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第29話 黒ウサギ
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(なんでだろう……)
私は、黒ウサギのことが少し苦手だ。
彼は別に威圧感を放っているわけではない。むしろ、基本的には人の良さそうな笑みを浮かべており、話しかけやすい雰囲気をまとっている方だ。
そう、不気味なほどに。
(黒ウサギの、この感じ……)
そうだ、このぼんやりとした既視感……彼は一応『ウサギ』のはずなのに、食虫植物に似ている。
自身の懐へわざと標的を惹き寄せて、油断した時に背後から食い殺そうとしているような……そういう意味で、彼は『話しかけやすい』のだと気がついた。
「急がなくても、遅刻なんてしないから大丈夫だよ。アリス」
辺りには木が生い茂っておりハートの城へ続く道は一本のため、真ん中で立ち塞がられるとそこを通るためには少しよけてもらう必要がある。
だが、黒ウサギはそんな素振りなど一切みせず、自分の腰に付けたチェーンから繋がる懐中時計を見て「まだ二時四十八分だ」と呑気なことを言っていた。
「あの、黒ウサギ……その、そこを通りたいんだけど……」
「ねえ、アリス。どこに行くの?」
まるで私の言葉など聞こえていなかったかのように、微笑みを浮かべる黒ウサギ。けれど、その目は全く笑っていないように見えた。
綺麗に貼り付けられた偽物の笑顔に、背筋が少しだけ寒くなる。
「ああ、もしかして……女王陛下に会いに行こうとか思ってるの?」
「……え、ええ。そうよ……だから、そこを通してくれる……?」
なぜ、彼の話に合わせてしまったのか自分でもわからない。
しかし、ここで「白ウサギに会いに行こうとしていた」「サタンを探している」なんて言えるわけがないのも確かだった。
(だって、)
彼があの二人を良く思っていないという事は、以前お城で目にしたやりとりから学習済みである。さすがの私でも、黒ウサギと一対一の状況で彼らの名前を出すほど馬鹿ではない。
「……」
「……っ、」
通してほしいと言っておきながら、無言で私を映す彼のルビー色の瞳にわずかな危機感を覚えて後ずさる。
少ししてから、黒ウサギは笑みを消し「ふーん……」と呟いて目線を逸らした。
なぜだろう。どうして、先ほどから脳は「逃げて」と警告し続け、もう一人の私は「彼の言葉に耳を傾けちゃいけないわ」と囁いてくるのだろうか。
「あ……あの、私……やっぱり、」
「……ははっ」
背を向けた瞬間――黒ウサギの小さな笑い声が耳に届き、直後に片腕を掴まれる。
彼の手を振り払う暇もなく、くるりと強引に体の向きを変えられ、そのままそばにあった木の幹へ背中を叩きつけられた。
「痛……っ!」
「ねえ、アリス?」
両手首を黒ウサギに片手で掴まれたまま頭の上に縫い付けられる。
私の名前を呼ぶ低い声にびくりと肩が跳ねれば、それを見た黒ウサギはたいそう楽しそうに喉の奥を鳴らして笑った。
(こ、こんなに歪んだ性格をしていたの……!? これが本性なのね!? この腹黒ウサギ……!!)
心の中で悪態をつくが、この状況を打破する効果なんて微塵も無い。
彼もエースのように心が読めるのなら、多少は効いていたかもしれ……いや、逆効果だっただろうか。
「離して……っ」
「いいことを教えてあげようか?」
耳元で囁かれると同時に、反対側のこめかみへ『何か』があてがわれる。
ゆっくりと目線をそちらにやれば、黒い手袋に覆われた彼の手には拳銃が握られており、その銃口は私の頭にぴたりとくっつけられていた。
「……え?」
「今、僕はジョーカーだ」
ああ、いけない。すっかり平和ボケをしていたわ。
いや……言うほど『平和』だったわけではないが、ここしばらくはランク持ちの人から銃口を向けられる事も、ナイフを突きつけられた事もなかったため、ジョーカー探しすら忘れかけていた。
(黒ウサギが、今、ジョーカー……?)
後悔しても後の祭り。しかし、一つだけとても小さな希望の光を見つける。
(そうよ)
黒ウサギは私を助けてくれたり、良く思ってくれているのだと受け取れるような発言をしていたこともあった。
そして、時計屋さんの言っていた『偽物ジョーカーが私を殺せる条件』は、
「私のことが嫌いな偽物ジョーカーだけが、私を殺せる……それなら、」
あの話が本当なら、黒ウサギは私を殺せない。
「そうだね……じゃあ、試してみようか」
彼は、にこりと笑って私の二の腕に銃口を向ける――次の瞬間、つんざくような音が森に響いた。
同時に二の腕はじくりと熱を帯び、少し遅れて激痛が体を駆け巡る。
「~~っ!? あぁ……っ!?」
不幸中の幸いなのか、黒ウサギがわざと的を外してくれたのか……弾丸は貫通したわけではなく、少し掠めて肉をえぐっただけのようだ。それでも痛いものは痛いし、もちろん血も出る。
(いたい、いたい……っ! やかれてるみたいに、)
両手は拘束されているうえ立ちっぱなしのため、患部を押さえることも体を丸めて痛みを逃すこともできない。
目の前の黒ウサギはただただ楽しそうに笑っていて、考えられる限りとても最悪の状況だ。
「痛い? あ、泣いても良いよ。僕はアリスが泣いても怒ったりしないから安心して」
(なに、言って……安心なんて、できるわけ……っ)
必死に涙を堪える私の顔を覗き込みながら、黒ウサギは空いている方の手で人差し指を立て、自身の心臓辺りをとんと叩く。
すると、一瞬ぼんやりとハートのマークが浮かび上がり、それはまばたきの間に蜃気楼のように消えてしまった。
「……いま、の」
「何をしたのか、知りたい? 僕は時計屋と違って嘘を吐くのが得意だから、ちゃんと『アリスのことが嫌いなジョーカー』になれる……自分の心を惑わせるくらい、息をするより簡単な事なんだよ。だから……アリスを殺してあげられるよ」
今すぐ頭を撃ち抜いてあげようか?
低く囁き、私の額に銃口を当てる黒ウサギ。
(そんな、こと)
望むわけがないのは聞く前からわかっているだろうに、この腹黒ウサギはどこまで性格が悪いのだろうか?
涙の滲む目できつく睨みつけてやれば、彼は「ん? ははっ、生意気だね」と相変わらず私の反応を楽しんでいて……本当に腹が立つ。
「……まあ、僕が本当に言いたかったのはこんな話じゃないんだけどね」
「なによ……!」
いい加減に手を離してほしいという気持ちを込めて軽く暴れてやるが彼は力を緩める気配もなく、もう一度先ほどのように自身の左胸を人差し指でとんと叩いてから拳銃を懐中時計に戻した。
「今から城に行ったって、女王陛下は居ないよ」
「……もしかして……女王様まで、消えたって言うの……?」
「あれ、もう知ってたんだ? アリスは理解が早くていい子だね。賢い賢い」
言葉を失う。
イカレウサギに続いて、女王様までいなくなってしまっただなんて。
「……」
黒ウサギは黙り込む私をちらりと見てから、撃たれた方の二の腕に顔を近づける。
兎耳の柔らかな毛が肌を掠めてくすぐったさに身をよじると、新たな痛みが全身を襲った。
「い、たっ……! い、痛いっ! 黒ウサギ、痛い……っ!」
「ん……?」
黒ウサギが、傷口を舐めている。
激痛は勿論だが、ぬるりとした舌の感触も気持ち悪い。
「やめ、て……っ、痛い……! お願い、やめ、」
「うるさいな……少しくらい大人しくしててよ」
「ゔっ……! 痛っ……!」
動かせる下半身で黒ウサギをどかそうともがけば、股の間に片足をねじ込まれ押さえつけられた。
なすがままになり、しばらくしてから患部に痛みを感じなくなってくると、黒ウサギはやっと口を離す。
彼は荒く息を吐く私の顎を空いている方の手で持ち上げ、親指で頬をするりと撫でてから「はい、治った」と言って笑った。
「……え?」
「アリス」
黒ウサギは口の回りに血をつけたまま、息のかかる距離まで顔を近づけてくる。
「ははっ……泣いちゃったの? アリスのその顔、すごく可愛いね」
「う、うるさい……っ!」
「ねえ……僕は簡単に、アリスのことを大嫌いになれるけど……時計屋は、自分に嘘がつけないくらいアリスのことが大好きだよね」
口元に三日月を描きながら赤い舌で血を舐めとるその姿はひどく妖艶だ。
ぼけっと無言で眺める私をよそに、黒ウサギは言葉を続ける。
「時計屋は……アリスが大嫌いな『アリス』のことを、大好きだ」
私が大嫌いな、私。
それを聞いて、ほんの一瞬だけ呼吸が詰まった。
「……私……私、は、」
「アリスは自分の事が大嫌い……だから、みんなもアリスが大嫌い」
「私は、私が……大嫌い……」
瞬間――フラッシュバックのように、映像と感覚が脳裏で鮮明に蘇った。
私は、黒ウサギのことが少し苦手だ。
彼は別に威圧感を放っているわけではない。むしろ、基本的には人の良さそうな笑みを浮かべており、話しかけやすい雰囲気をまとっている方だ。
そう、不気味なほどに。
(黒ウサギの、この感じ……)
そうだ、このぼんやりとした既視感……彼は一応『ウサギ』のはずなのに、食虫植物に似ている。
自身の懐へわざと標的を惹き寄せて、油断した時に背後から食い殺そうとしているような……そういう意味で、彼は『話しかけやすい』のだと気がついた。
「急がなくても、遅刻なんてしないから大丈夫だよ。アリス」
辺りには木が生い茂っておりハートの城へ続く道は一本のため、真ん中で立ち塞がられるとそこを通るためには少しよけてもらう必要がある。
だが、黒ウサギはそんな素振りなど一切みせず、自分の腰に付けたチェーンから繋がる懐中時計を見て「まだ二時四十八分だ」と呑気なことを言っていた。
「あの、黒ウサギ……その、そこを通りたいんだけど……」
「ねえ、アリス。どこに行くの?」
まるで私の言葉など聞こえていなかったかのように、微笑みを浮かべる黒ウサギ。けれど、その目は全く笑っていないように見えた。
綺麗に貼り付けられた偽物の笑顔に、背筋が少しだけ寒くなる。
「ああ、もしかして……女王陛下に会いに行こうとか思ってるの?」
「……え、ええ。そうよ……だから、そこを通してくれる……?」
なぜ、彼の話に合わせてしまったのか自分でもわからない。
しかし、ここで「白ウサギに会いに行こうとしていた」「サタンを探している」なんて言えるわけがないのも確かだった。
(だって、)
彼があの二人を良く思っていないという事は、以前お城で目にしたやりとりから学習済みである。さすがの私でも、黒ウサギと一対一の状況で彼らの名前を出すほど馬鹿ではない。
「……」
「……っ、」
通してほしいと言っておきながら、無言で私を映す彼のルビー色の瞳にわずかな危機感を覚えて後ずさる。
少ししてから、黒ウサギは笑みを消し「ふーん……」と呟いて目線を逸らした。
なぜだろう。どうして、先ほどから脳は「逃げて」と警告し続け、もう一人の私は「彼の言葉に耳を傾けちゃいけないわ」と囁いてくるのだろうか。
「あ……あの、私……やっぱり、」
「……ははっ」
背を向けた瞬間――黒ウサギの小さな笑い声が耳に届き、直後に片腕を掴まれる。
彼の手を振り払う暇もなく、くるりと強引に体の向きを変えられ、そのままそばにあった木の幹へ背中を叩きつけられた。
「痛……っ!」
「ねえ、アリス?」
両手首を黒ウサギに片手で掴まれたまま頭の上に縫い付けられる。
私の名前を呼ぶ低い声にびくりと肩が跳ねれば、それを見た黒ウサギはたいそう楽しそうに喉の奥を鳴らして笑った。
(こ、こんなに歪んだ性格をしていたの……!? これが本性なのね!? この腹黒ウサギ……!!)
心の中で悪態をつくが、この状況を打破する効果なんて微塵も無い。
彼もエースのように心が読めるのなら、多少は効いていたかもしれ……いや、逆効果だっただろうか。
「離して……っ」
「いいことを教えてあげようか?」
耳元で囁かれると同時に、反対側のこめかみへ『何か』があてがわれる。
ゆっくりと目線をそちらにやれば、黒い手袋に覆われた彼の手には拳銃が握られており、その銃口は私の頭にぴたりとくっつけられていた。
「……え?」
「今、僕はジョーカーだ」
ああ、いけない。すっかり平和ボケをしていたわ。
いや……言うほど『平和』だったわけではないが、ここしばらくはランク持ちの人から銃口を向けられる事も、ナイフを突きつけられた事もなかったため、ジョーカー探しすら忘れかけていた。
(黒ウサギが、今、ジョーカー……?)
後悔しても後の祭り。しかし、一つだけとても小さな希望の光を見つける。
(そうよ)
黒ウサギは私を助けてくれたり、良く思ってくれているのだと受け取れるような発言をしていたこともあった。
そして、時計屋さんの言っていた『偽物ジョーカーが私を殺せる条件』は、
「私のことが嫌いな偽物ジョーカーだけが、私を殺せる……それなら、」
あの話が本当なら、黒ウサギは私を殺せない。
「そうだね……じゃあ、試してみようか」
彼は、にこりと笑って私の二の腕に銃口を向ける――次の瞬間、つんざくような音が森に響いた。
同時に二の腕はじくりと熱を帯び、少し遅れて激痛が体を駆け巡る。
「~~っ!? あぁ……っ!?」
不幸中の幸いなのか、黒ウサギがわざと的を外してくれたのか……弾丸は貫通したわけではなく、少し掠めて肉をえぐっただけのようだ。それでも痛いものは痛いし、もちろん血も出る。
(いたい、いたい……っ! やかれてるみたいに、)
両手は拘束されているうえ立ちっぱなしのため、患部を押さえることも体を丸めて痛みを逃すこともできない。
目の前の黒ウサギはただただ楽しそうに笑っていて、考えられる限りとても最悪の状況だ。
「痛い? あ、泣いても良いよ。僕はアリスが泣いても怒ったりしないから安心して」
(なに、言って……安心なんて、できるわけ……っ)
必死に涙を堪える私の顔を覗き込みながら、黒ウサギは空いている方の手で人差し指を立て、自身の心臓辺りをとんと叩く。
すると、一瞬ぼんやりとハートのマークが浮かび上がり、それはまばたきの間に蜃気楼のように消えてしまった。
「……いま、の」
「何をしたのか、知りたい? 僕は時計屋と違って嘘を吐くのが得意だから、ちゃんと『アリスのことが嫌いなジョーカー』になれる……自分の心を惑わせるくらい、息をするより簡単な事なんだよ。だから……アリスを殺してあげられるよ」
今すぐ頭を撃ち抜いてあげようか?
低く囁き、私の額に銃口を当てる黒ウサギ。
(そんな、こと)
望むわけがないのは聞く前からわかっているだろうに、この腹黒ウサギはどこまで性格が悪いのだろうか?
涙の滲む目できつく睨みつけてやれば、彼は「ん? ははっ、生意気だね」と相変わらず私の反応を楽しんでいて……本当に腹が立つ。
「……まあ、僕が本当に言いたかったのはこんな話じゃないんだけどね」
「なによ……!」
いい加減に手を離してほしいという気持ちを込めて軽く暴れてやるが彼は力を緩める気配もなく、もう一度先ほどのように自身の左胸を人差し指でとんと叩いてから拳銃を懐中時計に戻した。
「今から城に行ったって、女王陛下は居ないよ」
「……もしかして……女王様まで、消えたって言うの……?」
「あれ、もう知ってたんだ? アリスは理解が早くていい子だね。賢い賢い」
言葉を失う。
イカレウサギに続いて、女王様までいなくなってしまっただなんて。
「……」
黒ウサギは黙り込む私をちらりと見てから、撃たれた方の二の腕に顔を近づける。
兎耳の柔らかな毛が肌を掠めてくすぐったさに身をよじると、新たな痛みが全身を襲った。
「い、たっ……! い、痛いっ! 黒ウサギ、痛い……っ!」
「ん……?」
黒ウサギが、傷口を舐めている。
激痛は勿論だが、ぬるりとした舌の感触も気持ち悪い。
「やめ、て……っ、痛い……! お願い、やめ、」
「うるさいな……少しくらい大人しくしててよ」
「ゔっ……! 痛っ……!」
動かせる下半身で黒ウサギをどかそうともがけば、股の間に片足をねじ込まれ押さえつけられた。
なすがままになり、しばらくしてから患部に痛みを感じなくなってくると、黒ウサギはやっと口を離す。
彼は荒く息を吐く私の顎を空いている方の手で持ち上げ、親指で頬をするりと撫でてから「はい、治った」と言って笑った。
「……え?」
「アリス」
黒ウサギは口の回りに血をつけたまま、息のかかる距離まで顔を近づけてくる。
「ははっ……泣いちゃったの? アリスのその顔、すごく可愛いね」
「う、うるさい……っ!」
「ねえ……僕は簡単に、アリスのことを大嫌いになれるけど……時計屋は、自分に嘘がつけないくらいアリスのことが大好きだよね」
口元に三日月を描きながら赤い舌で血を舐めとるその姿はひどく妖艶だ。
ぼけっと無言で眺める私をよそに、黒ウサギは言葉を続ける。
「時計屋は……アリスが大嫌いな『アリス』のことを、大好きだ」
私が大嫌いな、私。
それを聞いて、ほんの一瞬だけ呼吸が詰まった。
「……私……私、は、」
「アリスは自分の事が大嫌い……だから、みんなもアリスが大嫌い」
「私は、私が……大嫌い……」
瞬間――フラッシュバックのように、映像と感覚が脳裏で鮮明に蘇った。
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