リトルクイーンのいけない魔法(R18+)

のどか

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 空中要塞に貼りついてる兵たちを呼ぶことができれば・・・ もう一度誰かに行ってもらおうか?・・・
 けど、空中要塞がある場所は、同じイザヴェル市内とはいえ、走っても30分はかかります。往復1時間。この時間、はたして国境警備隊は持つの?
 いや、馬を走らせれば、もっと早いかも・・・ で、でも、そんなことしてる時間もないか?・・・
 姫はふと廊下の突き当たりにあるドアを見ました。このドアの向こうは小さなベランダ。そう、屋外なのです。
 と、姫の脳裏に侍従長の最期の姿がよみがえってきました。
「これで私がかけた魔法は解除されました。あなたは自由に空を飛べます」
「そうだ、私は飛べるんだ! 私が呼びに行けばいいじゃん!」
 姫は右手を大きく上げ、
「出でよ、箒!」
 すると箒がこつ然と現れ、その手に握られました。それを見て国境警備隊員たちはびっくり。
「おおーっ!」
 姫はその箒を眼の高さで水平に。ゆっくりと手を離すと、箒は宙に浮いたままになりました。
「大丈夫。私の飛行魔法は回復してる!」
 飛行魔法が使えるのなら、それに付随した魔法、貫通魔法も使えるはずです。
 貫通魔法とは、箒に乗って遮蔽物などに突っ込むと、箒の柄の先端がその遮蔽物に当たる寸前、遮蔽物に人1人分の穴が開くという魔法。
 しかしです。遮蔽物に穴を開けるとなると、かなりのスピードが必要になります。ゼロからのスタートとなると、最低50mは必要か?
 今眼の前にある廊下、ぱっと見た眼、奥のドアまで30mあるかどうか? けど、やってみる価値はあります!
 私があの空中要塞に張り付いているノルン王国軍を呼んで来れば、形勢はきっと逆転するはず! 姫は決意しました。
 姫は国境警備隊員に質問しました。
「私、王宮こっから出てってもいい?」
「ええ? い、いいですけど、どうやって? ここはとんでもない高さですよ。窓から飛び降りることは絶対不可能ですよ!」
 すると姫は持ってる箒を見て、
「大丈夫、私、これに乗って飛ぶから!」
 と宣言。それを聞いて国境警備隊員たちは顔を見合わせました。うち1人が、
「そう言えば箒に乗って空を飛ぶことができましたよね、女王様は!」
 もう1人の国境警備隊員。
「けど、どうやって王宮こっから出るんですか?」
 その男は振り返り、部屋の中の小さい窓を見ました。
「あの窓じゃ、あまりにも小さ過ぎますよ!?」
 姫は廊下の奥にあるドアを見て、
「あのどん突きにあるドアをぶち破る!」
「ええ?・・・ 体当たりで壊すんですか?」
「うん!」
 国境警備隊員たちが慌てます。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ! そんなこと、できるんですか!?」
 姫は自信満々に応えます。
「安心して、私は魔法使い。あのドアをぶち破るなんて、簡単、簡単!」
 別の国境警備隊員も質問。
「けど、この廊下、半分より向こうはグラニ帝国軍の支配下にあるんですよ!?」
「大丈夫! 邪魔するやつは、全員蹴散らしてやるから!」
 姫は箒に跨りました。
「さあ、行くぞーっ!
 うぉーっ!」
 姫が気合を入れると、姫の身体は青いオーラに包まれました。逆立つ髪の毛。姫の周りだけ重力が逆転してるようです。それを見てびびる国境警備員たち。
「うう・・・」
 ドピューン! 姫が乗った箒が物凄い勢いでスタート! その風圧に国境警備員たちは圧倒されます。
「うわー!・・・」

 廊下の途中の角から姫たちをみていたグラニ帝国軍の兵がびっくり。
「お、おい、女王が飛んでくるぞ、箒に乗って、こっちに!」
 その兵の後ろにいた兵がそれに反応しました。相撲取りよりも横幅がある巨大な兵です。
「ぐはははっ! 面白い、オレが叩き落としてやらーな!」
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