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第一話 夢占い
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「ワンダーランドは、地獄行き」
(ああ、まただわ)
二年前。十六回目の誕生日を迎えた日から、毎晩同じ夢を見る。
赤の生地に、黒でダマスク柄の描かれた壁紙。アンティーク調の部屋は、初めは何も無い簡素な空間だった。窓も灯りもない、静かな闇に包まれているはずの室内を視認できたのは、夢特有のご都合主義だったのだろうと解釈している。
部屋の真ん中に立ちすくむだけの私は、ただ呆然と『誰か』を待っていた。ような、気がする。
(……誰を?)
夢の中で一つ目の変化が起きたのは、その場所へ来るようになってから約三ヶ月後。
(灯りが、ついてる)
昨夜までは無かったはずのシャンデリアが、さも当たり前のような顔をして天井からぶら下がり、室内を仄かに照らしていた。
風もないのにゆらゆら揺れる、私の瞳と同じ、淡黄色の光。
なぜなのか。夢の中の私はその時、「ああ、やっぱり来てくれるんだ」と淡い期待を抱いたのだ。誰を待っているのかも、ここがどこなのかも分からないというのに。
そして更に三ヶ月後、二つ目の変化が起きる。
(……時計?)
カチコチ、カチコチ。壁に一つ飾られた振り子時計が揺れるたび、言い知れぬ焦燥感が微かに胸をざわつかせた。まるで、「早く、早く」と急かされているかのよう。
それからは三日おきに一つずつ時計が増え、狭い室内の壁を埋めていった。
いいや、それだけではない。もう以前の変化からどれくらいの間隔が空いているのか、遡って日付を数えるのも煩わしいのだが、部屋の中は少しずつ変わっていった。
突如、部屋の真ん中にぽつんと現れた椅子も変化の一つ。私の髪と同じ、薄く赤みを帯びたココア色。誰に促されたわけでもないのに、自然と「これは私のために用意されたものね」と理解し腰掛ける。
カチコチと主張するたくさんの時計の声に耳を傾けながら、その日も『誰か』を待っていた。
そして、今から約三ヶ月前に起きたのが一番大きな変化。
「アリス……」
今まで私しか居なかった夢の中の部屋に、ロリーナ姉さんが現れたのだ。
(姉さん……!)
彼女は、私の自慢の姉。
とても穏やかな人で、常に笑顔を絶やさず、怒りのままに声を荒げる事など滅多にない。いつでも相談に乗ってくれるし、頭だって撫でてくれて、毎晩「おやすみなさい」の前に力いっぱい抱き締めてくれる。暴力なんてものとは当然、無縁で……本当に優しくて、あたたかくて、お母様とは正反対の人。
私は、そんなロリーナ姉さんの事が大好きだ。
(夢の中に現れる姉は、夢占いではたしか……自分の分身って意味だったかしら?)
あまり詳しくないけれど、人間関係への警告夢という意味もあったかもしれない。
そんな事を考えながら立ち上がろうとして、気付かされた。
(え……? 立て、ない)
まるで、両手首は肘掛に紐でくくりつけられ、胴は背もたれにベルトで固定されているかのように、体を動かす事がままならない。
そういえば、先ほどから私の声帯は、音の出し方を忘れてしまっているのではないだろうか?
(姉さん! ロリーナ姉さん……!)
何度呼びかけても、開いた口からはただ空気が吐き出されていくだけで、彼女の鼓膜を揺らすのは困難だった。
行動が制限され声も出せないなんて、夢占いではろくな結果が出ないでしょうね。なんて悪態を心の中で呟くと同時に、
「助けて」
ロリーナ姉さんがぽつりとこぼしたのは、そんな言葉だった。
けれど、目の前に立ちすくむ彼女の瞳はすぐ側に居るはずの私を映しておらず、どこか虚空を見つめながら姉さんは繰り返す。
「お願い、助けて」
(ねぇ、ロリーナ姉さん。誰を、助けたらいいの? 教えて)
「助けて……」
ロリーナ姉さんはゆっくりとした動作で俯いたかと思えば、ついには両手で顔を覆いわんわんと泣き始めてしまった。
落ち着いてよく見ると、その体はあちこちに酷い怪我を負っているらしく、身につけている服は何か強い力で切り裂かれたかのような破れ方をしている。
(事故に、遭ったの?)
けれど、いつ?
姉さんがここに現れた時、彼女の肌は白く透き通っていて怪我の一つも見えていなかったし、服も見慣れた綺麗な空色のワンピースだった。その上に付けているミルク色のエプロンだって、どこにも傷は見当たらなかったように記憶している。
それじゃあ、なんで?
姉さんは、夢を介して私に何か伝えようとしているのだろうか。
いったい、何を?
「あなたのせいでしょう!?」
「―─!!」
その日は、そこで目が覚めた。
ロリーナ姉さんの怒声を耳にしたのは後にも先にも『あれ』が初めてで、意識が覚醒してからもあの時の顔と声が何度も脳裏で鮮明に蘇り、心臓がばくばくと嫌な音を立て続ける。
私のせい。それはいったい、どういう意味?
「そのままの意味さ」
先月、夢の中に初めて面識のない人物が現れた。
いわゆる、天然パーマと呼ばれる類だろうか。無造作に跳ねた黒髪から天に向かって真っ直ぐ伸びるのは、どこからどう見てもウサギの耳だ。
カチューシャにしてはやけにリアルね、と思いかけた私の心を覗き見でもしたかのように、男の頭から生えた二本の黒い兎耳は意思を持ちぴょこりと動いて見せる。
緩やかな弧を口元に描き、真っ直ぐに私を見据える赤い瞳を細めてウサギ男はもう一度呟いた。
「どういう意味か。それは、そのままの意味だよ」
不思議と、そのウサギ男への恐怖心は湧いてこない。まるで『私』は知っているかのようだ。
彼が、
「いいや。まだ、ボクの迎えに行く時間じゃない」
それよりも、と言いながらウサギ男の指差した先にあったのは、ウェディングドレスを身に纏うロリーナ姉さんの姿。とても、綺麗だ。どんな花よりも美しくて、宝石の輝きすら霞んでしまうほど眩しい。
夢の中ではあるが、ロリーナ姉さんの嫁入り姿が見られてよかったと歓喜する私とは対照的に、彼女はひどく暗い表情をしていた。
(ロリーナ、姉さん?)
どうして、そんな顔をするの?
「……助けて、」
何度目かになる、ロリーナ姉さんの懇望。私が口を開くよりも早く、その切なる願いに言葉を返したのは、
「ごめんね。ボクには、もう……どうにもできない。間に合わないんだ」
ウサギ男だった。
そして、その意味を問う前に、朝を迎えて目が覚める。
私はいつまでも『知る』事ができない。姉さんが助けを求めている理由も、ウサギ男の正体も、あの言葉の意味も。
肩を落として落胆するべきだと分かってはいるが、気持ちが昂って仕方がない。ああ……いいえ、違うわ。
(だって、だって……!)
やっと迎えに来た!本能がそう告げているせいで、私の心はこんなにも踊っている。
もうすぐだ。もうすぐ、私は。
「……ふふっ!」
そして、私が十八を迎える誕生日の前日。昨夜に見たのが、一番新しい夢だ。
室内にいるメンバーは先日と同じで、私と姉さん、それから……ウサギ男の三人。ここ暫く、家具などに関する変化は起きていなかったように記憶しているのだが、今日は私が腰掛けている椅子の目の前に、空席の玉座が置かれていた。
「……っ!!」
赤を基調とし、金で縁取られたその玉座を目にした瞬間、言い知れぬ恐怖が背筋を這い全身が粟立つ。カタ、と微かに震え始めた自分の体を両手で抱きしめると、ウサギ男は壁にもたれかかりつつ喉を鳴らして笑った。
「怖い? ああ、うん。怖いだろうね、当たり前さ。キミが『それ』を怖がるのは、当然の事だ」
どういうこと?と問う前に、鈴を転がすような声が耳に届く。
「たすけて」
声のした方へ目をやれば、そこにいたのは一人の幼い少女。顔の面影とブロンドの髪から、辛うじて姉さんであるという事だけは認識できたが、夢の中で突然文字通りの幼児退行してしまった姉の姿に戸惑いが隠せない。
先ほどまで楽しげに笑っていたウサギ男は、幼児化した姉さんを見るなり閉口し、静かに腕を組み眉間に深いしわを刻んだ。
「ねぇ、たすけて」
幼い姉さんは私ではなく、ウサギ男をその目に映している。空天色の二つのビー玉から、一つ、また一つと静かに零れ落ちる雨。
どうして、姉さんは私を見てくれないのだろう?
「おねがい、たすけて……」
ウサギ男はゆっくりとした足取りで姉さんの元へ歩み寄ると、目線の高さを合わせるようにその場で膝をついた。
そして、今もなお頬を伝い落ち続ける姉さんの涙を指先で優しく拭うなり、両腕の中に閉じ込めて力いっぱい抱きしめる。
「……ごめん、ごめんね。結局ボクは、キミを助けてあげられなかった。でも、」
ワンダーランドが『アリス』を迎えてくれるから、大丈夫だよ。
(ああ、まただわ)
二年前。十六回目の誕生日を迎えた日から、毎晩同じ夢を見る。
赤の生地に、黒でダマスク柄の描かれた壁紙。アンティーク調の部屋は、初めは何も無い簡素な空間だった。窓も灯りもない、静かな闇に包まれているはずの室内を視認できたのは、夢特有のご都合主義だったのだろうと解釈している。
部屋の真ん中に立ちすくむだけの私は、ただ呆然と『誰か』を待っていた。ような、気がする。
(……誰を?)
夢の中で一つ目の変化が起きたのは、その場所へ来るようになってから約三ヶ月後。
(灯りが、ついてる)
昨夜までは無かったはずのシャンデリアが、さも当たり前のような顔をして天井からぶら下がり、室内を仄かに照らしていた。
風もないのにゆらゆら揺れる、私の瞳と同じ、淡黄色の光。
なぜなのか。夢の中の私はその時、「ああ、やっぱり来てくれるんだ」と淡い期待を抱いたのだ。誰を待っているのかも、ここがどこなのかも分からないというのに。
そして更に三ヶ月後、二つ目の変化が起きる。
(……時計?)
カチコチ、カチコチ。壁に一つ飾られた振り子時計が揺れるたび、言い知れぬ焦燥感が微かに胸をざわつかせた。まるで、「早く、早く」と急かされているかのよう。
それからは三日おきに一つずつ時計が増え、狭い室内の壁を埋めていった。
いいや、それだけではない。もう以前の変化からどれくらいの間隔が空いているのか、遡って日付を数えるのも煩わしいのだが、部屋の中は少しずつ変わっていった。
突如、部屋の真ん中にぽつんと現れた椅子も変化の一つ。私の髪と同じ、薄く赤みを帯びたココア色。誰に促されたわけでもないのに、自然と「これは私のために用意されたものね」と理解し腰掛ける。
カチコチと主張するたくさんの時計の声に耳を傾けながら、その日も『誰か』を待っていた。
そして、今から約三ヶ月前に起きたのが一番大きな変化。
「アリス……」
今まで私しか居なかった夢の中の部屋に、ロリーナ姉さんが現れたのだ。
(姉さん……!)
彼女は、私の自慢の姉。
とても穏やかな人で、常に笑顔を絶やさず、怒りのままに声を荒げる事など滅多にない。いつでも相談に乗ってくれるし、頭だって撫でてくれて、毎晩「おやすみなさい」の前に力いっぱい抱き締めてくれる。暴力なんてものとは当然、無縁で……本当に優しくて、あたたかくて、お母様とは正反対の人。
私は、そんなロリーナ姉さんの事が大好きだ。
(夢の中に現れる姉は、夢占いではたしか……自分の分身って意味だったかしら?)
あまり詳しくないけれど、人間関係への警告夢という意味もあったかもしれない。
そんな事を考えながら立ち上がろうとして、気付かされた。
(え……? 立て、ない)
まるで、両手首は肘掛に紐でくくりつけられ、胴は背もたれにベルトで固定されているかのように、体を動かす事がままならない。
そういえば、先ほどから私の声帯は、音の出し方を忘れてしまっているのではないだろうか?
(姉さん! ロリーナ姉さん……!)
何度呼びかけても、開いた口からはただ空気が吐き出されていくだけで、彼女の鼓膜を揺らすのは困難だった。
行動が制限され声も出せないなんて、夢占いではろくな結果が出ないでしょうね。なんて悪態を心の中で呟くと同時に、
「助けて」
ロリーナ姉さんがぽつりとこぼしたのは、そんな言葉だった。
けれど、目の前に立ちすくむ彼女の瞳はすぐ側に居るはずの私を映しておらず、どこか虚空を見つめながら姉さんは繰り返す。
「お願い、助けて」
(ねぇ、ロリーナ姉さん。誰を、助けたらいいの? 教えて)
「助けて……」
ロリーナ姉さんはゆっくりとした動作で俯いたかと思えば、ついには両手で顔を覆いわんわんと泣き始めてしまった。
落ち着いてよく見ると、その体はあちこちに酷い怪我を負っているらしく、身につけている服は何か強い力で切り裂かれたかのような破れ方をしている。
(事故に、遭ったの?)
けれど、いつ?
姉さんがここに現れた時、彼女の肌は白く透き通っていて怪我の一つも見えていなかったし、服も見慣れた綺麗な空色のワンピースだった。その上に付けているミルク色のエプロンだって、どこにも傷は見当たらなかったように記憶している。
それじゃあ、なんで?
姉さんは、夢を介して私に何か伝えようとしているのだろうか。
いったい、何を?
「あなたのせいでしょう!?」
「―─!!」
その日は、そこで目が覚めた。
ロリーナ姉さんの怒声を耳にしたのは後にも先にも『あれ』が初めてで、意識が覚醒してからもあの時の顔と声が何度も脳裏で鮮明に蘇り、心臓がばくばくと嫌な音を立て続ける。
私のせい。それはいったい、どういう意味?
「そのままの意味さ」
先月、夢の中に初めて面識のない人物が現れた。
いわゆる、天然パーマと呼ばれる類だろうか。無造作に跳ねた黒髪から天に向かって真っ直ぐ伸びるのは、どこからどう見てもウサギの耳だ。
カチューシャにしてはやけにリアルね、と思いかけた私の心を覗き見でもしたかのように、男の頭から生えた二本の黒い兎耳は意思を持ちぴょこりと動いて見せる。
緩やかな弧を口元に描き、真っ直ぐに私を見据える赤い瞳を細めてウサギ男はもう一度呟いた。
「どういう意味か。それは、そのままの意味だよ」
不思議と、そのウサギ男への恐怖心は湧いてこない。まるで『私』は知っているかのようだ。
彼が、
「いいや。まだ、ボクの迎えに行く時間じゃない」
それよりも、と言いながらウサギ男の指差した先にあったのは、ウェディングドレスを身に纏うロリーナ姉さんの姿。とても、綺麗だ。どんな花よりも美しくて、宝石の輝きすら霞んでしまうほど眩しい。
夢の中ではあるが、ロリーナ姉さんの嫁入り姿が見られてよかったと歓喜する私とは対照的に、彼女はひどく暗い表情をしていた。
(ロリーナ、姉さん?)
どうして、そんな顔をするの?
「……助けて、」
何度目かになる、ロリーナ姉さんの懇望。私が口を開くよりも早く、その切なる願いに言葉を返したのは、
「ごめんね。ボクには、もう……どうにもできない。間に合わないんだ」
ウサギ男だった。
そして、その意味を問う前に、朝を迎えて目が覚める。
私はいつまでも『知る』事ができない。姉さんが助けを求めている理由も、ウサギ男の正体も、あの言葉の意味も。
肩を落として落胆するべきだと分かってはいるが、気持ちが昂って仕方がない。ああ……いいえ、違うわ。
(だって、だって……!)
やっと迎えに来た!本能がそう告げているせいで、私の心はこんなにも踊っている。
もうすぐだ。もうすぐ、私は。
「……ふふっ!」
そして、私が十八を迎える誕生日の前日。昨夜に見たのが、一番新しい夢だ。
室内にいるメンバーは先日と同じで、私と姉さん、それから……ウサギ男の三人。ここ暫く、家具などに関する変化は起きていなかったように記憶しているのだが、今日は私が腰掛けている椅子の目の前に、空席の玉座が置かれていた。
「……っ!!」
赤を基調とし、金で縁取られたその玉座を目にした瞬間、言い知れぬ恐怖が背筋を這い全身が粟立つ。カタ、と微かに震え始めた自分の体を両手で抱きしめると、ウサギ男は壁にもたれかかりつつ喉を鳴らして笑った。
「怖い? ああ、うん。怖いだろうね、当たり前さ。キミが『それ』を怖がるのは、当然の事だ」
どういうこと?と問う前に、鈴を転がすような声が耳に届く。
「たすけて」
声のした方へ目をやれば、そこにいたのは一人の幼い少女。顔の面影とブロンドの髪から、辛うじて姉さんであるという事だけは認識できたが、夢の中で突然文字通りの幼児退行してしまった姉の姿に戸惑いが隠せない。
先ほどまで楽しげに笑っていたウサギ男は、幼児化した姉さんを見るなり閉口し、静かに腕を組み眉間に深いしわを刻んだ。
「ねぇ、たすけて」
幼い姉さんは私ではなく、ウサギ男をその目に映している。空天色の二つのビー玉から、一つ、また一つと静かに零れ落ちる雨。
どうして、姉さんは私を見てくれないのだろう?
「おねがい、たすけて……」
ウサギ男はゆっくりとした足取りで姉さんの元へ歩み寄ると、目線の高さを合わせるようにその場で膝をついた。
そして、今もなお頬を伝い落ち続ける姉さんの涙を指先で優しく拭うなり、両腕の中に閉じ込めて力いっぱい抱きしめる。
「……ごめん、ごめんね。結局ボクは、キミを助けてあげられなかった。でも、」
ワンダーランドが『アリス』を迎えてくれるから、大丈夫だよ。
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