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姉妹誘惑のお宿編

これ、いらないわ

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 ちょっと前まで俺は童貞だった。
 しかも初体験はすごく好きな人じゃなければ嫌だとか、そんなアホなことを真顔で言えるくらいこじれてしまった童貞だ。
 そんな男、気持ち悪いだろ?
 だから浮いた話のひとつも無くて、異性と接することにあまり慣れていない。何気ない会話はできるけど、ちょっと肌が触れただけで過度に意識してしまう。

 たとえば女の子と手を繋いで散歩をしたときね。
 握り合う手は小さくてやわらかくて、すぐ隣から女の子の甘い香りが漂ってくる。
 ぴとりと腕が触れてしまったりとか、ふと横を見ると淡く色づいた唇をする茜ちゃんがいたりとか、長いまつ毛に縁どられた彼女の瞳が見あげてきたりとか……とにかくもう刺激が強い。強すぎる。

 だから手を繋ぐだけで軽く興奮してしまい……その、勃ってしまうんだ。信じられないことに俺のアレが。
 さっきから鎮まれぇぇと心のなかで叫んでいるのだが、困ったことにまったく収まらない。ふんわり勃起を維持されてしまい、油断すると暴れようとするんだ。制御不能のこいつを、俺は【黒龍】と名づけた。

 これってみんなどうしているの?
 いつかちゃんと慣れる?
 女の子と手を繋いだときも【黒龍】を制御できる?

 手をつないだだけで興奮するなんて、男として失格というか不良品レベルというのは分かっている。見下す表情で「果てしなくキモい」と言われても「そうだね」と真顔で頷ける。
 でもそれくらい俺にとっては、茜ちゃんと手を繋いで歩けることが信じられないんだ。
 いや、本当は近くにいられるだけですごく嬉しい。明るくて面白くてくるくる変わる表情を眺めるだけで幸せな気持ちになれるから。
 でも、こんな姿を見せてしまって嫌われたりしないかなとすごく心配になるんだ。それだけが怖くて、そっとさりげなく彼女の顔をうかがう。

 はー、はー、はー。
 とろんとした瞳をして、閉じきっていない唇から吐息を漏らし続ける子が隣にいた。

 あ、予想とぜんぜん違った。
 この子、俺と同じくらい欲情してた。
 視線に気づいたらしく、ごくっと喉を鳴らしてから彼女は見あげてきた。

「お兄さん、なにか言いました?」
「ううん、なにも! 暑そうだなと思って!」

 さらりとした黒髪を耳にすくう表情は、なぜか「誰のせいですか」と文句を言いたそうだった。そういえばと思い出すのは、お出かけ前に理性が崩壊して彼女をたくさん舐めてしまったことだ。
 でもあれは仕方ない。不可抗力だと思う。
 陽光にアソコが照らされていると気づいても、己の指先で下着を引っ張った姿勢のまま、どきどきした顔で見つめられたら俺にはもう耐えられない。

 興奮した彼女をもっと興奮させたくて「ここ、すごく弱いよね」とか「見て、溢れてる」とか恥ずかしいことをたくさん囁いてしまうんだ。
 彼女のモラルが崩壊して、あぁぁと上品な唇からあえぎ声を漏らしながら仰け反ってゆく姿が好きなんだ。シャツから浮き出てきた乳頭を触りたくなるし、きゅっとそれを摘まむと「おうっ」と痙攣混じりの息を吐き出す。
 そして太ももに手をかけただけのわずかな力で、だんだん脚を開かせていく姿を見たら……。

「さっきの茜ちゃん、すごく可愛かった」
「ば、ばかなことを言わないでください。みんなの使うお勝手であんなことをするなんて、少しいかがわしかったです」

 熱を帯びて赤くなった頬を、ぱたぱたと手で扇ぎながら彼女はそう答える。でも唇の端にわずかな笑みを浮かべているのは、きっとまんざらでもなかったのだろう。
 彼女は性行為への好奇心が人一倍強くて、お嬢様然とした顔だちをしているというのに中身はかなりの肉食だ。エッチな身体をしているし、そんな隠された本性を俺だけが知っている。

 だからというわけではないが、自動ドアが開いてコンビニに入店すると、俺たちは手をつないだまま夜のための道具をじっと見る。
 互いに熱視線を送っているその先は言うまでもなく避妊具コーナーであり、彼女と健全なお付き合いをするための必需品だ。観光地ではよく売れるのか、薄いタイプから安全性を前面に謳うものなど種類は多い。

 じっとりと手に汗を浮かせながらそれを眺める。
 どれを選ぼうかと悩んでいたわけではなくて、この状況に彼女が興奮している気がしたんだ。まだ明るい時間、男女二人でいかがわしい品をじっと見るという状況に。
 例えば通り過ぎるおじさんは、ちらりと茜ちゃんを眺めて「ふうん」という好奇心混じりの視線を向けてくる。こんなに大人しそうな子が……おっと、そうでもなかったか、と言いたそうに視線を下へ移して目つきを変える。薄手のシャツなどでは彼女の発育した胸とお尻を隠しきれない。思わずという風に、彼女は隠すように胸元へ手を置いた。

 かあっとうなじが赤く染まり始める。
 なんで早く買わないんですかと文句を言いたそうに俺を見て、そして目が合うと恥ずかしそうにパッとそらす。
 もちろん彼女は生娘なんかじゃない。そんな可愛らしい仕草をして頬を赤くしても、それは女性としての色気をさらに増すだけの効果しかない。もじっと太ももをこすり合わせたり、汗の浮いた首筋を撫でながら吐息を漏らしたり、ただ隣に立っているだけで大量に漂うフェロモンを感じ取れる。

 いくつかの好奇な視線が彼女に注がれた。
 先ほどのお客さんは、何かを取ろうとした姿勢のまま固まっているし、他にも彼女とコンドームのあいだを往復させる視線に彼女は気づいている。きっとたくさんのいやらしい妄想をされているのだろう。
 そんなことを感じ、熱い息をする彼女に囁きかけた。

「茜ちゃん、どれがいい?」

 選んで、と誘いかけた。
 どれを俺のペニスにつけて欲しい?
 今夜、とろとろに溶けてしまうくらい気持ち良くするし、きっと恥ずかしい声がたくさん出るよ。頑張って堪えても千夏ちゃんに聴こえてしまうくらいの声が。

 暗にそう伝えると、かくんっと彼女の膝が笑う。
 それはきっと知っているからだ。身体の芯から溶けてしまいそうなほど気持ち良くて、ぬるっとした感触が体内の一番敏感なところを愛撫してくるあの行為を。
 身体を支えきれずに俺の腕を掴み、そして身を屈めるよう促してくる。さっきよりも色づいた唇が寄せられて、そしてすぐ近くから熱っぽい声が響く。

「これ…………」

 その湿度の高い囁き声は、俺にしか聞こえない。
 少しだけ指先を震わせて、コンドーム棚をさまようようにうろうろと宙を泳ぐ。
 続けてぼそっと鼓膜を震わせた声は、喘ぎ声とよく似ていた。

「いらないわ」

 その言葉の意味を理解してゆっくり視線を向けると、女子高生らしい清純な笑みのまま耳まで赤くさせていた。そして声も出ない俺に、きゅっと指先から握られる。
 どきっどきっと心臓の音がする。俺だけでなく茜ちゃんの心音も伝わってきて、今すぐにその魅惑の唇と重ねたくて仕方ない。
 彼女もきっと同じ思いだったのだろう。俺の腕に乳房の感触をしっかり伝えようとしているのは、先ほどまで手を繋いでいた散歩のときとはまるで異なるものだった。

 いそいそと急ぐようなお買い物になった。
 下着や弁当などすぐに必要になるものをカゴに放り込み、レジを済ませる。すると待っていた彼女は無言でコクリとうなずいて手を伸ばしてくる。俺だって無言だ。早く家に帰りたくて仕方ないし、伸ばされた手をがしっと握る。


 路上に戻ると、視界の端に茜色に染まりゆく水平線が広がっていた。けれど、そんなものよりも彼女の黒い瞳に吸い寄せられる。キスをしたくてたまらなそうな顔だったし、もうちょっとだけ歩く速度をあげる。
 まるで生まれて初めてエロ本を手にした日のようだと思う。いくら落ち着こうとしても鼓動は収まらず、ふしだらでいかがわしいものを胸に抱えて、いそいそと道を歩いた日を思い出す。

 そんな風に身を寄せ合い、ゆるやかな坂道をまた登り始めていたときだ。ざああとタイヤの音を響かせて黄色いオープンカーが目の前で停まった。

「あ、もしかして天童寺の方?」

 サングラスをかけた青年が、そうハンドルに手をかけながら話しかけてきた。
 整った顔だちをしており、見たところ大学生くらいの年だろうか。彼はドアを開けると茜ちゃんの前に立った。

「僕、モデル契約をしている相馬そうまです。前に鵜鷺うさぎさんから話を聞いていてね、こうして茜ちゃんと一緒に仕事できるのを楽しみにしていたんだ」

 隣にいる俺のことなどまるで眼中にない態度で、相馬なる男は話しかけてくる。
 鵜鷺というのは恐らく茜ちゃんの叔母さんのことだろう。なるほど、彼女から聞いていた男性役のモデルというのは彼のことか。確かに整った顔をしているし、色男特有の落ち着いた気配もある。ただちょっと俺はモテるぞというオーラを漂わせていて鼻につく感じかな。モテないひがみとかじゃなくってさ。
 ごく自然と握手を求めてきた彼に、茜ちゃんは「えっと」と口ごもってから返事をした。

「勝手に決められても困ります。私、モデルなんてしたくありませんから」

 そう、と手を引っ込めながらようやく気づいたのか俺をちらりと見る。相馬なる男は、繋ぎあっている手を観察してからにこやかに笑いかけてきた。

「あ、誤解しているのかな。モデルってすごく楽しい仕事だし、どんなものか分かれば絶対に興味を持つよ。どうかな、これから一緒に食事でも。この辺りには良い店があって……」

 イッラア、と茜ちゃんの気配が激昂していくの分かった。これから俺とエッチをしたくてたまらないのに、なんだこの男はという感情が繋いだ手から直に伝わってくる。
 表面上は冷静であろうとしているが、そのぶん瞳は冷たい。そんな彼女が心配で、男とのあいだに割って入った。

「これから用事があるんだ。相馬君、この件については俺からも話すから、悪いけど少し時間をくれると助かる」

 叔母さんには宿泊の礼がわりに前向きな検討を約束している。ただ受けるかどうかは彼女次第だし、押しつける気もさらさらない。
 背後からの視線を感じながら再び「どうかな」と言葉を重ねると、相馬から品定めするような目を向けられた。茜ちゃんの叔母、鵜鷺さんとよく似た目だなと俺は思う。

「……学生の子と付き合うような社会人は、あまり信用できないんですがね? じゃあ聞きますけど、これからどんな予定があるんです?」
「ただのモデルがどうして彼女の下の名前、さらには顔を知っていた? 楽しみにしていたってどういう意味だ? 言ってみろ、そうしたらお前を信用するか考えてやる」

 失礼な返答だと分かっているが、相手が男ならパンチのある言葉にはパンチで返したい。
 あいにくと信用できる相手かどうか見る目は十分以上に鍛えている。そしてこいつはあまり良くないタイプの男だと感じていた。失礼にもほどがあるけど、これは単なる直感だ。

 ピリッとした空気を嗅ぎ取ったのか、茜ちゃんが不安そうにしがみついてくる。大丈夫だよと笑いかけてから彼……ではなくて黄色いオープンカー眺めてからポツリと呟いた。

「克樹のブーメランパンツみたいな色だな」

 ぶふぉっと茜ちゃんは吹き出して、そのままくつくつとお腹を押さえて苦しそうに笑う。
 緊迫していたところだし言ったらマズイと思っても、つい口から出ちゃうんだよなー。ほら、可愛い子が笑ってくれると嬉しいし。
 一方の置いてけぼりな彼は、理解できなそうな目で愛車をちらりと眺める。そして口を開きかけたとき、肩の力を抜いた茜ちゃんの声が響いた。

「私たち、用事がありますので失礼します」

 頭を下げて、きっぱりとお断りをする彼女に目を丸くしていた。
 普段の俺たちであればもっとちゃんと対応をしただろうけど、あいにくと今日は予定があるんだ。一刻も早く家にたどりついて、きちんとセックスをしなければ落ち着けないし、彼女もきっと同じ気持ちだろう。

 返事を待たずにさっさと歩き出す。
 だいぶ経ったころ背後から車の走り去る音が響いた。



 なだらかな上り坂には、ガードレールを挟んで鬱蒼と緑が生えている。
 たくさんのヒグラシの鳴き声に包まれているせいか、俺たちの言葉数は少ない。でも身体の芯には熱が残っていて、絡みあう指先を通じてそれをはっきりと感じ取れる

 きっと夜を待つことはできないだろう。
 歩きづらいほどズボンは窮屈だし、これほど性的に興奮した記憶があまりない。まるで盛りのついた学生時代に戻ったようで、初めてエロ本を手にしたときみたいに息が荒げていくのを感じる。
 そう思っていたときに、ふと彼女の声が響く。

「さっきの徹さん、ちょっと頼もしかったです。叔母さまとの交渉のときもそうでしたけど、男の人ってああいうとき格好いいんですね」
「うーん、喧嘩腰になっちゃったのは反省だけどね。いつもはもっと冷静にやれるんだけど」

 それと、と言葉をつけ足して彼女を眺める。
 ぴとりと寄り添う茜ちゃんが見あげており、その黒髪から覗く大きな瞳には視界がくらむ思いだった。真っ白な肌に汗を浮かせており、ふっくらした柔らかそうな唇には魅了の魔法がかけられていてもおかしくない。

 見えない引力があって、ふと唇に近づきたくなるんだ。そうすると彼女は歩みをゆるめて、ほんの少しあごをあげてくれる。さあどうぞと差し出された唇は鮮やかな色彩をしていて……ググと俺は全力でこらえる。

 はー、だめだ。本当にこの子の誘惑には逆らえない。
 きっともう俺の扱いを知られているんだ。意図的にか無意識にかは分からないけれど、俺の【黒龍】が自在に操られているのを感じちゃうよ。
 ぽりぽりと頭をかいてから、先ほどの言葉の続きを俺は口にした。

「モデルの件は、俺から話しに行ってくる。きちんと叔母さんに断っておかないと、またさっきの男から近づかれかねない。変に期待させても悪いだろうしさ」

 提供されている宿についても後ろめたく思う必要はない。ちゃんと支払いをすれば済むことだし、単なる旅行客としてもてなしてくれるだろう。
 そう伝えると、しばし迷ったあとに彼女はコクンと頷いてきた。

「困りました。お兄さんのせいで、ブーメランパンツの男として私の頭に記憶されています」

 ぶふぉっと今度はこちらが吹き出す番だ。
 やり返せたことに満足したのか、彼女はようやく年相応の笑みを見せる。若さ溢れる笑顔は輝くほどでありまぶしい思いをさせられた。

 ここは海沿いの小道であり、湿度のある風が届く。
 はやく家に辿り着きたくていそいそと足早に歩んでいたが、ふと気づいた。彼女のシャツも汗を吸って張りついていたことに。
 首筋を流れる汗が鎖骨に乗り、熱した息を吐く彼女の唇が見える。わずかに内側を透かせており、ピンク色のブラだったんだなーとか眺めていると「あっ!」と彼女は声をあげた。こちらの視線に気づいて、胸元を見下ろした姿勢で。
 ちらりと見あげてきた瞳は少しだけ怒っていて、透けた身体を隠すようにぎゅっと腕を抱きしめてくる。
 周囲にだれもいないか見回したあと、彼女は背伸びをして囁いてきた。

「お兄さん、エッチですね。興味あるんですか、女子校生の下着に?」

 なまめかしい言葉を含んだ吐息が鼓膜を震わせてくる。
 どきっとしたし、ついにスイッチが入ったとも思う。いまのは理性に対して性欲が勝ったときの声だ。家まであと少しというのに、引きずられるように俺も情欲側に傾いていくのを感じる。

「ほら、見て。たくさん汗をかいてしまって……」

 そう言って、片方の腕をあげてくる。
 ノースリーブの肩を出したシャツから、真っ白な脇の下を見せられて、くらっと視界がゆがむのを感じた。
 そこは汗に濡れており、ふっくらとした乳房との境目にあたるラインを刻んでいる。甘酸っぱい香りに包まれて、そこを一筋の汗が伝っていくのを呆然と俺は見る。

「あン、視線、すごいです。どうしたんです、私は暑いと言っただけなのに、こんなに……」

 ちらりと視線を落とした先には、俺の勃起したアレがある。もりっと膨れ上がったものを互いに見下ろして、また彼女の濡れた瞳が見あげてくる。わずかに小首を傾げて「ね?」と黒髪を揺らしながら囁かれると、理性がだんだん崩壊していくのが分かった。
 そんな俺の顔を見てか、茜ちゃんはひとつお願いをしてきた。

「克樹君を呼ぶのは明日にしましょう。今夜はちょっと、ゆっくりしたいですし」
「そ、そうだな。宿泊を一日延ばしてもらっているし、それならあいつも怒らないんじゃないかな」

 なぜか互いに目を逸らしながら、言いわけのような口調で「確かに」とか「そうね」とかの言葉を繰り返す。
 せっかくの夏休みであり、楽しみにしていた海旅行が実現したんだ。伝えたら弟は喜ぶだろう。
 でもそれは明日だ。克樹が喜ぶのは明日にしたい。なぜなら今夜はちょっと、その……ものすごく大事な私用があるのです。
 ごめんねと俺は眉間にシワを刻み、申し訳なさそうな顔で歩いた。



 やっとたどり着いた玄関を開けて、ビニール袋を床に置き……かけていた姿勢ときに茜ちゃんが身体を預けてきた。
 こっちだってもう限界だ。見あげてきた彼女を迎えるように、むちゃっと唇を重ね合う。早足で歩いてきたから息は荒く、ふう、はあ、と息継ぎをしながら俺は彼女のシャツを、そして茜ちゃんは俺のズボンを脱がそうと手をかける。
 汗を吸ったシャツはボタンを噛んでしまい、もどかしい思いをしながら、ひとつ、またひとつと外していく。真っ白な谷間を包むのはレースつきのブラで、そこをたらたらと汗が谷間に吸い込まれていた。

 ああ、匂いが濃い。
 茜ちゃんの甘酸っぱい匂いが胸の谷間から溢れてくるようだ。
 背中を玄関に預けていると急に下半身が涼しくなる。外されたベルトと一緒に、ズボンが床に落ちていたんだ。またこちらは彼女のシャツをぐいーっとめくらせると、きれいな脇の下を見せてくれて……思わずそこに吸いついた。

「アッ……!」

 むちゃあと脇の下に吸いついて、遠慮なく唾液たっぷりの舌で舐める。う、う、と両腕をあげた姿勢のまま彼女は呻いて、肘のあたりにシャツが絡みついていた。
 たっぷりの汗を吸った衣服は、今の状態ではたやすく脱げない。両腕を真上にあげたまま拘束された彼女は、舐め回されていく様子にとまどって喉を震わせた。

「こら、徹さん……」

 のしっとピンク色の下着ごと乳房を揉みあげると、文句を言う唇はわなないた。
 いつもの俺はもっと焦らすタイプなのだが、今日の茜ちゃんはかなり興奮している。端的に言うとサカっている。だからブラ越しに乳頭を指できゅっと挟み、欲情をより誘う。乳房と脇のあいだにあるふっくらとした性的な部位を舐めて、刺激と声でより興奮を誘う。

「すごいね、茜ちゃん。脇の下までいやらしい。こんな身体をしてコンドームをじっと見ていたら、そりゃあ見知らぬおじさんも、勃起、するよ」

 ぼそぼそと耳の奥にいやらしい言葉をささやきかける。彼女に残されたモラルを叩き壊してやろうと考えているんだ。もっと興奮させて、愛撫だけでなく精神的にも責めて全身の感度を高めてやりたい。
 はああ、と彼女は震えた息を吐いて、瞳をとろっと溶かしていく様子だった。

「いやらしい子だ、茜ちゃんは。まだ触ってもいないのに、もうこんなになって」

 太もものあいだに膝を割り込ませると、その中心は真夏を思わせる暑さだった。ぢゅっと湿った音を響かせて、また先ほどより熱い息を彼女は吐く。言わないでと言うように太ももから挟まれて、はっはっと湿度たっぷりの呼吸を繰り返す。
 もうはっきりと興奮してきたのが分かる。こういうのも好きだったんだなと学習をした俺は、シャツが絡んだままの手首をがしりと掴む。拘束を継続することにしたんだ。

「じゃあ、触ろうか。茜ちゃんのおまんこに。真面目な女子高生がどうなっているのかを、一緒に確かめてみよう」
「待って、いまは……はあ、う……っ!」

 丈の長いスカートをだんだんめくっていくと、堪えきれない吐息を彼女はする。
 潜り込んだ腕は真っ白な太ももを露わにさせて、また下着に指をかけて引き下ろしていっても、拘束されている彼女は抵抗らしい抵抗をできない。鼻息をフーフーさせながら、るろろと舌同士を絡ませることに夢中なんだ。
 可愛い。すごく美人な子が、ぼうっとした顔つきで口づけに夢中になっている。自分は優等生なんかじゃないと理解してしまい、頬を赤くするほど恥ずかしいのに濡れそぼった下着が脱がされていく。

「あ、あ……」

 太ももに絡んで紐状になっていく下着、そして露わにされたことでスカートから雌の匂いをもあっとたちのぼらせる。片膝を持ち上げさせると尚更で、それをはっきりと己でも嗅ぎとって彼女の瞳はさらにとろけた。

 つんっとそこに触れる。今まで閉じ込めていたペニスはすでに怒張しきっており、彼女の濡れそぼる入り口に触れていた。お互いの粘液が合わさるそれはキスによく似ている。
 宣言通り避妊具なんてつけないし、うっと呻きながらも彼女はより体重を預けてきた。

 重いとさえ感じる乳房はすでに下着から先端をはみ出させており、汗と垂れた唾液によってぬらぬらと輝かせている。それに見とれていたとき、ぬ゛るうッ、という感触があった。

「あ、あ、ダメ、ここじゃ……玄関で……」

 ぬっ、ぬ゛るっ、と尚も包み込まれようとしている。熱いと感じるほどの膣は、すでに亀頭を飲みつつある。
 片方の太ももを支えた危なっかしい姿勢で、だめぇともう一度彼女が言ったとき、にゅるうっと卑猥な感触に包まれていった。

「アおお……ッ! お兄さん、入、るぅ……ッ!」

 ずんっと最後まで挿れると、スカートから覗く桃のようなお尻が大きく震える。そこはもうお尻の穴まで愛液にまみれており、ひくんっと上品なそれがわずかに震える。

 ぎゅっぎゅっと絞めつけられる。
 一番奥までむっちりと入りきった姿勢のまま動けず、彼女の太ももと腰のくびれに手をかけてさらに密着を促す。お腹まで触れ合うと、のりゅっともう少しだけ奥に入って彼女は呻いた。

「ア、あー……っ」

 シャツで拘束されていた腕を動かして、俺の首に抱きつくと静かな挿入が始まった。
 ぴたっぴたっという肌同士の触れる音は可愛らしいくらいだ。でも内側はそんなことなくって、彼女の大好きな天井をぞりぞり擦って、それが入り口から奥まで続く。

 まともに愛撫もしていない。
 互いに数センチしか腰を動かさない。

 だけど、どろどろに溢れた熱い愛液があって、つながった竿を伝って俺の股下までぐっしょりと濡らしてくるんだ。
 ピンク色のブラからはみでた乳頭はもう限界まで膨らんでいて、汗でぬらぬらと濡れているものだから頭がだんだんぼうっとしてくる。

「ここ、じゃ……だめっ……」

 そうは言われても下半身だけ別の生物みたいに意思と関係なく動いてしまうのはお互い様だ。挿入を繰り返したことで愛液には厚みがでてきて、ぐぼ、ぐぼ、と卑猥な音に変わりつつある。
 もっともっと気持ち良くさせて、場所なんて気にならなくさせてやりたい。そう思いぐっと天井の一点に亀頭を当て、ぐ、ぐ、と押してから囁きかける。

「ここ、茜ちゃんの大好きなところ。ここから、ここまでをこすられると……ほら、すごく濡れてきた」

 じょわっと溢れてきたのは彼女にも分かる。すでに腰が小刻みな痙攣を始めており、身体は正直に「ここなんです♡」と訴えかけていた。子宮をきゅんきゅん鳴らして、その女の子としての衝動にこらえきれず「ああうッ!」と彼女は仰け反る。

 玄関に彼女を押しつけさせて、ぐぼ、ぐぼ、と宣言通りにそこを刺激する。声が出ないように指の腹を噛んでこらえていた彼女は、眉間に皺を刻んだまま挿入に合わせて声を漏らす。う、う、と唸り声に似たものを響かせて、そこを唾液が伝い落ちていった。
 噛んでいた指をがぽりと外すと、彼女は震える声で囁きかけてきた。

「い、一度、い、イキ、ます……、お兄さん」

 はあっと唇を開いて、唾液で濡れたものを押し当ててきた。かぽりと密着しきると茜ちゃんの甘い味が流れ込んできて、フーフーとくすぐったいくらいの鼻息を当てられながら腰の速度を速めていく。
 むっちりと絞めつけてくる愛液まみれの膣は、根本から先端までたくさんの段差があって俺に射精するよううながしてくる。すべすべで真っ白なお尻を撫でまわしながら、彼女の一番好きな場所を刺激していると、ビグン、と腰が震えた。
 びぐ、びぐんッ、とそれは尚も続き、たまらず彼女は唇を離す。

「あッ、うううッ! いっ、ぐっ!」

 アクメの気持ち良さを全身で表すように裸体を震わせて、尚も「うっうっ!」と仰け反りながら声を漏らす。内側も小刻みに痙攣をしており、また奥からとろりと厚みのある愛液が漏れてくるのを感じ取る。

 朦朧とした瞳で俺を見て、開きっぱなしの唇から呼吸を繰り返す。
 そんな彼女の背中に腕を回してブラを解くと、ゆさっと重量感のある乳房が解き放たれた。きっといまの彼女は脱がされていくことにも気づけていないだろう。

 そんな茜ちゃんを抱き支えると、俺はベッドルームのある二階を目指して階段を上り始める。彼女の瞳はまるで催眠がかけられたかのように朦朧としていた。
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