして最悪の性格破綻者寺、城冬華(てらしろ とうか)の下で働く事となり、怪事件の渦中へと足を踏み入れいていく。
強制憑依アプリを使ってみた。
本田 壱好
ミステリー
十八年間モテた試しが無かった俺こと童定春はある日、幼馴染の藍良舞に告白される。
校内一の人気を誇る藍良が俺に告白⁈
これは何かのドッキリか?突然のことに俺は返事が出来なかった。
不幸は続くと言うが、その日は不幸の始まりとなるキッカケが多くあったのだと今となっては思う。
その日の夜、小学生の頃の友人、鴨居常叶から当然連絡が掛かってきたのも、そのキッカケの一つだ。
話の内容は、強制憑依アプリという怪しげなアプリの話であり、それをインストールして欲しいと言われる。
頼まれたら断れない性格の俺は、送られてきたサイトに飛んで、その強制憑依アプリをインストールした。
まさかそれが、運命を大きく変える出来事に発展するなんて‥。当時の俺は、まだ知る由もなかった。

九竜家の秘密
しまおか
ミステリー
【第6回ホラー・ミステリー小説大賞・奨励賞受賞作品】資産家の九竜久宗六十歳が何者かに滅多刺しで殺された。現場はある会社の旧事務所。入室する為に必要なカードキーを持つ三人が容疑者として浮上。その内アリバイが曖昧な女性も三郷を、障害者で特殊能力を持つ強面な県警刑事課の松ヶ根とチャラキャラを演じる所轄刑事の吉良が事情聴取を行う。三郷は五十一歳だがアラサーに見紛う異形の主。さらに訳ありの才女で言葉巧みに何かを隠す彼女に吉良達は翻弄される。密室とも呼ぶべき場所で殺されたこと等から捜査は難航。多額の遺産を相続する人物達やカードキーを持つ人物による共犯が疑われる。やがて次期社長に就任した五十八歳の敏子夫人が海外から戻らないまま、久宗の葬儀が行われた。そうして徐々に九竜家における秘密が明らかになり、松ヶ根達は真実に辿り着く。だがその結末は意外なものだった。
皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~
saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。
前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。
国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。
自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。
幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。
自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。
前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。
※小説家になろう様でも公開しています
Amnesia(アムネシア)~カフェ「時遊館」に現れた美しい青年は記憶を失っていた~
紫紺
ミステリー
郊外の人気カフェ、『時游館』のマスター航留は、ある日美しい青年と出会う。彼は自分が誰かも全て忘れてしまう記憶喪失を患っていた。
行きがかり上、面倒を見ることになったのが……。
男装官吏と花散る後宮〜禹国謎解き物語〜
春日あざみ
キャラ文芸
<第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。応援ありがとうございました!>
宮廷で史書編纂事業が立ち上がると聞き、居ても立ってもいられなくなった歴史オタクの柳羅刹(りゅうらせつ)。男と偽り官吏登用試験、科挙を受験し、見事第一等の成績で官吏となった彼女だったが。珍妙な仮面の貴人、雲嵐に女であることがバレてしまう。皇帝の食客であるという彼は、羅刹の秘密を守る代わり、後宮の悪霊によるとされる妃嬪の連続不審死事件の調査を命じる。
しかたなく羅刹は、悪霊について調べ始めるが——?
「歴女×仮面の貴人(奇人?)」が紡ぐ、中華風世界を舞台にしたミステリ開幕!
伏線回収の夏
影山姫子
ミステリー
ある年の夏。俺は15年ぶりにT県N市にある古い屋敷を訪れた。大学時代のクラスメイトだった岡滝利奈の招きだった。屋敷で不審な事件が頻発しているのだという。かつての同級生の事故死。密室から消えた犯人。アトリエにナイフで刻まれた無数のX。利奈はそのなぞを、ミステリー作家であるこの俺に推理してほしいというのだ。俺、利奈、桐山優也、十文字省吾、新山亜沙美、須藤真利亜の6人は大学時代、この屋敷でともに芸術の創作に打ち込んだ仲間だった。6人の中に犯人はいるのか? 脳裏によみがえる青春時代の熱気、裏切り、そして別れ。懐かしくも苦い思い出をたどりながら事件の真相に近づく俺に、衝撃のラストが待ち受けていた。
《あなたはすべての伏線を回収することができますか?》
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる