リトルクイーンのいけない魔法(R18+)

のどか

文字の大きさ
上 下
109 / 143

109

しおりを挟む
 姫は必死に訴えます。
「彼らもノルン王国の国民よ。どんな事情があっても、絶対撃っちゃだめ!」
 広場兼庭園では弓矢をデモ参加者に配ってる男の姿がありました。やぐらの上の近衛兵はそれを見て、
「なんだ、あいつ? 弓矢を配ってるやつがいるぞ!?」
 弓矢を配ってる男をアップ。実は彼はグラニ帝国の間者。少し前にブリュンに接触した間者です。透明になってるブリュンはそれを見て、
「ふふ、ナイス!」
 間者は弓矢を配りながら思いました。
「万が一を考え用意しておいた弓矢がこんな形で役に立つとは、思ってもみなかったぜ!」
 荷車を水路に落とされた夫婦が、この男に駆けてきました。
「オ、オラたちにも弓矢をくれ!」
 男はこの夫婦に弓矢を渡し、
「ああ、いいよ! どんどんってくれ!」
 しかし、夫は弓を射ったことがないようです。
「あちゃーっ、オラ、これ、ったことないんだ。どうりゃいいんだ?・・・」
 夫は横目で弓矢を射ってる人を見て、矢を弓につがえました。
「こうやるのか?」
 夫、やぐらの上に向け矢を発射。矢はやぐらの半分くらいしか飛びませんでしたが、夫は満足顔。
「あは、こいつは面白い!」

 物見やぐらでこれを見ている近衛兵は、再び姫を見て、
「もうみんなに弓矢が行き渡ってます。このままでは危険です! 銃を撃たせてください!」
 けど、姫の反応は否定的。再び怒鳴ります。いや、今度は金切声です。
「だめったら、だめーっ!」
 複数の矢が飛んできました。その矢が近衛兵の甲冑に次々と当たります。もちろん矢は甲冑を貫くことはできません。が、甲冑をまとってない姫にはかなり危険。侍従長は姫を見て、
「姫、ここは危険です! 避難しましょう!」
 侍従長は近衛兵たちを見て、
「みんな、姫を守るんじゃ!」
「御意!」
 侍従長は無理やり姫の右腕をひっぱり、出入り口へ。近衛兵たちはその2人を半円に囲みます。透明になって宙に浮いてるブリュンはそれを見て、
「ふふ、いい調子! いい調子! あ~あ、私もなんか飛び道具を持ってくればよかった・・・」

 姫たちが向かう物見やぐらの出入り口から将軍が出てきました。将軍は高齢なせいか、なんとか物見やぐらのてっぺんに到達したようです。
「はぁはぁ・・・ やっと、やっと到着したぞ・・・」
 次の瞬間、1本の矢が飛んできて、放物線を描き、将軍の身体へ。そして・・・ グサッ! 将軍の額に刺さりました。
「うぐっ・・・」
 それは姫の眼の前の出来事。姫は唖然。
「しょ、将軍!?・・・」
 将軍は何か一言発した直後、後ろにバタンと卒倒してしまいました。その場にいた一同は唖然。そして叫びました。
「将軍!」
 将軍の身体を観察したお側ご用人の侍女は、みんなの顔を見て、顔を横に振りました。唖然とする姫。
「そ、そんな・・・」
 コン! 近衛兵の1人の後頭部(甲冑)に矢が当たりました。
「ち・・・
 ここは危険です!」
 侍従長は再び姫の右二の腕を握り、
「姫、早く!」
 姫は将軍の亡骸なきがらを名残惜しそうに見ながら、侍従長に曳かれていきます。そのまま出入り口の奥に消えて行きました。お側ご用人の2人もそれに続きます。近衛兵たちは顔を見合わせ、
「我々も退避しよう!」
「了解!」
 近衛兵たちも物見やぐらから退きました。
 これを空中から見ているブリュン。
「ふふ、こっちは放棄されたか?」
 ブリュンは振り向き、もう1つの物見やぐらを見ました。
「こっちはどうなってんの?」
 もう1つの物見やぐらでは、今コマンダーが1人の近衛兵にラリアットを喰らわしたところ。ぶっとい腕のラリアットを喰らって、その近衛兵は泡を吹いて卒倒します。
「ぐふぉーっ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

入れ替わった恋人

廣瀬純一
ファンタジー
大学生の恋人同士の入れ替わりの話

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

リアルフェイスマスク

廣瀬純一
ファンタジー
リアルなフェイスマスクで女性に変身する男の話

処理中です...