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第39編「触られた部分が、ぜんぶ熱い」※
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はじめにネタばらしをしておくと、これは恋幸が見た夢の一部である。
(あっ、)
「恋幸さん」
裕一郎は低く穏やかなトーンで名前をなぞり、恋幸の肩をそっと掴んで優しく後方へ押し倒した。
外国製の柔らかいベッドは二人分の体重を受けてわずかに沈み、呼吸音以外には何も鼓膜を揺らさないほど静かな室内でスプリングの軋む音だけがやけに大きく響く。
熟れたリンゴのごとく赤く染まる頬に、彼の長く綺麗な指が触れて互いの体温を混ざり合わせ、ただでさえ高鳴る彼女の鼓動を更に加速させた。
「……可愛いですね」
「ゆういちろ、さま」
羞恥心から微かに震える恋幸の声。そんな彼女の様子に裕一郎は息を吐いて笑い、片手で頭を撫でながら唇を重ねる。
「ん、っふ」
「よしよし、怖くないですよ」
彼は一度顔を離して上半身を起こし、眼鏡を外してから再度彼女に覆い被さると、ちゅ、ちゅと音を立てて恋幸の唇を啄んだ。そして、深く口付けた唇の隙間から舌を滑り込ませ、薄目で恋幸の反応を伺いつつ唾液を絡ませて口内を蹂躙する。
裕一郎のつけている香水の甘い香りと、唇の隙間から漏れる水音に脳みそを犯されて、上手く思考が働かない。
移動した片手が服の間から緩やかに侵入し、お腹をなぞって這い上がった手のひらは彼女の控えめな乳房を包み込むようにして優しく刺激した。
「んっ、ん」
「痛くないですか?」
「だ、だいじょぶ、です」
「……良かった」
触れられている事に対する羞恥心もさることながら、バクバクと跳ねる心臓に気付かれているのではないだろうかという考えが頭をよぎって恋幸の頬はどこまでも赤に染まっていく。
「大丈夫ですか?」
裕一郎も所詮は一人の『男』だ。長く恋焦がれた女性に体を許されたとあれば、もっと触れたい・早く繋がりたいという本能から気持ちや行動が急いでしまっても誰も責める事などできないだろう。
だというのに彼は初めから、絡まった毛糸を解いていくかのように少しずつ丁寧に、彼女の気持ちが追いつくペースで行為を進めてくれていた。
自身を包むその大きな優しさに恋幸はもちろん早くから気づいており、込み上げる愛おしさで胸が締め付けられて仕方がない。
「大丈夫ですから、裕一郎様」
「うん?」
「も、っと……もっと、触ってください」
「……仰せのままに」
涙で潤む彼女の瞳に映され、裕一郎は視界がぐらりと揺れる感覚に襲われた。
鼻腔をくすぐる香りも、脳を揺らす声も、綺麗な二つのビー玉も。全てが理性を溶かす麻薬のようだ。
そんな風に考えているのは、どちらだろうか?
「ん……っ、ふふっ、ゆういちろさま、くすぐったいです……っ」
太ももを滑る指先の感覚に恋幸がたまらず体をよじって足を閉じれば、彼は先ほど肌に這わせていた方の手で彼女の右足をそっと掴み、やや強引に開かせるとその隙間に自身の片足をねじ込む。
「くすぐったいですか?」
「は、はい……」
「そうですか……それじゃあ、ここは?」
「えっ、あ……っ!?」
言うと同時に裕一郎は2本の指で下着越しに恋幸の花弁をなぞり、わざと染みを作るかのように中心部をぐっと押すと、指先に滲む蜜を見て喉の奥で小さく笑った。
「ふっ、んんっ、」
「ちゃんと濡れていますね。可愛い」
「はぁっ……濡れ……? な、なに?」
「……わかりませんか?」
問いに対して恋幸が何度も頷けば、彼は「そうですか」と一度頷いて上半身を起こし、口の端をわずかに持ち上げる。
「では、一緒に見て覚えましょうか」
「見る……?」
「少し腰を浮かせてください」
言われた通り、彼女はおずおずと腰を浮かせて彼の反応を伺った。
「いい子ですね」
裕一郎の手が下着のウエスト部分に伸びたのを見て恋幸が慌てて手を伸ばした時には、すでに“それ”はするりと下半身から離れ、役割を失った桃色の布が膝を通り過ぎていく。
そして、覆う物を無くした秘部に再び裕一郎の右手が伸びた。
「待ってください……っ!!」
自分の声で飛び起きた恋幸の目に映ったのは、寝る前に見た時と同じ光景だった。
部屋の隅に置かれたキャリーケース、座卓の上で開かれたままのノートパソコン。和室特有の畳の香りに、太陽光が差し込む障子。
それから、
「……すみません、もう開けてしまいました」
開いた襖の向こう側に立つ裕一郎。
(裕一郎様!?)
最後の一ヶ所以外は全て同じである。
「まだ寝ているとは思わず……睡眠の邪魔をしてしまいましたね、すみません」
「……っ、いえ! 大丈夫です!」
「……? そうですか。朝食は何時頃が、」
「朝ご飯はあのっ、今日はいいです! 私、着替えたら昼食の時間まで仕事をするので、しばらく一人にしてもらってもいいですか?」
一瞬交わった目線から逃げるようにして、恋幸はふいと顔を逸らし矢継ぎ早に用件を紡ぎ落とした。
先ほどの夢が頭の中を犯すせいで、彼の顔を見ることができない。
「……わかりました。昼食は……作って頂けるのなら家事手伝いさんの厚意に甘えますが、その時は貴女の食べたい物を優先してくださいね」
「は、はい」
「では、失礼します」
裕一郎が部屋を出て行った後、恋幸は大きなため息を吐き体育座りの体勢で自身の膝を抱える。
(恥ずかしかったからって、裕一郎様にすごく嫌な態度とっちゃった……)
――……その一方で、
「……あの子に何かしたっけ……?」
肩を落としながら記憶を辿る裕一郎がいた事など、恋幸が知るわけもなかった。
(あっ、)
「恋幸さん」
裕一郎は低く穏やかなトーンで名前をなぞり、恋幸の肩をそっと掴んで優しく後方へ押し倒した。
外国製の柔らかいベッドは二人分の体重を受けてわずかに沈み、呼吸音以外には何も鼓膜を揺らさないほど静かな室内でスプリングの軋む音だけがやけに大きく響く。
熟れたリンゴのごとく赤く染まる頬に、彼の長く綺麗な指が触れて互いの体温を混ざり合わせ、ただでさえ高鳴る彼女の鼓動を更に加速させた。
「……可愛いですね」
「ゆういちろ、さま」
羞恥心から微かに震える恋幸の声。そんな彼女の様子に裕一郎は息を吐いて笑い、片手で頭を撫でながら唇を重ねる。
「ん、っふ」
「よしよし、怖くないですよ」
彼は一度顔を離して上半身を起こし、眼鏡を外してから再度彼女に覆い被さると、ちゅ、ちゅと音を立てて恋幸の唇を啄んだ。そして、深く口付けた唇の隙間から舌を滑り込ませ、薄目で恋幸の反応を伺いつつ唾液を絡ませて口内を蹂躙する。
裕一郎のつけている香水の甘い香りと、唇の隙間から漏れる水音に脳みそを犯されて、上手く思考が働かない。
移動した片手が服の間から緩やかに侵入し、お腹をなぞって這い上がった手のひらは彼女の控えめな乳房を包み込むようにして優しく刺激した。
「んっ、ん」
「痛くないですか?」
「だ、だいじょぶ、です」
「……良かった」
触れられている事に対する羞恥心もさることながら、バクバクと跳ねる心臓に気付かれているのではないだろうかという考えが頭をよぎって恋幸の頬はどこまでも赤に染まっていく。
「大丈夫ですか?」
裕一郎も所詮は一人の『男』だ。長く恋焦がれた女性に体を許されたとあれば、もっと触れたい・早く繋がりたいという本能から気持ちや行動が急いでしまっても誰も責める事などできないだろう。
だというのに彼は初めから、絡まった毛糸を解いていくかのように少しずつ丁寧に、彼女の気持ちが追いつくペースで行為を進めてくれていた。
自身を包むその大きな優しさに恋幸はもちろん早くから気づいており、込み上げる愛おしさで胸が締め付けられて仕方がない。
「大丈夫ですから、裕一郎様」
「うん?」
「も、っと……もっと、触ってください」
「……仰せのままに」
涙で潤む彼女の瞳に映され、裕一郎は視界がぐらりと揺れる感覚に襲われた。
鼻腔をくすぐる香りも、脳を揺らす声も、綺麗な二つのビー玉も。全てが理性を溶かす麻薬のようだ。
そんな風に考えているのは、どちらだろうか?
「ん……っ、ふふっ、ゆういちろさま、くすぐったいです……っ」
太ももを滑る指先の感覚に恋幸がたまらず体をよじって足を閉じれば、彼は先ほど肌に這わせていた方の手で彼女の右足をそっと掴み、やや強引に開かせるとその隙間に自身の片足をねじ込む。
「くすぐったいですか?」
「は、はい……」
「そうですか……それじゃあ、ここは?」
「えっ、あ……っ!?」
言うと同時に裕一郎は2本の指で下着越しに恋幸の花弁をなぞり、わざと染みを作るかのように中心部をぐっと押すと、指先に滲む蜜を見て喉の奥で小さく笑った。
「ふっ、んんっ、」
「ちゃんと濡れていますね。可愛い」
「はぁっ……濡れ……? な、なに?」
「……わかりませんか?」
問いに対して恋幸が何度も頷けば、彼は「そうですか」と一度頷いて上半身を起こし、口の端をわずかに持ち上げる。
「では、一緒に見て覚えましょうか」
「見る……?」
「少し腰を浮かせてください」
言われた通り、彼女はおずおずと腰を浮かせて彼の反応を伺った。
「いい子ですね」
裕一郎の手が下着のウエスト部分に伸びたのを見て恋幸が慌てて手を伸ばした時には、すでに“それ”はするりと下半身から離れ、役割を失った桃色の布が膝を通り過ぎていく。
そして、覆う物を無くした秘部に再び裕一郎の右手が伸びた。
「待ってください……っ!!」
自分の声で飛び起きた恋幸の目に映ったのは、寝る前に見た時と同じ光景だった。
部屋の隅に置かれたキャリーケース、座卓の上で開かれたままのノートパソコン。和室特有の畳の香りに、太陽光が差し込む障子。
それから、
「……すみません、もう開けてしまいました」
開いた襖の向こう側に立つ裕一郎。
(裕一郎様!?)
最後の一ヶ所以外は全て同じである。
「まだ寝ているとは思わず……睡眠の邪魔をしてしまいましたね、すみません」
「……っ、いえ! 大丈夫です!」
「……? そうですか。朝食は何時頃が、」
「朝ご飯はあのっ、今日はいいです! 私、着替えたら昼食の時間まで仕事をするので、しばらく一人にしてもらってもいいですか?」
一瞬交わった目線から逃げるようにして、恋幸はふいと顔を逸らし矢継ぎ早に用件を紡ぎ落とした。
先ほどの夢が頭の中を犯すせいで、彼の顔を見ることができない。
「……わかりました。昼食は……作って頂けるのなら家事手伝いさんの厚意に甘えますが、その時は貴女の食べたい物を優先してくださいね」
「は、はい」
「では、失礼します」
裕一郎が部屋を出て行った後、恋幸は大きなため息を吐き体育座りの体勢で自身の膝を抱える。
(恥ずかしかったからって、裕一郎様にすごく嫌な態度とっちゃった……)
――……その一方で、
「……あの子に何かしたっけ……?」
肩を落としながら記憶を辿る裕一郎がいた事など、恋幸が知るわけもなかった。
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