異世界でも童貞確定した俺が【処女膜再生】という超絶に使えない最強魔法を与えられて魔王を倒しにいくお話。

伊勢池ヨシヲ

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第50話

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 俺とアナスタシアは、エスタの指示のもと料理の下拵えに取りかかった。

 まずはこのオトナノガングダケなのだが……。

 触りたくないのを我慢して手に取ると、まだ生きていたのか激しく暴れだした。

「……あっ!」
「きゃあ!」

 俺の手から勢いよく飛び出したオトナノガングダケが、あろうことかアナスタシアの豊満な胸の谷間にすぽっとはまり込んでしまった。

 ええええええええ!?

 いやいやいや、その絵面はヤバいって!!

「ちょ、ス、スグル! 取って取って取って取ってえええええ!!」

 アナスタシアが激しく動揺して懇願するものの、場所が場所だけに俺には取るに取れない。

 というよりも目の前の光景に、俺のの方も暴れ出してどうにも身動きが取れないんですよ……。

「は、早く……取って……、あ、あぁ……」

 オトナノガングダケがアナスタシアの胸の谷間で妖しく蠢いている。

「ちょ、エスタ! またアナスタシアが大変なことになっているから早くあれを取ってやってくれ!」
「いや、あれはあれでよい。しばらくするとあるモノが採れるはずじゃ」
「あるモノ??」
「そうじゃ。それもこれから作る料理に使うものじゃ」

 エスタは全く動じる様子もなく、てきぱきと料理の準備を続けている。

「そんなこと言ってる場合じゃないだろ! 早く取ってやらないと!」

 オトナノガングダケの動きは激しさを増し、それとともにアナスタシアの顔は苦痛に歪んで……いや、むしろ恍惚な表情を浮かべてやがる。

「あ、あっ……、ああああああ!」

 あぁ、もう! こうなったら俺が取るしかない!

 意を決して手を伸ばした瞬間――。

 ドピュッ!

 オトナノガングダケから白くどろっとした液体が勢いよく飛び出した。

「ふぇ~ん、何これぇ……」

 頭から顔まで大量の白い液体にまみれるアナスタシア。

「ふむ、たくさん採れたようじゃの。オトナノガングダケが昇天する際に出す白い液体は《幻のミルク》と言われていてとても貴重なモノなのじゃ」
「そ、そうなんだ……」

 貴重だと言われても俺には全くそんな風に思えない。

「しゅぐりゅううう、早くこれどうにかしてえええ……」

 涙目で訴えるアナスタシアが可哀想でもあり、すっごくエロくもある。

「よし、小娘よ。その調子で他のオトナノガングダケからもたくさんのミルクを採るのじゃぞ」
「お前は鬼畜か!」

 俺はエスタに盛大なツッコミを入れた。

 そんなこんなで、鬼畜なエスタの容赦ない指示により、アナスタシアを使っていくつものオトナノガングダケから《幻のミルク》と呼ばれる白い液体を採取した。

 そのアナスタシアはというと、最初こそ泣き喚いていたものの、最後の方は物欲しそうな顔つきになって、自ら進んでオトナノガングダケを胸元に押し込むほどだった。

 まぁ良くやったと褒めてやりたいところではあるけれど、今は放心状態で艶めかしく横たわっている。ここはそっとして置いてやろう。

 さて、これでやっと料理に取りかかれる。

 まず、昇天したオトナノガングダケの軸を取り傘の部分、いわゆる頭を包丁で縦に薄くスライスしていく。

 同様に、胴体である軸の部分も縦に薄くスライスする。

 鍋でバターとオリーブオイルを熱して、カット野菜とともにスライスしたそれらをを投入。

 そして小麦粉を少量と、香りづけにスパイス類を適量加えてしばらく炒める。

 ある程度色が変わってきたら、鍋に半分くらいまで水を入れてひと煮立ち。

 ここでいよいよ、アナスタシアが身体を張って採ったあの《幻のミルク》の登場だ。

 大きめなマグカップに数杯ほど採れたそのミルクを、煮立った鍋に加えて弱火でコトコト煮る。

 ここまでエスタの指示通りに作ってきたわけだが、ようやく何が出来るのか分かってきた気がする。

 とろみがでてきたら塩、コショウで味を調え、最後にチーズを加えて完成だ。

 使われている具材はともかく、見た目はなかなかどうして美味そうじゃないか。

「うむ、これでよいじゃろう」

 最後の仕上げと味見をしたエスタがオーケーを出した。

「ずばり、精がつくオトナノガングダケの濃厚クリームスープじゃ!」

 精がつくとか濃厚とか色々と意味深なんだが……。

「むむっ、何やら美味しそうな匂いが!」

 放心状態で横たわっていたアナスタシアが、がばっと起き上がった。

「お前って奴は本当に食い物には目がないんだな」

 俺は呆れつつ、でもこいつの食いっぷりは嫌いじゃない。

「さて、冷めないうちに食べるのじゃ」

 エスタが鍋のスープをカップによそいかけたその時。

 ――ドサッ。

 俺たちの目の前に何かが落ちてきた。

「おわぁ! く、熊? ……って、んんっ??」

 よく見ると落ちてきたのは熊ではなく、熊の着ぐるみを着た女の子だった。

 女の子はのそりと上半身を起こしたものの、すぐにへなへなと倒れ込んでしまう。

「だ、大丈夫か?」

 俺は恐る恐る近寄り、うずくまる女の子の肩に手をかけた。

 か、可愛いっ!

 着ぐるみ越しに赤みがかった栗色の髪と白い肌が覗く。

 ぐるるるるるるるるるるる~。

「……お腹、空いた」

 女の子は目を開けるとかぼそい声でそう呟いた。
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