異世界でも童貞確定した俺が【処女膜再生】という超絶に使えない最強魔法を与えられて魔王を倒しにいくお話。

伊勢池ヨシヲ

文字の大きさ
上 下
46 / 70

第46話

しおりを挟む
 受注したクエストの結果については、その成否に関わらずボンクエに報告することになっている。

 そこで、今回俺たち《チェリー&ヴァージン》が引き受けたワース湖でのレタス狩りクエストについて、ボンクエに報告するわけなのだが……。

「ん? どうしたのだ、スグル。さっきから浮かない顔をして」
「当たり前だろう。結局、俺たちはクエストを達成できなかったんだからな」

 能天気に問いかけてきたナスタシアの顔にイラっときたのをぐっと堪える。

 レタス狩りの最中に成り行きで湖賊と戦うことになり、俺たちはどうにかこうにか勝つことができた。

 それはいい。けれど、肝心のレタスの収穫はゼロ……。

 そして、クエストの報酬はレタスを売った利益ということなので、収穫ゼロということは当然ながら報酬もゼロ。

 むしろ、漁船や漁具のレンタル代など諸々の経費がかかった分マイナスだ。

 報酬がないので、マイナス分はそのままギルドへの借金ということになってしまう。

 湖族に襲われた時、せっかく収穫したレタスを全部捨ててしまったのだが、あれを売ることができていたら1万フリンにはなったはずなのに……。

 湖賊を倒したことで、地元のギルドの人たちからは感謝され、英雄扱いまでされたりもした。けれど、ぶっちゃけそんなのは1フリンにもならない。

「なぁに、心配せんでもよい。1万フリンくらいなら我がちゃちゃっと都合をつけてやるぞ」
「えっ、本当か?」

 初めてエスタのことを頼もしく思った……のも束の間。

「ここにサインするだけでよい」

 エスタは下心丸見えのゲスい顔で懐から婚姻届を取り出した。

「だから、俺はまだ結婚できる年齢じゃないっての! ていうか、できる年齢になってもお前と結婚なんかしないわ!」

 まったく、エスタときたら油断も隙もあったもんじゃない。

   ※   ※   ※

 ボンクエの中に入ると、さっそく見慣れた顔の失業者……いや、おっさんたちが絡んできた。

「よぉ、聞いたでぇ兄ちゃん! あの湖賊をやっつけたって、なっからすげんじゃねん!」
「は、はぁ……」

 おっさんのうちの一人が、馴れ馴れしく俺の肩に手を回して話しかける。

「俺はさぁ、オメェならいつかでっけぇことやんじゃねんかと思ってたんさぁ!」
「いえいえ、そんなことないっす……」

 ちょっ、顔近いって。おまけに酒臭ぇ……。

「あんだけの活躍したんじゃ報酬もなっから出たんじゃねん? 今っから街ぃ繰り出して、それでパァ~とやんべやぁ!」

 くっ……。このおっさん、それが目当てか。

「あ、いえ、これからクエストの報告があるんで……」

 俺は肩にかけられたおっさんの手をさっと払いのけた。

「そうなんきゃ? そんじゃそれが終わったら、お姉ちゃんをモミモミできる所へでも行くんべぇ!」

 おっさんは下卑た笑いを浮かべながら俺の肩をがしがしと叩く。

「おい、そこの下郎! 我の旦那様に馴れ馴れしく触れるでない! それに童貞である旦那様がそのようないかがわしい所へ行くわけがなかろう!」
「ちょ、エスタ、童貞は余計だっての!」
「がはは! 何だ、兄ちゃんはまだ童貞なんきゃ? いっくら湖賊をやっつけちまうほど強くったって、童貞じゃダメだんべでぇ! おっしゃ、そんじゃなおさらモミモミしに行かなきゃだんべやぁ!」

 おっさんが大声で騒ぎ立てるせいで周囲の視線が俺たちに集まる。

 くっそ。何ていう恥辱だよ、これ……。

「何を言うか下郎! 旦那様よ、そやつの言葉に耳を貸してはならんぞ! モミモミしたいのならば、妻である我をいくらでもモミモミするがよい!」
「いやいやいや、モミモミしないから!」

 真っ平らな胸を突き出したエスタに、お前にモミモミするところなんてないだろうと俺は心の中でつっこんだ。

 どうせモミモミするのならアナスタシアの……。

「おいスグル! ど、どこを見ているのだ、この童貞が!」

 アナスタシアが顔を赤らめながら両手でその豊満な胸を覆い隠した。

「い、いや、見てないし! ていうか、お前も童貞って言うんじゃない!」

 俺は動揺を隠しながらも、ついついアナスタシアの胸へと視線が行ってしまうのを止められない。

「そこのお客様方! 他のお客様のご迷惑となりますのでお静かに願います!」

 俺たちはいつものように受付のお姉さんに怒られたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

処理中です...