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女神は準一に説明します。
「私は現世で結ばれることなく非業の死を遂げたカップルを来世で結びつけることを仕事としてます。
もし、どちらか1人が死んだのに、もう1人がそのあと長生きしたら、不都合が生じると思いません? もう1人はずーっと待たされるんですよ。その間どちらかの気が変わるかもしれません。
私は明確な基準を設けてませんが、2人が同時に亡くなる、または1人が亡くなったあと、24時間以内にもう1人が亡くなった場合のみ、2人同時の輪廻転生を認めてます」
準一はその女神の発言の意味がイマイチわからないようですが、なんとなく理解しました。
女神は言葉を続けます。
「私は現世に生きてるすべての人の人生を見守ってます。必要ならその人の未来を見ることもあります。私はあなたの願いを成就させる気です。これがどういう意味か、わかりますよね?」
「じゃ、姫は24時間以内に死ぬことは確定しているんですか?・・・ ああ・・・」
準一は思いました。
「姫は禁忌の黒い箱を開けた。あの箱には呪いがかかっていて、開けると24時間後に死ぬことになってる。もう遅いのか?・・・」
準一は発想を変えることにしました。
「もうこうなったら姫の最期の願望を叶えてやろうじゃないか! オレ、それに協力することはできないのか?・・・
そうだ! これは厚かましいお願いかもしれないけど・・・」
そして女神を見ました。
「この女神様ならきっと・・・」
準一は映像を映すディスプレイを見て、
「女神様、お願いです! オレを蘇らせてください! あの世界に戻してください!」
女神は呆れた顔をして、
「それが可能とでも?」
「オレ、すでに1回蘇ってるんですよ!」
「ええ、背中に彫った刺青の効果で蘇りましたね。けど、私にはそれはできません」
準一は感極まって思いがけない行動に出ました。なんと土下座したのです。
「ムリは承知です! お願いです!オレを、オレをもう1度蘇らせください! あなたならきっとできるはずだ!」
しかし、女神は反応しません。準一はさらに頭を下げます。
「オレは姫を・・・ あの女性を助ける義務があるのです! そのために姫が生きてる世界にやってきたんです! 蘇らせてください! お願いします!」
準一の声は涙声。女神は再び呆れたという顔を見せ、
「まあ、正直なことを言いましょう。蘇らせることは可能です。けど、それにはいろいろと条件があります。あなたにとって苦渋の条件となりますが、それをすべて呑むことができますか?」
準一は安心した顔を見せ、
「聞かせてください、その条件を!」
「それはですね・・・」
宙に浮く空中要塞。そのコントロールルーム。いま自動のドアが開き、ブリュンが入ってきました。ブリュンは入室早々大あくび。
「ふわ~ なんですか、こんな時間に? 例の大砲を撃つ時刻まで、まだ1時間以上もあるじゃないですか?」
玉座のような艦長席、いや、艦長席のような玉座に座ってるナルヴィは、かなりのおかんむり。
「ふざけんな!」
と一喝。コンソールに座ってる兵たちは肩をすくめます。けど、ブリュンにはあまり効いてないようです。眠たそうな眼のまま、ふわ~っとまたあくびをしました。
ブリュンは魔女。ナルヴィが部下に処刑を命じても、魔法を使ってさっさと逃亡する術を知ってます。これではナルヴィの叱責をまともに聞くはずがありません。
ちなみに、ブリュンは昨日、正確には今朝未明までほとんど寝てません。夜間ナルヴィのためにずーっと戦ってたのです。
「私は現世で結ばれることなく非業の死を遂げたカップルを来世で結びつけることを仕事としてます。
もし、どちらか1人が死んだのに、もう1人がそのあと長生きしたら、不都合が生じると思いません? もう1人はずーっと待たされるんですよ。その間どちらかの気が変わるかもしれません。
私は明確な基準を設けてませんが、2人が同時に亡くなる、または1人が亡くなったあと、24時間以内にもう1人が亡くなった場合のみ、2人同時の輪廻転生を認めてます」
準一はその女神の発言の意味がイマイチわからないようですが、なんとなく理解しました。
女神は言葉を続けます。
「私は現世に生きてるすべての人の人生を見守ってます。必要ならその人の未来を見ることもあります。私はあなたの願いを成就させる気です。これがどういう意味か、わかりますよね?」
「じゃ、姫は24時間以内に死ぬことは確定しているんですか?・・・ ああ・・・」
準一は思いました。
「姫は禁忌の黒い箱を開けた。あの箱には呪いがかかっていて、開けると24時間後に死ぬことになってる。もう遅いのか?・・・」
準一は発想を変えることにしました。
「もうこうなったら姫の最期の願望を叶えてやろうじゃないか! オレ、それに協力することはできないのか?・・・
そうだ! これは厚かましいお願いかもしれないけど・・・」
そして女神を見ました。
「この女神様ならきっと・・・」
準一は映像を映すディスプレイを見て、
「女神様、お願いです! オレを蘇らせてください! あの世界に戻してください!」
女神は呆れた顔をして、
「それが可能とでも?」
「オレ、すでに1回蘇ってるんですよ!」
「ええ、背中に彫った刺青の効果で蘇りましたね。けど、私にはそれはできません」
準一は感極まって思いがけない行動に出ました。なんと土下座したのです。
「ムリは承知です! お願いです!オレを、オレをもう1度蘇らせください! あなたならきっとできるはずだ!」
しかし、女神は反応しません。準一はさらに頭を下げます。
「オレは姫を・・・ あの女性を助ける義務があるのです! そのために姫が生きてる世界にやってきたんです! 蘇らせてください! お願いします!」
準一の声は涙声。女神は再び呆れたという顔を見せ、
「まあ、正直なことを言いましょう。蘇らせることは可能です。けど、それにはいろいろと条件があります。あなたにとって苦渋の条件となりますが、それをすべて呑むことができますか?」
準一は安心した顔を見せ、
「聞かせてください、その条件を!」
「それはですね・・・」
宙に浮く空中要塞。そのコントロールルーム。いま自動のドアが開き、ブリュンが入ってきました。ブリュンは入室早々大あくび。
「ふわ~ なんですか、こんな時間に? 例の大砲を撃つ時刻まで、まだ1時間以上もあるじゃないですか?」
玉座のような艦長席、いや、艦長席のような玉座に座ってるナルヴィは、かなりのおかんむり。
「ふざけんな!」
と一喝。コンソールに座ってる兵たちは肩をすくめます。けど、ブリュンにはあまり効いてないようです。眠たそうな眼のまま、ふわ~っとまたあくびをしました。
ブリュンは魔女。ナルヴィが部下に処刑を命じても、魔法を使ってさっさと逃亡する術を知ってます。これではナルヴィの叱責をまともに聞くはずがありません。
ちなみに、ブリュンは昨日、正確には今朝未明までほとんど寝てません。夜間ナルヴィのためにずーっと戦ってたのです。
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