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耳人(みみびと)
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ヨッシーのショートshort「耳人(みみびと)」
ふわぁ~、
変なアクビがでた。
眠い、
昨日の徹夜が効いたのか?
頭を振ってみる。
カラン、カラン、何か音がした。
何だ?
耳垢でも溜まっているのかな?
久しぶりに耳掻きでもするか、
私は、引き出しから耳掻き棒を取り出した。
耳掻きをする。
ガサッ、ガリ、ガリ、ガリ、
気持ちいい~
コロン、
何だ?
何か大きいものが出た。
取り出す。
中から、小さなパンのような物が出て来た。
つまんで見てみる。
茶色い生地、丸い形、香ばしい匂い。どっからどう見てもパンだ。
不思議なことがあるものだ、パンに似た耳垢。
私は、少々変に思ったが、耳掻きを続けた。
ガサッ、ガリ、ガリ、ガリ、
コロン、
何だ?
何か大きいものが出た。
取り出す。
中から、小さな皿のような物が出て来た。
つまんで見てみる。
陶の材質、平たい形、白い色、どっからどう見ても皿だ。
不思議なことがあるものだ、皿に似た耳垢。
私は、少々変に思ったが、耳掻きを続けた。
ガサッ、ガリ、ガリ、ガリ、
コロン、
何だ?
何か大きいものが出た。
取り出す。
中から、小さなスプーンのような物が出て来た。
つまんで見てみる。
金属の材質、平たい楕円形の先、長い持ち手。どっからどう見てもスプーンだ。
不思議なことがあるものだ、スプーンに似た耳垢。
パンに皿にスプーン、まるで食事だな。
私は、少々変に思ったが、耳掻きを続けした。
ガサッ、ガリ、ガリ、ガリ、
コロン、
何だ?
今度は、かなり大きいものが出た。
取り出す。
中から、小さな人のような物が出て来た。
つまんで見てみる。
手足があり、ズボンを履き、シャツを着ている。どっからどう見ても人だ。
不思議なことがあるものだ、人に似た耳垢。
すると、
「おい」
何だ?
「おい、お前だよ」
小さな人が話しかけてきた。
「さっきから、俺の食事の邪魔ばかりしやがって」
小さな人は怒っていた。
「俺が食事をしていると、耳掻き棒でガリガリとかき回し、挙げ句の果てに、パンを持っていった」
「そして、黙っていたら、今度は皿とスプーンもだ」
「どういうつもりなんだよ!」
「えっ?」
私は、突然の状況に理解が出来なかった。
「あなたは、誰ですか?」
「知らないのか、耳人だよ」
「耳人?」
「耳人ってのはな、お前が生まれた時から耳の中に住んでいるんだよ」
「ええっ、私が生まれた時から!?」
「そうだよ、生まれた時からな」
「どうやって?」
「知らないのか?」
「はは~ん、学校で教わってないな。人間はな、みんな生まれた時に、耳一つずつに俺たちみたいな耳人が入るんだよ」
「し、知りませんでした」(汗)
「まったく、お前は無知だな~」
「あなたは、私の耳の中で何をしているのですか?」
「それも知らないのか?」
「お前の耳に入ってくる音を、振り分けているんだよ」
「振り分けている?」
「そうさ、必要な音、必要で無い音、それを俺が振り分けているんだ。いわゆるミキシングってやつだな」
「そうだったのですか、いつも有難うございます」
「まあな、仕事だからな」
「俺たちが居ないと大変だぞ。何でも聞こえてしまって、頭がパニックになってしまうぞ」
「それは困ります」
「まあな」
「そう言えば、たまに、キーンという耳鳴りが鳴る時がありますが、あれは何ですか?」
「悪い悪い、あれはミキサーの調整でな、ハウリング現象だ」
「そうだったのですか」
「しかし、補聴器をしている人はどうしているのですか?」
「ああ、補聴器をしている人は、俺たちみたいな耳人が死んでしまっているんだよ」
「死んでしまっている?」
「そうさ、俺たちも食事をとらないと死んでしまうからな」
「死んでしまうと、ミキシングができくなってしまうんだ。だから、補聴器で補うんだ」
「大変ですね」
「ああ、大変だ。だったら気をつけてくれ」
「解りました。気をつけます」
「これからはな、耳掻きをする時はちゃんと連絡をしてから耳掻きをしてくれ」
「解りました。しかし、どうやって?」
「スマホに電話してくれ、LINEでもいいぞ、ほい、連絡先」
連絡先を渡す耳人。
「解りました。必ず電話します」
「解ったら、悪いが、俺とパンと皿とスプーンを元に戻してくれないか。食事の途中だったからな」
「はい、解りました」
私は、そーっと彼を耳の中に戻した。
途中、彼は最後に一言言った。
「反対側にはな、別の耳人が住んでいるからな」
えっ!誰だろう?
ふわぁ~、
変なアクビがでた。
眠い、
昨日の徹夜が効いたのか?
頭を振ってみる。
カラン、カラン、何か音がした。
何だ?
耳垢でも溜まっているのかな?
久しぶりに耳掻きでもするか、
私は、引き出しから耳掻き棒を取り出した。
耳掻きをする。
ガサッ、ガリ、ガリ、ガリ、
気持ちいい~
コロン、
何だ?
何か大きいものが出た。
取り出す。
中から、小さなパンのような物が出て来た。
つまんで見てみる。
茶色い生地、丸い形、香ばしい匂い。どっからどう見てもパンだ。
不思議なことがあるものだ、パンに似た耳垢。
私は、少々変に思ったが、耳掻きを続けた。
ガサッ、ガリ、ガリ、ガリ、
コロン、
何だ?
何か大きいものが出た。
取り出す。
中から、小さな皿のような物が出て来た。
つまんで見てみる。
陶の材質、平たい形、白い色、どっからどう見ても皿だ。
不思議なことがあるものだ、皿に似た耳垢。
私は、少々変に思ったが、耳掻きを続けた。
ガサッ、ガリ、ガリ、ガリ、
コロン、
何だ?
何か大きいものが出た。
取り出す。
中から、小さなスプーンのような物が出て来た。
つまんで見てみる。
金属の材質、平たい楕円形の先、長い持ち手。どっからどう見てもスプーンだ。
不思議なことがあるものだ、スプーンに似た耳垢。
パンに皿にスプーン、まるで食事だな。
私は、少々変に思ったが、耳掻きを続けした。
ガサッ、ガリ、ガリ、ガリ、
コロン、
何だ?
今度は、かなり大きいものが出た。
取り出す。
中から、小さな人のような物が出て来た。
つまんで見てみる。
手足があり、ズボンを履き、シャツを着ている。どっからどう見ても人だ。
不思議なことがあるものだ、人に似た耳垢。
すると、
「おい」
何だ?
「おい、お前だよ」
小さな人が話しかけてきた。
「さっきから、俺の食事の邪魔ばかりしやがって」
小さな人は怒っていた。
「俺が食事をしていると、耳掻き棒でガリガリとかき回し、挙げ句の果てに、パンを持っていった」
「そして、黙っていたら、今度は皿とスプーンもだ」
「どういうつもりなんだよ!」
「えっ?」
私は、突然の状況に理解が出来なかった。
「あなたは、誰ですか?」
「知らないのか、耳人だよ」
「耳人?」
「耳人ってのはな、お前が生まれた時から耳の中に住んでいるんだよ」
「ええっ、私が生まれた時から!?」
「そうだよ、生まれた時からな」
「どうやって?」
「知らないのか?」
「はは~ん、学校で教わってないな。人間はな、みんな生まれた時に、耳一つずつに俺たちみたいな耳人が入るんだよ」
「し、知りませんでした」(汗)
「まったく、お前は無知だな~」
「あなたは、私の耳の中で何をしているのですか?」
「それも知らないのか?」
「お前の耳に入ってくる音を、振り分けているんだよ」
「振り分けている?」
「そうさ、必要な音、必要で無い音、それを俺が振り分けているんだ。いわゆるミキシングってやつだな」
「そうだったのですか、いつも有難うございます」
「まあな、仕事だからな」
「俺たちが居ないと大変だぞ。何でも聞こえてしまって、頭がパニックになってしまうぞ」
「それは困ります」
「まあな」
「そう言えば、たまに、キーンという耳鳴りが鳴る時がありますが、あれは何ですか?」
「悪い悪い、あれはミキサーの調整でな、ハウリング現象だ」
「そうだったのですか」
「しかし、補聴器をしている人はどうしているのですか?」
「ああ、補聴器をしている人は、俺たちみたいな耳人が死んでしまっているんだよ」
「死んでしまっている?」
「そうさ、俺たちも食事をとらないと死んでしまうからな」
「死んでしまうと、ミキシングができくなってしまうんだ。だから、補聴器で補うんだ」
「大変ですね」
「ああ、大変だ。だったら気をつけてくれ」
「解りました。気をつけます」
「これからはな、耳掻きをする時はちゃんと連絡をしてから耳掻きをしてくれ」
「解りました。しかし、どうやって?」
「スマホに電話してくれ、LINEでもいいぞ、ほい、連絡先」
連絡先を渡す耳人。
「解りました。必ず電話します」
「解ったら、悪いが、俺とパンと皿とスプーンを元に戻してくれないか。食事の途中だったからな」
「はい、解りました」
私は、そーっと彼を耳の中に戻した。
途中、彼は最後に一言言った。
「反対側にはな、別の耳人が住んでいるからな」
えっ!誰だろう?
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