95 / 143
95
しおりを挟む
それを聞いて王宮の部屋の中に籠っていた姫ははっとしました。
ナルヴィの喧伝が続きます。
「我が軍が誇るこの空中要塞には、1発で1つの都市を灰にしてしまう巨大な大砲が装備されてる。その気になれば、この街なんざ、一撃で木端微塵に破壊することができるっ!」
それを聞いて市民たちは騒めきます。
「お、おい、オレたちを一気に焼き払う気かよ?・・・」
けど、コントロールルームにいるブリュンは別のことを思って、苦笑いしてました。
「あは、このバカ皇子、また大ウソをついてんよ。この要塞にそんな武器は搭載してないって。それ以前に、飛び道具は1つも搭載してないじゃん!」
一方ここは姫が籠ってる部屋。姫が机の引き出しを開けました。そこには軍用拳銃が。ブリュンの弟子ヒルドを殺害した拳銃です。姫はその拳銃を握りました。が、
「姫、なりませぬ!」
突然の声。姫ははっとしました。
街に響くナルヴィの喧伝。
「しかし、私にも温情というものがある。この街を破壊してしまうのは、なんとも忍び難いものがある。
そこでだ、こうすることにした。この国の女王の首を持って来い! 首を持ってきたら、大砲を撃つのはやめよう! さらに首を持ってきた者には、グラニ帝国の貴族の地位を与えるようじゃないか!
大陸のほぼすべてを手に入れたグラニ帝国の貴族の地位は特別だぞ。こんなにも高貴なものは、ほかにないぞ、この世には!
回答期限は24時間後、明日の朝8時とする! 24時間経ったら遠慮なく大砲を撃たしてもらおう!
ノルン王国の市民の奮闘を期待するぞ!」
市民たちが騒めきはさらに大きくなりました。
「じょ、女王様の首を持ってこいって・・・ あいつ、本気か?」
「女王様はたくさんの近衛兵に守られてるんだ。オレたちにそんなことできるはずがないだろって!」
「それ以前にオレたちは、女王様の臣民だろ。女王様に刃を向けると思ってんのかよ、あいつ!?」
姫が籠ってる部屋。姫に声をかけたのは侍従長でした。侍従長の背後にはヒャッハーなコマンダーと将軍とお側ご用人の2人がいます。姫は侍従長に噛み付きます。
「じぃ、どいて! 私はあのふざけた男に鉄槌を下してくる! 準一の仇討ちよ!」
「姫の復讐心はよくわかります! けど、それはムダな行為です!」
「なんで? なんでよ! 私は箒に乗って空を飛ぶことができんのよ! あの要塞を貫通して内部に侵入することもできんの! あいつを殺すことなんか朝飯前よ!」
「姫、考えてみてください! あの要塞には何百、何千もの敵兵が乗ってます。あの皇子を討つことができたとしても、ここに生きて帰ってくることは絶対不可能です!」
「それでも・・・ それでも私は準一の仇を取りたい!」
「なりません!」
「いや! 私は行く!」
説得はもうムリ・・・ 侍従長は意を決し、思い切った行動に出ました。姫のほほを張ったのです。バシーッ!
コマンダーと将軍とお側ご用人の2人はびっくり。
「ああ・・・」
侍従長は姫の両肩を掴み、
「あなたはノルン王国の女王です! ノルン王国そのものなのです! あなたの代わりはいません。あなたが死ぬということは、ノルン王国が終わるということです!
ノルン王国国民を路頭に迷わすつもりですか? ここはご控えください!」
姫は黙り込みました。侍従長は振り返り、コマンダーたち4人を見てうなずきました。
宮殿内の廊下。今ドアが開き、侍従長・ヒャッハーなコマンダー・将軍・お側ご用人の2人が出てきました。5人は歩きながら会話・・・ いや、臨時ブリーフィングを始めました。
ナルヴィの喧伝が続きます。
「我が軍が誇るこの空中要塞には、1発で1つの都市を灰にしてしまう巨大な大砲が装備されてる。その気になれば、この街なんざ、一撃で木端微塵に破壊することができるっ!」
それを聞いて市民たちは騒めきます。
「お、おい、オレたちを一気に焼き払う気かよ?・・・」
けど、コントロールルームにいるブリュンは別のことを思って、苦笑いしてました。
「あは、このバカ皇子、また大ウソをついてんよ。この要塞にそんな武器は搭載してないって。それ以前に、飛び道具は1つも搭載してないじゃん!」
一方ここは姫が籠ってる部屋。姫が机の引き出しを開けました。そこには軍用拳銃が。ブリュンの弟子ヒルドを殺害した拳銃です。姫はその拳銃を握りました。が、
「姫、なりませぬ!」
突然の声。姫ははっとしました。
街に響くナルヴィの喧伝。
「しかし、私にも温情というものがある。この街を破壊してしまうのは、なんとも忍び難いものがある。
そこでだ、こうすることにした。この国の女王の首を持って来い! 首を持ってきたら、大砲を撃つのはやめよう! さらに首を持ってきた者には、グラニ帝国の貴族の地位を与えるようじゃないか!
大陸のほぼすべてを手に入れたグラニ帝国の貴族の地位は特別だぞ。こんなにも高貴なものは、ほかにないぞ、この世には!
回答期限は24時間後、明日の朝8時とする! 24時間経ったら遠慮なく大砲を撃たしてもらおう!
ノルン王国の市民の奮闘を期待するぞ!」
市民たちが騒めきはさらに大きくなりました。
「じょ、女王様の首を持ってこいって・・・ あいつ、本気か?」
「女王様はたくさんの近衛兵に守られてるんだ。オレたちにそんなことできるはずがないだろって!」
「それ以前にオレたちは、女王様の臣民だろ。女王様に刃を向けると思ってんのかよ、あいつ!?」
姫が籠ってる部屋。姫に声をかけたのは侍従長でした。侍従長の背後にはヒャッハーなコマンダーと将軍とお側ご用人の2人がいます。姫は侍従長に噛み付きます。
「じぃ、どいて! 私はあのふざけた男に鉄槌を下してくる! 準一の仇討ちよ!」
「姫の復讐心はよくわかります! けど、それはムダな行為です!」
「なんで? なんでよ! 私は箒に乗って空を飛ぶことができんのよ! あの要塞を貫通して内部に侵入することもできんの! あいつを殺すことなんか朝飯前よ!」
「姫、考えてみてください! あの要塞には何百、何千もの敵兵が乗ってます。あの皇子を討つことができたとしても、ここに生きて帰ってくることは絶対不可能です!」
「それでも・・・ それでも私は準一の仇を取りたい!」
「なりません!」
「いや! 私は行く!」
説得はもうムリ・・・ 侍従長は意を決し、思い切った行動に出ました。姫のほほを張ったのです。バシーッ!
コマンダーと将軍とお側ご用人の2人はびっくり。
「ああ・・・」
侍従長は姫の両肩を掴み、
「あなたはノルン王国の女王です! ノルン王国そのものなのです! あなたの代わりはいません。あなたが死ぬということは、ノルン王国が終わるということです!
ノルン王国国民を路頭に迷わすつもりですか? ここはご控えください!」
姫は黙り込みました。侍従長は振り返り、コマンダーたち4人を見てうなずきました。
宮殿内の廊下。今ドアが開き、侍従長・ヒャッハーなコマンダー・将軍・お側ご用人の2人が出てきました。5人は歩きながら会話・・・ いや、臨時ブリーフィングを始めました。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる