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侍従長は空中要塞を思い浮かべ、
「あの空中要塞の攻略はムリじゃろ・・・ 我々が今できることは、姫を密かに王宮の外に脱出させることだけじゃ」
将軍。
「以前の王宮には脱出用の地下通路があったが、その王宮は先代の地震魔法で潰れてしもうた。残念だか、今の王宮には地下通路はない・・・」
コマンダー。
「姫は飛行魔法が使えるから、それで脱出してもらいますか?」
それに侍従長が応えます。
「いや、あの巨大要塞は飛び道具の塊のような?・・・ 特に都市1つを破壊してしまう大砲で撃たれたら、空中にいる姫は恰好の餌食になるぞ!」
実は侍従長の脳裏には別の懸念がありました。姫を箒に乗せて飛ばすと、逃走せず、空中要塞に突っ込んで行って、敵将と刺し違えるような気がしてならないのです。今は姫を箒に乗せない方が得策です。
と、その瞬間、侍従長はある魔法を思い出しました。その魔法はかなり特殊な魔法。マナの力を持たない者でも使える魔法ですが、かなり身近にいる者でなければ効果がありません。
侍従長は姫が生まれた時から面倒を見てきました。侍従長なら姫に使用できるはず。侍従長はその魔法を使うことを決意しました。
話を臨時ブリーフィングに戻します。コマンダーの脳裏に別の案が思い浮かびました。
「じゃ、大広間の魔法円で異世界に逃げてもらう、というのは?」
侍従長が応えます。
「う~ん・・・ 魔法円で異世界に行ったあと、グラニ帝国に魔法円を消されたら、姫は元に戻れなくなってしまうじゃろ」
これも大ウソ。姫が図書館と言ってた建物に行って、例の薄くって面積の大きい本を持ってきて、そこに記された魔法円を描けば、姫は帰って来れるはずです。
侍従長は姫が異世界に逃げたはいいが、すぐに舞い戻ってきて、あの空中要塞に突っ込むことをほんとうに恐れてるのです。
コマンダーは残念そう。ぽつりと、
「あれもダメ。これもダメ・・・ やっぱ真夜中に裏の門から脱出させることくらいしか選択肢がないのか?・・・」
侍従長。
「うむ、夜になったら行動を開始しよう!」
コマンダーと将軍が応えました。
「御意!」
侍従長は今度はお側ご用人の2人を見て、
「お前たちは引き続き姫を警護しろ。今度は部屋に入って直に警護するんだ。姫のことだ、箒に乗ってあの要塞に突撃する可能性が十分ある。ちゃんと見張ってるんだぞ!」
2人は恭しく応えます。
「御意!」
空中要塞は王宮のはるか上空に停止してました。
そのコントロールルーム。ナルヴィがコンソールを操作してる兵に、
「よし、このまま着陸しよう! 王宮を押し潰すんだ!」
この指令にコンソールの前に座ってる兵たちはびっくり。兵だけではありません。ブリュンもびっくりしてます。
「ええ~!?」
技術者が応えます。
「皇子様、それはいくらなんでもムリがありますよ。この要塞の底部はかなり頑丈に造ってありますが、王宮と激突したらさすがに穴が開いてしまうかもしれません。
底部にはこの要塞が宙に浮くための機関が集中してます。もし底部に穴が開いて機関が壊れてしまったら、この要塞は2度と浮かばないかもしれません」
実はこの空中要塞には、本来備わってなければいけない装備がいくつも欠けてます。電磁シールド発生装置もその1つ。
電磁シールド発生装置ですが、電磁シールドを発生させ、この空中要塞を覆い、あらゆる物理攻撃を防ぐ装置です。これを発生させ着陸すれば、王宮を押し潰すことも十分可能です。
それ以前に、本来なら真下に下向きに巨大な大砲(ビーム砲)が備わってなくてはいけません。
「あの空中要塞の攻略はムリじゃろ・・・ 我々が今できることは、姫を密かに王宮の外に脱出させることだけじゃ」
将軍。
「以前の王宮には脱出用の地下通路があったが、その王宮は先代の地震魔法で潰れてしもうた。残念だか、今の王宮には地下通路はない・・・」
コマンダー。
「姫は飛行魔法が使えるから、それで脱出してもらいますか?」
それに侍従長が応えます。
「いや、あの巨大要塞は飛び道具の塊のような?・・・ 特に都市1つを破壊してしまう大砲で撃たれたら、空中にいる姫は恰好の餌食になるぞ!」
実は侍従長の脳裏には別の懸念がありました。姫を箒に乗せて飛ばすと、逃走せず、空中要塞に突っ込んで行って、敵将と刺し違えるような気がしてならないのです。今は姫を箒に乗せない方が得策です。
と、その瞬間、侍従長はある魔法を思い出しました。その魔法はかなり特殊な魔法。マナの力を持たない者でも使える魔法ですが、かなり身近にいる者でなければ効果がありません。
侍従長は姫が生まれた時から面倒を見てきました。侍従長なら姫に使用できるはず。侍従長はその魔法を使うことを決意しました。
話を臨時ブリーフィングに戻します。コマンダーの脳裏に別の案が思い浮かびました。
「じゃ、大広間の魔法円で異世界に逃げてもらう、というのは?」
侍従長が応えます。
「う~ん・・・ 魔法円で異世界に行ったあと、グラニ帝国に魔法円を消されたら、姫は元に戻れなくなってしまうじゃろ」
これも大ウソ。姫が図書館と言ってた建物に行って、例の薄くって面積の大きい本を持ってきて、そこに記された魔法円を描けば、姫は帰って来れるはずです。
侍従長は姫が異世界に逃げたはいいが、すぐに舞い戻ってきて、あの空中要塞に突っ込むことをほんとうに恐れてるのです。
コマンダーは残念そう。ぽつりと、
「あれもダメ。これもダメ・・・ やっぱ真夜中に裏の門から脱出させることくらいしか選択肢がないのか?・・・」
侍従長。
「うむ、夜になったら行動を開始しよう!」
コマンダーと将軍が応えました。
「御意!」
侍従長は今度はお側ご用人の2人を見て、
「お前たちは引き続き姫を警護しろ。今度は部屋に入って直に警護するんだ。姫のことだ、箒に乗ってあの要塞に突撃する可能性が十分ある。ちゃんと見張ってるんだぞ!」
2人は恭しく応えます。
「御意!」
空中要塞は王宮のはるか上空に停止してました。
そのコントロールルーム。ナルヴィがコンソールを操作してる兵に、
「よし、このまま着陸しよう! 王宮を押し潰すんだ!」
この指令にコンソールの前に座ってる兵たちはびっくり。兵だけではありません。ブリュンもびっくりしてます。
「ええ~!?」
技術者が応えます。
「皇子様、それはいくらなんでもムリがありますよ。この要塞の底部はかなり頑丈に造ってありますが、王宮と激突したらさすがに穴が開いてしまうかもしれません。
底部にはこの要塞が宙に浮くための機関が集中してます。もし底部に穴が開いて機関が壊れてしまったら、この要塞は2度と浮かばないかもしれません」
実はこの空中要塞には、本来備わってなければいけない装備がいくつも欠けてます。電磁シールド発生装置もその1つ。
電磁シールド発生装置ですが、電磁シールドを発生させ、この空中要塞を覆い、あらゆる物理攻撃を防ぐ装置です。これを発生させ着陸すれば、王宮を押し潰すことも十分可能です。
それ以前に、本来なら真下に下向きに巨大な大砲(ビーム砲)が備わってなくてはいけません。
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