リトルクイーンのいけない魔法(R18+)

のどか

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 急ブレーキ。姫の身体は空中要塞の外壁と平行になり、最後は右肩から激しく激突。ガーン! 姫は痛みを感じたらしく、思わずしかめっ面に。
「くーっ!・・・」
 地上のグラニは唖然。
「ええ・・・」
 ほかの地上にいる市民や兵も唖然としてます。

 鉄の馬に跨ってるブリュンは、姫の行動を見て不思議に思いました。
「え、なんで? なんで突入を諦めたの?」
 と、ブリュンはひらめきました。
「あは、そっか! 貫通魔法はある一定以上のスピードが出てないと貫通できないんだった。ふふ、あの、光弾を避けることに夢中になって、スピードを出すことを完全に忘れてたみたいね!」
 姫は右手で思いっきり空中要塞の壁面を押し、その反動で空中要塞から離れました。
「逃がすかよ!」
 ブリュンが駆る鉄の馬は、再び姫を追いかけ始めました。
 姫は後ろから追いかけて来るブリュンを横目で見ます。
「ち、あいつ、真後ろから撃つつもり?・・・」
 姫を追い駆けるブリュンはニヤッと笑いました。
「ふふふ・・・ 横から狙うから当たらないんだ。真後ろから狙えば当たる確率は高くなるはず!」
「ちっ!」
 姫が乗る箒は大きく廻り込みます。ブリュンが駆る鉄の馬は、姫が乗る箒をピタッと追走します。
「ふふ、どこに行く気? 絶対逃がさないよ!」
 ブリュンの鉄の馬が加速。一気に姫との差を詰めます。姫は再び背後のブリュンを、特に彼女が抱く光弾銃に注目しました。
 光弾銃の威力は自衛隊の小銃よりはるかに強大。防御魔法スヴェルクーゲルの光の球体を張っても、経験上2発目で破られます。裏を返せば、1発目はなんとか持ちこたえてくれるはず? 2発目を喰らう前にあの空中要塞に突入できれば・・・
 姫は右手で首からぶら下げている碧いブローチを握りました。
「お願い、少しの間でいいから、私を守って!
 防御魔法スヴェルクーゲル!」
 すると姫の身体は淡い球状の光に包まれました。と同時に、姫が乗る箒がさらに加速。あっという間にトップスピードに。ブリュンとの差が再び開き始めました。
 ブリュンは光弾銃を構えました。照準を姫の背中に合わせます。光弾銃の銃爪ひきがねにブリュンの指がかかりました。ブリュンの顔はほくそ笑んでます。
「ふふ、バーカ!」
 ブリュンの指が銃爪ひきがねを引きました。バキューン!
 発射された光弾が姫の背中に向かって飛んでいきます。そして・・・
 光弾は姫の身体を包む淡い光の障壁を貫通し、姫の背中に命中。そのまま胸から飛び出し、再び淡い光の障壁を突き抜け、空中要塞の外壁に命中。大きな火花が散りました。
 姫が受けた衝撃はとんでもないものでした。声にならない悲鳴を上げ、次の瞬間、首がガクンと垂れ下がりました。ああ、姫は死んでしまったのでしょうか?
 地上で見守っていた市民や兵は愕然。グラニも愕然。そして叫びました。
「お姉ちゃーん!」

 ブリュンが乗る鉄の馬は、空中要塞のたった今被弾した外壁のすぐ側に停止。ブリュンはみずからが傷つけた外壁の傷にてのひらでタッチ。そしてナルヴィを思い出しました。
「あ~あ、大きな穴開けちゃった。こりゃあまた怒るよな、あの男・・・」
 ブリュンは光弾銃の銃口を見ました。
「ふふ、やっぱ思った通り。光弾銃の先っちょを細工して光弾を細くしたら威力が増したよ。1発であのを仕留めることができたっと!」
 と、ここでブリュンははっとしました。姫はうつむいた状態、身体は微動だにしません。が、箒に乗ったまま空中に浮いてるのです。
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