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【第1章】異世界転移

【12話】試し撃ち

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 カレンに教えてもらい、1m半くらいの剣の打ち込み用の丸太を持ってきて並べた。

「これは切ってしまっていいんだよな?」

「ええ、普通は木刀での打ち込み用ですけど構いません。何を始めるんですか?」

「スキルの試し撃ちだよ」

 意気込んで剣の柄に手をかける。

「待て待て! 先に俺がやりたい!」

「え、まあ別にいいけど。やること分かってるのか?」

「おいおい、馬鹿にするなよ、分かってるって。1回目はとりあえず普通に切ればいいんだろ?」

「ああ、スキルにどのくらい効果あるか知る為にもまずは普通にだな」

 フレッドが刀を構えて、丸太に向かって横に振り抜く。丸太は刃の通った一直線に綺麗に両断された。

「おお、よく斬れるとは思ってたけどさすがランクA-だ」

「らんく……? ともあれ、凄いですね。分厚い丸太を一刀両断しちゃうなんて!」

「まだまだ凄いのはここからだぜ。《鋭利化》!」

 フレッドがスキル名を口に出すと、刀身が仄青く光った。スキルのエフェクトだ。
 スキルの発動を確認すると、フレッドが再び丸太めがけて刀を横一閃に振り抜いた。すると刀は丸太一本では止まらず、勢い余って隣に置いてあった丸太まで真っ二つにした。

「え、それって魔術ですか!? 使えないんじゃ……」

「うん、いまぁ、まあ使えるようになったんだよ」

「すげーぞ、このスキル! 斬った感触がまるで無かった。まるで素振りしてるみたいだ」

 スキル《鋭利化》。さっきマンティスラプターのちょうど20匹目を倒したときに得たスキルだ。
 〈デュプリケート〉ではスキルの会得方法は二つあった。一つ目は「条件達成型」。特定のモンスターの討伐数など、何らかの条件を達成することで得られるタイプだ。二つ目が「依頼達成型」。NPCなどから頼まれる依頼を達成することで得られるタイプだ。
 《鋭利化》はマンティスラプターの討伐数20で得られる「条件達成型スキル」らしい。

「やっぱりスキルの使用条件も〈デュプリケート〉と同じっぽいな。よし、じゃあ俺は」

 俺は右手で両刃剣を持って、ポップアップ中の『スキルプロパティ』から『スキル発動シーケンス登録』を選択した。
 そして左手を握って開く、手をグーパーする動作を登録し、『登録完了』をタップした。
 ポップアップを閉じ、手をグーパーする。すると《鋭利化》が発動される。

「『発動シーケンス』もちゃんと登録できたぞ」

「おお、そりゃだいぶ便利だな」

「しーけんす?」

 カレンは終始疑問符を浮かべていたが、何はともあれスキルが使えるようになった。戦略の幅がだいぶ広がりそうだ。

「レベル上げと一緒にスキルも集めなきゃな」

「おう、とりあえず何が欲しい?」

「遠距離攻撃と回避は必須だな」

「となると『依頼型』で目ぼしいのを集めてく感じだな」

 「依頼達成型」のスキル習得でよくあるのが、そのスキルを使えるNPCからの依頼をクリアするというタイプだ。

「カレン、この国で今から言う魔術が使える人を教えてくれないか?」

「はい! わたしの分かる範囲で何なりとお教えしますね」

「よし、じゃあまずは……」


  ♢♢
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