1 / 4
まだ四年生
しおりを挟む
引っ越しが終わった。人生初めての経験だった。
理由は、両親の離婚である。母親に無理やり連れてこられた僕は、無理を言って同じ小学校に電車で通う事にしてもらえた。
一度はクラスでお別れ会をして、友達との別れを悲しんだが、また友達と過ごせる日常を嬉しく思った。
「乗る電車はわかってる?」
車の窓を少し開けて、窓ガラス越しに心配をする
「うん。」
乗るのはただの数駅だが、四年生の僕にはとても不安で、切符を買うのさえ初体験だった。ポケットの中で擦れる硬貨は冷たく、余計に心細くさせた。
「大丈夫よ、駅の係員には藤男おじさんもいるし、学校に着いたら友達に自慢してやりな、電車で学校まで登校してきたんだぜ!って」
「うん。」
不安でいっぱいだった気持ちには、少しわくわくした気持ちが芽生え、行ってきますと言葉を残して駅のホームへと向かった。
「お、きたんけ!」
白髪の混じった頭の藤男おじさんは、早朝だというのに張り上げた声で話しかけてくる。
「おじさんおはようございます、鏡石までの切符をください」
緊張した手でお金を渡し、切符が貰えるのを待つ。
「はいよ、鏡石ね。偉いなぁ、一人で電車かぁ。」
「おじさんいつもここにいるの?」
「まぁこれが仕事だからな。まだちいせぇから怖いだろけど、そのうち慣れるさ。」
そう言って木の根のような指で切符をくれた。
「ほら、電車が来たぞ、行ってきな!」
「行ってきます!」
そう言って、同じ電車に乗るであろう高校生の後ろを着いて電車に乗った。車窓から早送りのように流れる景色は、これから友達に会える喜びを急かすようだった。
「え?!電車できたの?」
「うん、お母さんにたのんだんだ!」
仲のよかった真弘は、まるで犬のように走ってきて話しかけてきた。
「すげーな、じゃぁこれからも遊べるね!」
「うん!」
同じ教室に向かって廊下を歩き、教室に着くと。
「大誠じゃん!」
「え!?」
みんなの反応に顔が火照り、それを隠すように下を向いて席に着く。
「席につけー、朝の会するぞー」
少し遅れて先生が入ってくる。席にみんなが着いたあともザワつく教室。
「みんなも気づいてるけど、大誠が今日からまたこの教室で一緒に過ごすことになった!」
「やったー!」
「休み時間ドッチボールしよーぜ!」
まるで自分が太陽になったかのように皆は僕の方に体を向け、笑顔になっている。
「うん!」
「よし、それじゃ、今日の日直!朝の会を始めてくれ」
こうして、また変わらない日々が始まった。
理由は、両親の離婚である。母親に無理やり連れてこられた僕は、無理を言って同じ小学校に電車で通う事にしてもらえた。
一度はクラスでお別れ会をして、友達との別れを悲しんだが、また友達と過ごせる日常を嬉しく思った。
「乗る電車はわかってる?」
車の窓を少し開けて、窓ガラス越しに心配をする
「うん。」
乗るのはただの数駅だが、四年生の僕にはとても不安で、切符を買うのさえ初体験だった。ポケットの中で擦れる硬貨は冷たく、余計に心細くさせた。
「大丈夫よ、駅の係員には藤男おじさんもいるし、学校に着いたら友達に自慢してやりな、電車で学校まで登校してきたんだぜ!って」
「うん。」
不安でいっぱいだった気持ちには、少しわくわくした気持ちが芽生え、行ってきますと言葉を残して駅のホームへと向かった。
「お、きたんけ!」
白髪の混じった頭の藤男おじさんは、早朝だというのに張り上げた声で話しかけてくる。
「おじさんおはようございます、鏡石までの切符をください」
緊張した手でお金を渡し、切符が貰えるのを待つ。
「はいよ、鏡石ね。偉いなぁ、一人で電車かぁ。」
「おじさんいつもここにいるの?」
「まぁこれが仕事だからな。まだちいせぇから怖いだろけど、そのうち慣れるさ。」
そう言って木の根のような指で切符をくれた。
「ほら、電車が来たぞ、行ってきな!」
「行ってきます!」
そう言って、同じ電車に乗るであろう高校生の後ろを着いて電車に乗った。車窓から早送りのように流れる景色は、これから友達に会える喜びを急かすようだった。
「え?!電車できたの?」
「うん、お母さんにたのんだんだ!」
仲のよかった真弘は、まるで犬のように走ってきて話しかけてきた。
「すげーな、じゃぁこれからも遊べるね!」
「うん!」
同じ教室に向かって廊下を歩き、教室に着くと。
「大誠じゃん!」
「え!?」
みんなの反応に顔が火照り、それを隠すように下を向いて席に着く。
「席につけー、朝の会するぞー」
少し遅れて先生が入ってくる。席にみんなが着いたあともザワつく教室。
「みんなも気づいてるけど、大誠が今日からまたこの教室で一緒に過ごすことになった!」
「やったー!」
「休み時間ドッチボールしよーぜ!」
まるで自分が太陽になったかのように皆は僕の方に体を向け、笑顔になっている。
「うん!」
「よし、それじゃ、今日の日直!朝の会を始めてくれ」
こうして、また変わらない日々が始まった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
粗暴で優しい幼馴染彼氏はおっとり系彼女を好きすぎる
春音優月
恋愛
おっとりふわふわ大学生の一色のどかは、中学生の時から付き合っている幼馴染彼氏の黒瀬逸希と同棲中。態度や口は荒っぽい逸希だけど、のどかへの愛は大きすぎるほど。
幸せいっぱいなはずなのに、逸希から一度も「好き」と言われてないことに気がついてしまって……?
幼馴染大学生の糖度高めなショートストーリー。
2024.03.06
イラスト:雪緒さま
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
鬼上官と、深夜のオフィス
99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」
間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。
けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……?
「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」
鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。
※性的な事柄をモチーフとしていますが
その描写は薄いです。
皇帝陛下は身ごもった寵姫を再愛する
真木
恋愛
燐砂宮が雪景色に覆われる頃、佳南は紫貴帝の御子を身ごもった。子の未来に不安を抱く佳南だったが、皇帝の溺愛は日に日に増して……。※「燐砂宮の秘めごと」のエピローグですが、単体でも読めます。
ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない
絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる