リトルクイーンのいけない魔法(R18+)

のどか

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 姫は考えました。
「なんで私、じぃを殺そうとしてんの? そこまでして箒に乗って逃げたいの?」
 姫は拳銃を握る腕を降ろしました。
「卑怯だよ、じぃ・・・」
 ちなみに、侍従長が読んだ魔法本によると、この魔法は魔法をかけた者が死んでも消えないようです。
 ま、正確には、これは魔法ではありません。催眠術です。ゆえに魔法(催眠術)をかけた者が死んでも、魔法にはなんら関係がないのです。
 と、突然の声。
「ご注進ーっ!」
 一同が声の方向に振り向くと、こちらに駆けて来る近衛兵が。正式な近衛兵の甲冑をまとった近衛兵です。近衛兵が侍従長たちの元に到着。かなり息を切らしてます。
「た、大変です!・・・」
 侍従長が質問。
「どうした?」
「デモ隊に最終防衛ラインを突破されました」
 一同はびっくり。
「ええーっ!?」
 侍従長はけげんな顔を見せ、
「お前たちに渡しておいたろ、姫が命がけで調達してきた小銃を! なんで最終防衛ラインを突破されたんだ!? 相手が持ってる武器は、せいぜい弓矢くらいだろ!?」
「それが・・・ グラニ帝国の魔女に小銃を奪われ・・・」
 それを聞いて姫ははっとしました。あの魔女がすぐ側にいる。準一を謀殺したあの女・・・
 侍従長は姫の顔色の変化に気づきました。なんだかんだと言いましたが、姫は今だにあの魔女ブリュンに恨み骨髄なのです。
「姫、今はガマンですぞ!」
 姫は悔しそう。右手の拳銃をぎゅっと握りしめます。
「くっ・・・」
 侍従長が今来た近衛兵に質問。
「まだいるのか、魔女は?」
「いいえ、我々が撃った弾丸タマ魔女やつの足を撃ち抜き、悲鳴をあげて逃げて行きました。しかし、近衛兵の大半は魔女に殺されてしまい、デモ隊の侵入を許してしまいました・・・」
「王宮内に侵入してきたデモ隊の数は?」
「10人前後」
「10人、たったそれだけか?」
 侍女が侍従長に、
「まだ入って来る可能性があります!」
  その進言にイラっとしたのか、侍従長は怒りの声。
「わかっておる!」
 侍従長は今来た近衛兵に再び質問。
「警備についていた近衛兵は、今何人残ってる?」
「私を含め、4人」
 それを聞いてお側ご用人の2人と黒ずくめの近衛兵たちはびっくり。
「ええ、たった4人?・・・」
 侍従長。
「残り3人は警備を続けてるのか?」
「いいえ、デモ隊にも小銃を奪われてしまいまして・・・」
 それを聞いて近衛兵たちはざわめきます。
「あ、あれをデモ隊に奪われてしまったのか?・・・」
「警護が大変になるぞ・・・」
 侍従長はちょっと考え、発言。
「仕方がないな。やはりあの要塞に張り付いてる兵の半分をこっちに回そう!」
 そして思います。
「トランシーバーは壊れていたな・・・ ちっ、こんなときに限って!・・・」
 次に今来た近衛兵に、
「さっき4人生き残ってると言ったな、近衛兵は? 馬に乗れる状態なのか、4人は? ケガは?」
「ありません」
「じゃ、4人で行ってこい!」
「御意!」
「小銃で撃たれても構わず突っ走るんじゃぞ! な~に、相手はデモ隊とはいえ、一般市民じゃ。武器の使用には馴れてないはず。4人同時に殺されることはないじゃろ!」
 まるで死んで来いと言ってるような命令です。姫は唖然としました。あの近衛兵は死を賭けて他の兵隊を呼びに行こうとしている、私のために・・・
 けど、彼はプロの近衛兵。王室を守るためなら自分の命もいとわないのです。
「では!」
 と言うと、近衛兵は元来た方向へ走り去って行きました。侍従長はそれを見送ると、ぼそっとつぶやきます。
「さて、どうしたものかのう? 姫をどこに逃がせばいいものか?・・・」
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