リトルクイーンのいけない魔法(R18+)

のどか

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 と、ここで姫はひらめきました。
「そうだ!」
 姫は侍女の赤くなった脇腹に右のてのひらをかざし、
「飛行魔法は封じられたけど、こっちの魔法はまだ使えるはず!
 自己治癒魔法ハイルングクーゲル!」
 と宣言。すると姫の掌から淡い光が現れました。侍従長はそれを見て、
「おお、自己治癒魔法ハイルングクーゲル!・・・」
 と感嘆な声をあげました。が、すぐに1つの疑問が思い浮かび、頭の中でつぶやきました。
「いや、自己治癒魔法ハイルングクーゲルは自分にしか使えないはず。他人には使えないのでは?・・・」
 姫の右掌から出ている光が消えました。姫は侍女に質問。
「どう?」
「はい、かなり楽になりました!」
 姫の顔はぱっと明るくなりました。
「あは、よかった!」
 しかしです。実は侍女の脇腹のケガは何1つ良くなってませんでした。侍女はウソをついたのです。
 やはり侍従長の記憶通り、姫の自己治癒魔法ハイルングクーゲルは他人には使えない魔法だったようです。
 と、ドアの向こうから会話が聞こえてきました。3人ははっとします。

 宮殿内の廊下。男性2人が歩いてます。2人ともデモ隊の生き残りです。2人とも小銃を持ってますが、市井の人間のせいか、右手でグリップ、左手で銃身を持ってます。これではとっさに小銃を撃てません。
「いったい今何人生き残ってんだ、デモ隊は?」
「さあなあ・・・ もしかしたらオレたち2人だけになったかも?」
「まあ、敵もあと2~3人。なんとかなるんじゃないか・・・」
「けどなあ、肝心な女王はまだ生き残ってるんだ。あいつを殺さないと話が終わらないぞ」
 と、1人の男が下の方を見てはっとしました。
「ん?」
 その男がしゃがみ込みました。男の眼の前のカーペットには染みのようなものがあります。
「これ、血か?」
「え?」
 もう1人もしゃがみ込んで、その染みを観察します。
「う~ん、ワインの染みじゃねぇの?」
 最初にしゃがんだ男は、指先でその染みに触れました。そしてその指先を自分の眼の前に持ってきました。
「濡れてる?・・・」
 それを聞いてもう1人の男がびっくり。
「ええ、じゃ、今ついたばっかり?・・・」
 2人が眼を上げると、そこにはドアがありました。2人は視線と視線を合わせ、うなずきました。
 リネン室。今ドアが開き、先ほどの2人のデモ隊の生き残りが入ってきました。2人は小銃を持ってますが、やはりすぐ撃てる体勢ではありません。
 2人の眼が捕らえたリネン室の中は無人。
「いない、誰も?」
 突然ガサッという音。2人の男はさっとそっちの方向に身体を向けます。
「そこか!?」
 が、そこには誰にもいません。と、いつの間にか2人の背後に小銃を構えた侍女が立ってました。
「ここよ!」
 はっとする2人。
「えっ!?」
 ズババババーン! 炸裂する銃弾。
「うぎゃーっ!」
 2人はあっという間に蜂の巣になってしまいました。
 ガサッという物音がした場所には数個の木箱が。その背後から侍従長が現れました。
「どうやらこれで全員片付いたようじゃな」
 侍女は応えます。
「いや、少なくともまだ1人は残ってますよ」
 侍従長は大広間の観音開きのドアから小銃を乱射してる間者のリーダー格を思い出し、
「そう言えば、いたな・・・ あの男、間者か? 間者だったら厄介だな・・・」
 別の物陰から姫が姫が現れました。姫は心配顔で侍女に質問。
「あ、あの~ ケガの方は大丈夫?」
「大丈夫です、心配はいりません!
 さあ、行きましょう! 今の銃声で我々の居場所がバレたはず。残りの1人が襲って来たら大変です!」
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