リトルクイーンのいけない魔法(R18+)

のどか

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 巨大な兵は廊下に飛び出し、持っていたトゲトゲだらけの金属製のこん棒(モーニングスター)を振り上げました。
「女王、覚悟ーっ!」
 が、姫は想像してた以上のスピードで飛んできました。すぐ眼の前まで来てたのです。
「ええーっ、もうこんなところまで来てんの!?」
 箒の先が巨大な兵の腹に激突、の寸前、腹に大きな穴が開き、姫の身体はそのまま素通り。巨大な兵は唖然。
「え・・・」
 巨大な兵の上半身は廊下にドスンと落ちました。上半身と下半身が完全に分離してしまったのです。
 一直線に突き進む姫を乗せた箒。奥にあったドアがあっという間に近づいてきました。姫は祈ります。
「お願い!・・・」
 箒の先が奥のドアに激突、の寸前、ドアとその周囲の壁に丸い穴が開き、箒は素通りしました。
 ベランダの手すりも突き破り、ついに姫は屋外に出ることに成功。姫は思わず歓声をあげました。
「やったーっ!」
 が、次の瞬間、姫ははっとしました。眼の前にブリュンがいるのです。ブリュンはまったく同じ高度で待ち受けてました。
「ええーっ!?・・・」
 ブリュンははるか未来から調達してきた空飛ぶバイク、この世界の人々からは、空飛ぶ鉄の馬と呼ばれてるマシーンにまたがってました。両手には1丁の光弾銃も見えます。
「もーっ、ここまできたっていうのにーっ!」
 姫はスピードを維持し、そのままブリュンの脇を通り過ぎようとします。ブリュンは姫を眼で追いながら、
「あ~ら、女王様。配下の者を見捨てて逃げるなんて卑怯じゃありません?」
 と言うと、光弾銃を発射。
「ふふ、お仕置きしないといけないようね!」
 その光弾が姫の身体めがけ飛んできました。防御魔法スヴェルクーゲルの光を張る余裕はありません。姫は身体を捻ってその光弾を避けようとします。
「くっ・・・」
 が、光弾は姫の右の二の腕をピシュッ!とかすりました。思わず悲鳴をあげる姫。
「うぎゃーっ!」
 姫の身体は箒から投げ出させれました。姫は落ちながら念じます。
「こんなところでやられてたまるかーっ! 箒よ、来てーっ!」
 すると箒が姫の側に瞬間移動してきました。が、姫はその箒を掴むことはできません。
 姫は元々左手はありません。右手はたった今撃たれた衝撃でしびれ、手を伸ばすことさえできないのです。
 焦る姫。
「ああ・・・」
 そのまま落ちていく姫。そして・・・
 ドサッ! 姫の身体は2階上の広大なルーフバルコニーに尻から落ちました。その瞬間、姫の身体にとてつもない衝撃が走りました。
「ああ・・・
 か、身体が動かない・・・」
 そう、姫の腰骨はバラバラになってしまったのです。
 これを上空から見ているブリュン。
「おやおや、地面に落ちるかと思いきや、あんなところにバルコニーが・・・
 ふふ、こりゃ、とどめを刺す必要があるようね」
 が、ここでブリュンははっとします。2人の兵が姫の身体に向かって駆けてきたのです。身に付けてる装備からして、グラニ帝国軍の兵のようです。
「あ~あ、残念。とどめはあいつらの方が先みたいね」

 バルコニーの上、姫に向かって駆けてきた2人の兵。
「なんだ、なんだ? なんでこんなところにガキが落ちてきたんだ!?」
 兵の1人は姫の身体を観察します。
「魔女のような出で立ち。左手がない・・・ こいつ、ノルン王国の女王だぞ!」
「ええ、じゃ、こいつを殺せば、オレたちの出世は・・・」
「ああ、間違いなしだぜ!」
 一方姫の身体はピクリとも動きません。悔しいのか、悲しいのか、涙を流してます。
「私、こんなところで死ぬの? 嫌だよ、絶対嫌!・・・
 準一、私を助けて・・・」
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