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Story1.はじまりはいつも同じ

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 昔々のお話。

 魔法の使えた人魚姫は、人間になってその美しい声で王子の心を射止め、赤い靴はそもそも少女にはサイズが合わなかった。

 マッチは売り切れ必至で、白いウサギはアリスを追いかけ、赤ずきんは狼を食べてしまった。

 七人の小人なんていない。姫はキスで目覚めない。
 王子は呪いにかからない。お菓子の家なんて存在しない。

 ラプンツェルの髪は短く、アヒルの子は美しかった。
 毒りんごを食べたのは、王子様。

 そして、私にかけられた魔法は、


「口、開けて……舌出せ」
「やっ、んんっ」
「白雪、」


 ――……24時の鐘では、とけなかった。
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