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次の瞬間、無数の銃弾が飛んできて、リーダー格の近衛兵を蜂の巣にしました。
「うぎゃーっ!」
小銃を撃ったのは、最後まで生き残ったデモ隊の1人でした。地面に転がっていた小銃を拾い上げ、連射したのです。
生き残った近衛兵は4人。4人は焦ります。
「うう・・・」
4人は反射的に建物の奥に引っ込んでしまいました。上官が死んだせいで、戦意を喪失してしまったようです。
生き残ったデモ参加者たちは、集まって話を始めました。こちらも10人程度しか残ってません。内1人が口を開きました。
「どうする、みんな?」
男性の1人は箒に乗って飛行してるブリュンを思い浮かべ、
「オレたちゃ、あの魔女に踊らされていたっていうことか?」
その疑問に生き残った男たちが次々と反応していきます。
「けどなあ・・・ オレたちゃウルズ王国出身者とスクルド王国出身者だろ。ずーっとこの国の王を恨んで生きてきたんだ、いつかは復讐してやるって!」
「ああ、オレたちの王様はつま先から徐々にミンチにされて処刑されたんだ、公衆の面前でな! こんな屈辱、他にあるか!?」
「あの処刑を指示したのは、先代の王!」
「そう、今の女王の祖父!」
「あの女王を殺めることができれば、オレたちの積年の恨みは晴らされるんだ!」
「ふふ、やってみる価値はあんな!」
男の1人が右手を上げ、持ってた小銃を掲げました。
「よし、みんな、この飛び道具を集めろ! こいつぁかなり使えるぞ! これであの女王を討つんだ!」
彼以外のデモ隊参加者一同が一斉に呼応しました。
「おーっ!」
暗闇の中、1艘の舟が水面を進んでます。何の変哲もない木製の小型の舟。乗ってるのは船頭1人だけ。実はこの船頭、近衛兵の1人です。
ここは城壁をぐるっと囲む堀。真っ暗なところを見ると、王宮の裏手のようです。
舟は扉の前に止まりました。城壁に取り付けられた観音開きの小さな扉です。思いっきり手を伸ばしドアをノックする船頭。すると扉が開きました。
開け放たれた扉の中は暗闇。そこから短い梯子が降ろされました。その梯子を伝って1つの巨体が下り始めました。コマンダーです。いつもとはちょっと違う黒ぽい服装を身にまとってます。
巨漢のコマンダーは梯子の途中で止まり、扉の中を見て、
「さあ、姫!」
すると暗闇の中から1つの小さな人影が現れました。姫です。姫の服装ですが、いつもの魔女ぽい服装です。このような暗闇の中では、黒っぽい服装は有利です。
姫の背後には侍従長がいます。さらにその背後には、お側ご用人の2人と複数の黒ずくめの近衛兵がいます。
侍従長は舟に乗ったコマンダーを見て、苦虫を噛み潰したような表情を見せました。侍従長は姫の護衛に5人ほどの近衛兵を舟に乗せるつもりでした。が、コマンダーが真っ先に勝手に舟に乗ってしまったのです。
この男、かなりの巨漢。3人分くらいの体重があります。この男のせいで侍従長が乗せるつもりだった近衛兵は乗れなくなってしまいました。
侍従長はお側ご用人の2人を見て、
「お前たちも乗れ!」
それを聞いて侍従はびっくり。
「ええ?・・・」
「ここはヘタに近衛兵を乗せるより、いつも姫と一緒にいるお前たちが乗った方がいいだろう!」
いや、侍従長は武器の扱いに慣れた近衛兵を乗せたいのですが、先述の通り、先に巨漢のコマンダーが乗ってしまいました。残ったスペースはわずか。そこでお側ご用人の2人を乗せることにしたのです。
お側ご用人の侍女は低身長。狭いスペースでも乗ることができます。やる気マンマンな侍女は喜んで返事します。
「はい!」
侍従も慌てて返事。
「わ、わかりました!」
「うぎゃーっ!」
小銃を撃ったのは、最後まで生き残ったデモ隊の1人でした。地面に転がっていた小銃を拾い上げ、連射したのです。
生き残った近衛兵は4人。4人は焦ります。
「うう・・・」
4人は反射的に建物の奥に引っ込んでしまいました。上官が死んだせいで、戦意を喪失してしまったようです。
生き残ったデモ参加者たちは、集まって話を始めました。こちらも10人程度しか残ってません。内1人が口を開きました。
「どうする、みんな?」
男性の1人は箒に乗って飛行してるブリュンを思い浮かべ、
「オレたちゃ、あの魔女に踊らされていたっていうことか?」
その疑問に生き残った男たちが次々と反応していきます。
「けどなあ・・・ オレたちゃウルズ王国出身者とスクルド王国出身者だろ。ずーっとこの国の王を恨んで生きてきたんだ、いつかは復讐してやるって!」
「ああ、オレたちの王様はつま先から徐々にミンチにされて処刑されたんだ、公衆の面前でな! こんな屈辱、他にあるか!?」
「あの処刑を指示したのは、先代の王!」
「そう、今の女王の祖父!」
「あの女王を殺めることができれば、オレたちの積年の恨みは晴らされるんだ!」
「ふふ、やってみる価値はあんな!」
男の1人が右手を上げ、持ってた小銃を掲げました。
「よし、みんな、この飛び道具を集めろ! こいつぁかなり使えるぞ! これであの女王を討つんだ!」
彼以外のデモ隊参加者一同が一斉に呼応しました。
「おーっ!」
暗闇の中、1艘の舟が水面を進んでます。何の変哲もない木製の小型の舟。乗ってるのは船頭1人だけ。実はこの船頭、近衛兵の1人です。
ここは城壁をぐるっと囲む堀。真っ暗なところを見ると、王宮の裏手のようです。
舟は扉の前に止まりました。城壁に取り付けられた観音開きの小さな扉です。思いっきり手を伸ばしドアをノックする船頭。すると扉が開きました。
開け放たれた扉の中は暗闇。そこから短い梯子が降ろされました。その梯子を伝って1つの巨体が下り始めました。コマンダーです。いつもとはちょっと違う黒ぽい服装を身にまとってます。
巨漢のコマンダーは梯子の途中で止まり、扉の中を見て、
「さあ、姫!」
すると暗闇の中から1つの小さな人影が現れました。姫です。姫の服装ですが、いつもの魔女ぽい服装です。このような暗闇の中では、黒っぽい服装は有利です。
姫の背後には侍従長がいます。さらにその背後には、お側ご用人の2人と複数の黒ずくめの近衛兵がいます。
侍従長は舟に乗ったコマンダーを見て、苦虫を噛み潰したような表情を見せました。侍従長は姫の護衛に5人ほどの近衛兵を舟に乗せるつもりでした。が、コマンダーが真っ先に勝手に舟に乗ってしまったのです。
この男、かなりの巨漢。3人分くらいの体重があります。この男のせいで侍従長が乗せるつもりだった近衛兵は乗れなくなってしまいました。
侍従長はお側ご用人の2人を見て、
「お前たちも乗れ!」
それを聞いて侍従はびっくり。
「ええ?・・・」
「ここはヘタに近衛兵を乗せるより、いつも姫と一緒にいるお前たちが乗った方がいいだろう!」
いや、侍従長は武器の扱いに慣れた近衛兵を乗せたいのですが、先述の通り、先に巨漢のコマンダーが乗ってしまいました。残ったスペースはわずか。そこでお側ご用人の2人を乗せることにしたのです。
お側ご用人の侍女は低身長。狭いスペースでも乗ることができます。やる気マンマンな侍女は喜んで返事します。
「はい!」
侍従も慌てて返事。
「わ、わかりました!」
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