14 / 66
第13話 白ウサギ
しおりを挟む
「……っ、邪魔をするでない!!」
「断る」
久しぶりに耳にする、低く落ち着いた声。
「……?」
恐る恐る瞼を持ち上げるが、私の首筋にはまだ刃が突きつけられたままで、目の前にいる女王様は大鎌の取っ手をしっかりと両手で握り締めている。
ではなぜ、私の首は繋がったままなのか……いや、そもそも全く痛みが無いということは、少しの切り傷すらついていないという事だ。
女王様を見る限り、以前双子の刃から助けられた時のように時が止まっている様子も無い。
(どう、なって……)
目線を移動させると、そこには――刃を掴んで止めている、黒い手袋に覆われた誰かの手があった。
怪我を負っているのか、手首を伝い落ちた血が大理石の床に小さな水たまりを作っている。
首だけで後ろを振り返れば、
「サ、タン……」
「お前は、いつ会っても死にかけているな」
眉を寄せ「はあ……」とわざとらしいため息を吐かれて思わずカチンときた。
「わっ、私だって! 好きで殺されかけているんじゃないわ!」
「へえ、そうか。好きで殺されかけているんじゃない、か……なるほどな」
心底興味がなさげに抑揚のついていない声で吐き捨て、刃を掴む片手はそのままに、彼は空いている方の片手で背後から私の腰を抱き寄せる。
離して!と喚きながら抵抗するものの力の差は歴然で、大人しくサタンの胸に体を預けるしかなかった。
「女王陛下、だめよ」
サタンに妨害され、ぎゃーぎゃーとヒステリックを起こし始めた女王様。先ほどの白い兎耳を生やした女性はその背後に立ち、鈴を転がすようような声でたしなめる。
花が咲くように穏やかな笑顔を浮かべてはいるものの、その片手には小さな拳銃が握られており、銃口は女王様のこめかみに当てられていた。
「もうジョーカーではないわ。ね? これ以上はだめよ、女王陛下」
「うっ……白ウサギ……」
女王様は目尻いっぱいに涙を浮かべると、ついさっき『白ウサギ』と呼んだ女性に抱きつく。女性――白ウサギはその様子を見て拳銃を時計に戻し、「よしよし、いい子ね」と優しい手付きで女王様の頭を撫でた。
「まったく……アリス、お前……少しは人を疑ってかかったらどうなんだ?」
私を抱き寄せる手はそのままに、サタンは嫌味ったらしい文句を言って、鎌の刃を持つ手にぐっと力を込める。
瞬間、風を切るような音が耳に届き、瞬きの間に鎌はヘアピンへ戻ってしまった。
「……っ、サタン! 助けてくれたのは嬉しいわ、ありがとう! でも、いい加減に離して!」
あの手この手で暴れてやると、彼は喉で小さく笑ってからやっと手を離す。
「アリス……驚かせてごめんなさい、怪我はない?」
「え、ええ……大丈夫よ」
「良かった……」
白ウサギはお日様のようにあたたかい微笑みを浮かべてから、サタンを見て一度会釈し、こちらへ向き直り白い手袋に包まれた片手を差し出した。
「おかえりなさい、無事で良かった……今のアリスには改めて、自己紹介しておかなくちゃね。私は、白ウサギ。よろしくね」
***
赤い絨毯の敷かれた長い廊下で、黒ウサギとジャックの足音だけが小さく反響する。
相変わらず顔に笑みを貼り付けたままのジャックに対し、黒ウサギは無表情で口を開いた。
「あの場に残って、アリスを守らなくてよかったの?」
長いウサギの耳をぴょこりと揺らして顔を覗き込むと、ジャックの雰囲気がほんの少しだけ変わったような気配がする。
「今頃……女王は絶対、偽物ジョーカーになってると思うけど?」
「ああ、わかってるさ! けど、それでいいんだよ」
爽やかだった笑顔に、わずかな邪気が差す。軽い口調で落とされた騎士のセリフに、黒ウサギは深い意味を感じ取っていた。
あえて言い換えるのなら……まるで、
「アリスなんて、殺されてしまえばいいんだ」
ジャックは声を出さずに喉の奥で笑うと、目元に浮かべていた三日月型を消して黒ウサギを見る。
騎士は二、三度頷いた後に口を片手で覆い隠し、琥珀色の瞳を細めてクスクスと笑った。
「アリスが帰って来てから、このゲームが始まった時点で……俺が考えている事は、ずっと、ずっと……同じだよ。アリスは、死ねばいい。俺は……ルールに従うなら、偽物ジョーカーになっても絶対にアリスを殺してやれないし。だからさー、大嫌いな女王様だけど……俺の代わりにアリスを殺してくれるなら、言うことなし! 万々歳だ!」
無表情でジャックの話に耳を傾けている黒ウサギは、赤い二つのビー玉に騎士の姿を映したままで何の口出しもしない。ただ、手に持ったトランプの束を黙々とシャッフルさせていた。
ジャックはその様子を気にするでもなく、淡々と話を進めていく。
「俺は、女は嫌いだよ。ネムリネズミも、チェシャ猫も……女王陛下は、特に嫌いだ。でも、アリスだけはさ……」
そこで言葉を切ったジャックは、口を閉じて黒ウサギを見据えた。
トランプを混ぜ終わったらしい黒ウサギはジャックを見つめ返すと、くすりと笑って山札の上から三枚目までのトランプを手に取り、くるりとひっくり返してジャックに見せつける。
「ジョーカー二枚の間に、白紙のトランプが一枚。まさに、今のアリスの状況だね」
黒ウサギはさらに山札の上にあったトランプをもう一枚取り、先ほど引いたものと合わせた計四枚をジャックに手渡すと、残りの束を胸ポケットへしまった。
くるりと踵を返してジャックに背を向けると、黒ウサギは片手をひらひらと振りながら言葉を落とす。
「アリスは、今のみんなじゃ簡単には殺せないと思うよ。特に、君にはね。まあ……結局は『気持ちの問題』だし、せいぜい頑張ってね。ダイヤの騎士くん」
黒ウサギの姿が見えなくなった後、ジャックは先ほど受け取った四枚のトランプを見る。
一枚だけ裏面の柄が違うトランプは、表を見ると『クローバーの六』がえがかれていた。
「……」
クローバーの六と、ジョーカー二枚に挟まれた白紙のトランプ。ジャックはそれらを無言で眺めてから、胸ポケットのペンを抜き剣へ変化させる。
四枚のトランプを片手で頭上に投げ、舞い落ちる中からある一枚に狙いを定め、剣で真っ直ぐに突き刺すと……先ほどジョーカーだったはずの一枚が、ハートのQへ変化していた。
「なるほどなあ、黒ウサギさんはやっぱり言うことが違うぜ! うんうん……騎士は、アリスを簡単には殺せない。ね……」
ジャックは笑顔の消えた顔で呟きながら、足元に落ちていた白紙のトランプへ力任せに剣を突き立てる。
「ははっ……やってみなきゃわかんないだろ、そんな事はさ」
剣をペンに戻して胸ポケットへしまうと、白紙のトランプを一度踏みつけてから廊下を進んだ。
「黒ウサギさんってば、俺と言う『騎士』を見くびってもらっちゃ困るんだよなー! 騎士は”大切な人を守るのが仕事“なんだからさー! だから……俺だって、アリスを殺せるぜ。殺して見せる。だって、俺は……大好きな人のためならなんでもできる、従順な騎士だ。だから……アリスを、殺さなきゃな。なあ……お前だってそう思うよな、キング?」
「断る」
久しぶりに耳にする、低く落ち着いた声。
「……?」
恐る恐る瞼を持ち上げるが、私の首筋にはまだ刃が突きつけられたままで、目の前にいる女王様は大鎌の取っ手をしっかりと両手で握り締めている。
ではなぜ、私の首は繋がったままなのか……いや、そもそも全く痛みが無いということは、少しの切り傷すらついていないという事だ。
女王様を見る限り、以前双子の刃から助けられた時のように時が止まっている様子も無い。
(どう、なって……)
目線を移動させると、そこには――刃を掴んで止めている、黒い手袋に覆われた誰かの手があった。
怪我を負っているのか、手首を伝い落ちた血が大理石の床に小さな水たまりを作っている。
首だけで後ろを振り返れば、
「サ、タン……」
「お前は、いつ会っても死にかけているな」
眉を寄せ「はあ……」とわざとらしいため息を吐かれて思わずカチンときた。
「わっ、私だって! 好きで殺されかけているんじゃないわ!」
「へえ、そうか。好きで殺されかけているんじゃない、か……なるほどな」
心底興味がなさげに抑揚のついていない声で吐き捨て、刃を掴む片手はそのままに、彼は空いている方の片手で背後から私の腰を抱き寄せる。
離して!と喚きながら抵抗するものの力の差は歴然で、大人しくサタンの胸に体を預けるしかなかった。
「女王陛下、だめよ」
サタンに妨害され、ぎゃーぎゃーとヒステリックを起こし始めた女王様。先ほどの白い兎耳を生やした女性はその背後に立ち、鈴を転がすようような声でたしなめる。
花が咲くように穏やかな笑顔を浮かべてはいるものの、その片手には小さな拳銃が握られており、銃口は女王様のこめかみに当てられていた。
「もうジョーカーではないわ。ね? これ以上はだめよ、女王陛下」
「うっ……白ウサギ……」
女王様は目尻いっぱいに涙を浮かべると、ついさっき『白ウサギ』と呼んだ女性に抱きつく。女性――白ウサギはその様子を見て拳銃を時計に戻し、「よしよし、いい子ね」と優しい手付きで女王様の頭を撫でた。
「まったく……アリス、お前……少しは人を疑ってかかったらどうなんだ?」
私を抱き寄せる手はそのままに、サタンは嫌味ったらしい文句を言って、鎌の刃を持つ手にぐっと力を込める。
瞬間、風を切るような音が耳に届き、瞬きの間に鎌はヘアピンへ戻ってしまった。
「……っ、サタン! 助けてくれたのは嬉しいわ、ありがとう! でも、いい加減に離して!」
あの手この手で暴れてやると、彼は喉で小さく笑ってからやっと手を離す。
「アリス……驚かせてごめんなさい、怪我はない?」
「え、ええ……大丈夫よ」
「良かった……」
白ウサギはお日様のようにあたたかい微笑みを浮かべてから、サタンを見て一度会釈し、こちらへ向き直り白い手袋に包まれた片手を差し出した。
「おかえりなさい、無事で良かった……今のアリスには改めて、自己紹介しておかなくちゃね。私は、白ウサギ。よろしくね」
***
赤い絨毯の敷かれた長い廊下で、黒ウサギとジャックの足音だけが小さく反響する。
相変わらず顔に笑みを貼り付けたままのジャックに対し、黒ウサギは無表情で口を開いた。
「あの場に残って、アリスを守らなくてよかったの?」
長いウサギの耳をぴょこりと揺らして顔を覗き込むと、ジャックの雰囲気がほんの少しだけ変わったような気配がする。
「今頃……女王は絶対、偽物ジョーカーになってると思うけど?」
「ああ、わかってるさ! けど、それでいいんだよ」
爽やかだった笑顔に、わずかな邪気が差す。軽い口調で落とされた騎士のセリフに、黒ウサギは深い意味を感じ取っていた。
あえて言い換えるのなら……まるで、
「アリスなんて、殺されてしまえばいいんだ」
ジャックは声を出さずに喉の奥で笑うと、目元に浮かべていた三日月型を消して黒ウサギを見る。
騎士は二、三度頷いた後に口を片手で覆い隠し、琥珀色の瞳を細めてクスクスと笑った。
「アリスが帰って来てから、このゲームが始まった時点で……俺が考えている事は、ずっと、ずっと……同じだよ。アリスは、死ねばいい。俺は……ルールに従うなら、偽物ジョーカーになっても絶対にアリスを殺してやれないし。だからさー、大嫌いな女王様だけど……俺の代わりにアリスを殺してくれるなら、言うことなし! 万々歳だ!」
無表情でジャックの話に耳を傾けている黒ウサギは、赤い二つのビー玉に騎士の姿を映したままで何の口出しもしない。ただ、手に持ったトランプの束を黙々とシャッフルさせていた。
ジャックはその様子を気にするでもなく、淡々と話を進めていく。
「俺は、女は嫌いだよ。ネムリネズミも、チェシャ猫も……女王陛下は、特に嫌いだ。でも、アリスだけはさ……」
そこで言葉を切ったジャックは、口を閉じて黒ウサギを見据えた。
トランプを混ぜ終わったらしい黒ウサギはジャックを見つめ返すと、くすりと笑って山札の上から三枚目までのトランプを手に取り、くるりとひっくり返してジャックに見せつける。
「ジョーカー二枚の間に、白紙のトランプが一枚。まさに、今のアリスの状況だね」
黒ウサギはさらに山札の上にあったトランプをもう一枚取り、先ほど引いたものと合わせた計四枚をジャックに手渡すと、残りの束を胸ポケットへしまった。
くるりと踵を返してジャックに背を向けると、黒ウサギは片手をひらひらと振りながら言葉を落とす。
「アリスは、今のみんなじゃ簡単には殺せないと思うよ。特に、君にはね。まあ……結局は『気持ちの問題』だし、せいぜい頑張ってね。ダイヤの騎士くん」
黒ウサギの姿が見えなくなった後、ジャックは先ほど受け取った四枚のトランプを見る。
一枚だけ裏面の柄が違うトランプは、表を見ると『クローバーの六』がえがかれていた。
「……」
クローバーの六と、ジョーカー二枚に挟まれた白紙のトランプ。ジャックはそれらを無言で眺めてから、胸ポケットのペンを抜き剣へ変化させる。
四枚のトランプを片手で頭上に投げ、舞い落ちる中からある一枚に狙いを定め、剣で真っ直ぐに突き刺すと……先ほどジョーカーだったはずの一枚が、ハートのQへ変化していた。
「なるほどなあ、黒ウサギさんはやっぱり言うことが違うぜ! うんうん……騎士は、アリスを簡単には殺せない。ね……」
ジャックは笑顔の消えた顔で呟きながら、足元に落ちていた白紙のトランプへ力任せに剣を突き立てる。
「ははっ……やってみなきゃわかんないだろ、そんな事はさ」
剣をペンに戻して胸ポケットへしまうと、白紙のトランプを一度踏みつけてから廊下を進んだ。
「黒ウサギさんってば、俺と言う『騎士』を見くびってもらっちゃ困るんだよなー! 騎士は”大切な人を守るのが仕事“なんだからさー! だから……俺だって、アリスを殺せるぜ。殺して見せる。だって、俺は……大好きな人のためならなんでもできる、従順な騎士だ。だから……アリスを、殺さなきゃな。なあ……お前だってそう思うよな、キング?」
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

シャーロック・モリアーティ
名久井悟朗
ミステリー
大正時代日本によく似た世界。
西岩森也(にしいわ しんや)という、放蕩が過ぎ家を追い出された少年がいた。
少年は何の因果か、誰の仕業か、他自共に認める名探偵にして最悪の性格破綻者寺、城冬華(てらしろ とうか)の下で働く事となり、怪事件の渦中へと足を踏み入れいていく。
強制憑依アプリを使ってみた。
本田 壱好
ミステリー
十八年間モテた試しが無かった俺こと童定春はある日、幼馴染の藍良舞に告白される。
校内一の人気を誇る藍良が俺に告白⁈
これは何かのドッキリか?突然のことに俺は返事が出来なかった。
不幸は続くと言うが、その日は不幸の始まりとなるキッカケが多くあったのだと今となっては思う。
その日の夜、小学生の頃の友人、鴨居常叶から当然連絡が掛かってきたのも、そのキッカケの一つだ。
話の内容は、強制憑依アプリという怪しげなアプリの話であり、それをインストールして欲しいと言われる。
頼まれたら断れない性格の俺は、送られてきたサイトに飛んで、その強制憑依アプリをインストールした。
まさかそれが、運命を大きく変える出来事に発展するなんて‥。当時の俺は、まだ知る由もなかった。

九竜家の秘密
しまおか
ミステリー
【第6回ホラー・ミステリー小説大賞・奨励賞受賞作品】資産家の九竜久宗六十歳が何者かに滅多刺しで殺された。現場はある会社の旧事務所。入室する為に必要なカードキーを持つ三人が容疑者として浮上。その内アリバイが曖昧な女性も三郷を、障害者で特殊能力を持つ強面な県警刑事課の松ヶ根とチャラキャラを演じる所轄刑事の吉良が事情聴取を行う。三郷は五十一歳だがアラサーに見紛う異形の主。さらに訳ありの才女で言葉巧みに何かを隠す彼女に吉良達は翻弄される。密室とも呼ぶべき場所で殺されたこと等から捜査は難航。多額の遺産を相続する人物達やカードキーを持つ人物による共犯が疑われる。やがて次期社長に就任した五十八歳の敏子夫人が海外から戻らないまま、久宗の葬儀が行われた。そうして徐々に九竜家における秘密が明らかになり、松ヶ根達は真実に辿り着く。だがその結末は意外なものだった。
皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~
saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。
前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。
国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。
自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。
幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。
自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。
前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。
※小説家になろう様でも公開しています
Amnesia(アムネシア)~カフェ「時遊館」に現れた美しい青年は記憶を失っていた~
紫紺
ミステリー
郊外の人気カフェ、『時游館』のマスター航留は、ある日美しい青年と出会う。彼は自分が誰かも全て忘れてしまう記憶喪失を患っていた。
行きがかり上、面倒を見ることになったのが……。
男装官吏と花散る後宮〜禹国謎解き物語〜
春日あざみ
キャラ文芸
<第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。応援ありがとうございました!>
宮廷で史書編纂事業が立ち上がると聞き、居ても立ってもいられなくなった歴史オタクの柳羅刹(りゅうらせつ)。男と偽り官吏登用試験、科挙を受験し、見事第一等の成績で官吏となった彼女だったが。珍妙な仮面の貴人、雲嵐に女であることがバレてしまう。皇帝の食客であるという彼は、羅刹の秘密を守る代わり、後宮の悪霊によるとされる妃嬪の連続不審死事件の調査を命じる。
しかたなく羅刹は、悪霊について調べ始めるが——?
「歴女×仮面の貴人(奇人?)」が紡ぐ、中華風世界を舞台にしたミステリ開幕!
伏線回収の夏
影山姫子
ミステリー
ある年の夏。俺は15年ぶりにT県N市にある古い屋敷を訪れた。大学時代のクラスメイトだった岡滝利奈の招きだった。屋敷で不審な事件が頻発しているのだという。かつての同級生の事故死。密室から消えた犯人。アトリエにナイフで刻まれた無数のX。利奈はそのなぞを、ミステリー作家であるこの俺に推理してほしいというのだ。俺、利奈、桐山優也、十文字省吾、新山亜沙美、須藤真利亜の6人は大学時代、この屋敷でともに芸術の創作に打ち込んだ仲間だった。6人の中に犯人はいるのか? 脳裏によみがえる青春時代の熱気、裏切り、そして別れ。懐かしくも苦い思い出をたどりながら事件の真相に近づく俺に、衝撃のラストが待ち受けていた。
《あなたはすべての伏線を回収することができますか?》
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる