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事情
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さて、二人の婚姻には、少々入り組んだ事情というものがあった。
それを簡単に整理すれば、次の通りになる。
一、立花道雪は嫡男に恵まれず、当時七歳だった一人娘の誾千代に家督の全てを譲り渡してしまった事。
一、ところが道雪が突然、同じ大友家の重臣・高橋紹運の嫡男統虎を気に入り、養子縁組を打診した事。
一、紹運は当然固辞したが、強引に押し通した道雪が縁組に成功した事。
それにしても、他家の嫡子を養子にくれと言う方も言う方だが、それに応えて渡す方も渡す方だ。
それだけ親同士の信頼が厚いものだと言えばその通りだが、普通では到底有り得ない。
しかし、そんな有り得ない珍事が実際に、目の前で現実のものになったのである。
さあ、これに怒り狂ったのが誾千代だった。
正統な立花山城主である自分を差し置き、他家から新しい主を迎えるとは何事か!!
誾千代はこの養子縁組に断固反対し、力尽くでもこれを阻止すると息巻いた。
娘の強行姿勢に困り果てた父道雪は、どうにかしてその怒りを鎮めようと試みたが、かえって油に火注ぐ結果となり事態は泥沼化状態になってしまった。
だが、問題はそれだけではなかった。
そんな立花家のゴタゴタを耳にして、今度は高橋家の嫡男・統虎が激怒したのである。
向こうがその気も無いのに、こちらが敢えて頭を下げてまでお願いする必要などない!!
統虎はそう言って、立花家を激しく非難したのであった。
追い詰められた両家の父親は密かに会合を開き、二人に対しこう口裏を合わせる旨を確認した。
この婚姻は主家・大友を島津や龍造寺から守るためのもの。
その為には、何があっても両家の絆を強固にしなくてはならないのだ、と。
主家である大友の名を出されては、さすがの頑固者二人もそれ以上反発は出来ず、親の顔を立てる意味合いからも渋々ながら此度の婚姻を受け入れたのであったー。
と言うのが、これまでに於ける話の大まかな流れである。
そしてお互い不信感を募らせたまま、いよいよ二人は共に奥の間の寝所に入って行ったのであった。
それを簡単に整理すれば、次の通りになる。
一、立花道雪は嫡男に恵まれず、当時七歳だった一人娘の誾千代に家督の全てを譲り渡してしまった事。
一、ところが道雪が突然、同じ大友家の重臣・高橋紹運の嫡男統虎を気に入り、養子縁組を打診した事。
一、紹運は当然固辞したが、強引に押し通した道雪が縁組に成功した事。
それにしても、他家の嫡子を養子にくれと言う方も言う方だが、それに応えて渡す方も渡す方だ。
それだけ親同士の信頼が厚いものだと言えばその通りだが、普通では到底有り得ない。
しかし、そんな有り得ない珍事が実際に、目の前で現実のものになったのである。
さあ、これに怒り狂ったのが誾千代だった。
正統な立花山城主である自分を差し置き、他家から新しい主を迎えるとは何事か!!
誾千代はこの養子縁組に断固反対し、力尽くでもこれを阻止すると息巻いた。
娘の強行姿勢に困り果てた父道雪は、どうにかしてその怒りを鎮めようと試みたが、かえって油に火注ぐ結果となり事態は泥沼化状態になってしまった。
だが、問題はそれだけではなかった。
そんな立花家のゴタゴタを耳にして、今度は高橋家の嫡男・統虎が激怒したのである。
向こうがその気も無いのに、こちらが敢えて頭を下げてまでお願いする必要などない!!
統虎はそう言って、立花家を激しく非難したのであった。
追い詰められた両家の父親は密かに会合を開き、二人に対しこう口裏を合わせる旨を確認した。
この婚姻は主家・大友を島津や龍造寺から守るためのもの。
その為には、何があっても両家の絆を強固にしなくてはならないのだ、と。
主家である大友の名を出されては、さすがの頑固者二人もそれ以上反発は出来ず、親の顔を立てる意味合いからも渋々ながら此度の婚姻を受け入れたのであったー。
と言うのが、これまでに於ける話の大まかな流れである。
そしてお互い不信感を募らせたまま、いよいよ二人は共に奥の間の寝所に入って行ったのであった。
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