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第1章 女神の一番長い日

女神の一番長い日 3

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 朝、明るくなってきたせいか、テレストリアルガード基地の建物が詳しく見えてきました。滑走路の脇には3つのかまぼこ型の巨大格納庫が並んでました。
 今1つの格納庫の引き分けの扉が開き、巨大な軍用機が出てきました。さらにその隣りの格納庫からは、別の軍用機が現れました。F-35戦闘機を一廻り大きくしたような機体です。
 巨大な軍用機はストーク号、戦闘機型の軍用機はヘロン号と呼ばれてるテレストリアルガード専用の機体です。もちろんたくさんのオーバーテクノロジーが搭載されてます。
 ストーク号のコックピットは大きな空間。操縦席は2座席あり、今その1つに香川隊長が、もう1つには一般の隊員が座ってます。
 2人ともヘルメットをしてますが、ヘッドアップディスプレイやマスクはありません。隊長はヘルメットと一体になったヘッドセットに話しかけました。
「墜落箇所は判明したか?」
 マイクの向こうは、オペレーションルームの女性隊員。
「それが・・・ 未確認飛行物体は多少はコントロールされてるようです。墜落地点はまだ判断できません!」
「だいたいでいい。教えてくれ!」
「はい!」
 少し時間が開き、再び無線機から、
「鵜取町です! 詳しい経度・緯度のデータを送ります!」
「了解!」
 隊長は隣りのシートに座ってる一般隊員に命令です。
「よし、離陸!」
「了解!」
 ストーク号が垂直離陸を開始。ヘロン号のコックピットからもこれが見えました。
 ヘロン号には2人の隊員が縦に並んで座ってました。ベテランの隊員と若手の隊員です。
 いかにも戦闘機と言った感じの狭いコックピット。こちらの2人はヘッドアップディスプレスやマスクを装着してます。
 前に座ってるベテランの隊員が後ろに座ってる若手の隊員に呼びかけます。
「よし、こっちも浮上開始だ!」
「了解!」
 ヘロン号も垂直離陸を開始しました。
 垂直離陸というと通常下向きのジェットエンジン(リフトファン)かヘリコプターのような回転翼を使いますが、両機ともそれがありません。まったくの無音です。
 実は2機とも反重力エンジンを装備してました。これは宇宙傭兵部隊ヴィーヴルから供与された軍事技術の1つです。
 ある程度の高さまで浮上すると、ストーク号もヘロン号も空中で静止しました。
 ストーク号に乗ってる隊長は、再びヘッドセットのマイクに発言しました、
「ヘロン号、位置情報を入力したか?」
 ヘロン号の隊員の1人が応えます。
「はい、いつでも瞬間移動ジャンプできます!」
「よし、瞬間移動ジャンプ!」
 ストーク号の一般隊員がその命令に反応。
瞬間移動ジャンプ!」
 ヘロン号の一般隊員も、その命令に反応しました。
瞬間移動ジャンプ!」
 すると、なんとストーク号もヘロン号もぱっと消滅してしまいました。

 ここは山に囲まれた町、鵜取町。空の青さがさらに増してきました。その上空にストーク号とヘロン号が忽然と現れました。瞬間移動、テレポーテーションです。これもヴィーブルから技術供与された軍事技術の1つ。
 2機はそのまま無音で空中に静止しました。
 ストーク号のコックピット。一般隊員がモニターを確認してます。
「チェック、オールグリーン! 機体に問題はありません!」
 一方こちらはヘロン号のコックピット。若手の隊員が下を見てます。下は新興の住宅地。鉄道の駅も見えます。
「おいおい、ここに墜ちてくんのかよ?」
 ベテランの隊員がそれに応えます。
「こんなところに宇宙船が堕ちたら、大惨事になるぞ・・・」

 再びストーク号のコックピット。今女性隊員から無線が入りました。
「隊長、墜落地点はさらに西になりました!」
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