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夜、あなたに会いに。
しおりを挟む--いつまでも消去できない写真。
そこには私とあなたが寄り添って写っている。
後ろに写る空の青色が鮮やかすぎて胸が痛くなる。
きっと今あなたが隣にいないのは誰のせいでもない。
きっとお互いにとって一緒にいるのが当たり前になり過ぎて、大切なことが見えていなかった。
ただそれだけ。
--
私は魔法が使える。時を超える魔法。
夜、あなたの写真を見ながら、目を瞑ってあなたの名前を呟く。
すると、わたしは時を超える。
次に目を開けるとあなたがいる。
あなたは私に微笑みかけていて、私はあなたに微笑みを返す。
まぶしい時間。
空が真っ青で、太陽の光が眩しくって思わず目を覆う。
日差しが暑くて、わたしが「暑いね」と言うと、あなたは「暑いね」と言ってくれる。
あの頃は一日があっという間だった。
♢♢
次の夜も私は魔法を使う。
目を瞑ってあなたの名前を呟く。
あなたの名前は時を超える私の翼だ。
目を開けると悲しい顔をしたあなたがいる。
あなたと喧嘩した時だ。
傘を差したあなたは、雨で足元を濡らしながら私の元から去っていく。
私は追いかけなかった。
追いかけたいけど、追いかけられない。
私は過去と同じ行動しかとれないから。
今の私は雨の中去っていくあなたがもう戻ってこないことを知っている。
けど、追いかけられない……。
♢♢
私は目を覚ました。頬には涙が伝っていた。
部屋には朝日が差し込んでいる。
手に握った携帯の電源をつけるとあなたの写真が写っていて、また泣きそうになるのを堪えた。
今日も長い一日が始まる……。
♢♢
また夜が来る。
今日あなたは私以外の誰の隣にいるのだろう?
後悔ばかりが募る日々。
私は今日も時を超える……。
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