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姫の話が続いてます。
「皮肉なもんね。前世では娼婦の低年齢化を嘆いて、私娼を廃止にして娼館はすべて国営にしたというのに、来世では自ら立ちんぼしてるんだから」
準一が質問します。
「国営の娼館があるんだから、そこで働けばよかったんじゃないの? 街娼て違法行為なんでしょ?」
「もちろん違法行為よ。その法律を作ったのも曽祖母。
でもね、困ったことに国営の娼館で働くには、学校を出てないといけなかったのよ」
「あ、それ、昨日娼婦から聞いたよ」
「当時あの孤児院は学校と認められてなかった。だからあの保母さんは街角に立つしかなかった・・・
あ、今は学校と認められてるわよ、あの孤児院。
ま、そんなわけで侍従たちは、保母さんの胎内にいる子は、おじいさまの子じゃないと推測することにしたの。おじいさまと出会う前にすでにできてた子と見なすことにしたのよ。
それからしばらくして、保母さんは出産した。生まれてきた子は男の子だった」
準一は反射的にマグニの顔を思い浮かべました。
「男の子? も、もしかして?・・・」
「そう、その男の子がマグニくん。でも、やっぱ彼はおじいさまの息子じゃなかったみたい。
私はおじいさまの孫。おじいさまの血は1/4しか受け継いでないわ。
もしマグニくんが本当におじいさまの息子だったら、半分はおじいさまの血。なら次に魔法が現れる人はマグニくんのはず。次の王はマグニくんにならないといけなかったのよ。
彼は男の子。男の子なら地震魔法が使えたはず。地震魔法があればこの世は簡単に平定できるはず! グラニ帝国の侵略なんか、簡単に押し返すことができたはずなのに・・・
実際魔法が現れたのは私だった・・・」
姫はひらひらと風になびく自分の左袖を見ました。
「もしマグニくんが本当におじいさまの子だったら、私はこんなに苦労する必要はなかったのに・・・」
「マグニくん、今いくつなの?」
「6歳よ」
「てことは、君が女王になったときは5歳・・・ う~ん、もしかして魔法を受け継いで王様になるには、年齢制限ていうものがあるんじゃないの?」
「私もそれを考えたんだけど、うーんと昔には2歳で王になった人もいたみたい。まだ地震魔法というものがなかった時代だけど。
話をマグニくんが生まれる前に戻すわよ。あの保母と生まれたばかりの赤ん坊は処分すべきだと、一部の侍従や近衛兵は血気盛んになったそうよ。けど、おじいさまは保母に何かあったら大震災が起きるとみんなを脅かしたそうよ。
おじいさまは以前生まれたばかりの我が娘6人を最側近に殺され、その怒りのあまり大地震を引き起こし、イザヴェル市街は壊滅的な被害を受けたことがあった。だから配下のものは、誰も行動を起こせなかったみたい。
マグニくんが生まれるとおじいさまはとても喜んで、あの場所に孤児院を移し、優秀な教員も呼び寄せたそうよ」
「へ~・・・ 侍従たちはよく反対しなかったね。国のお金使ったんでしょ?」
姫は首を横に振り、
「ううん。おじいさまは王宮に眠るお宝を投げ売って資金を捻出したそうよ」
「へ~ そっかあ・・・ それじゃ侍従たちは、何も文句を言えないか・・・」
準一は児童養護施設の門に掲げられていた看板を思い出しました。
「あの門の看板に王立て文字があったけど、あれにはそういう意味があったんだ」
「ま、おじいさまが亡くなった今は、ノルン王国が直接管理してるけどね、あの孤児院」
「君のおじいさん、ずーっとマグニくんのこと、自分の子どもだと思ってたのかなあ? それともあの保母さんに思いを寄せていた?」
「さあ、今となったらなんとやらね・・・」
「皮肉なもんね。前世では娼婦の低年齢化を嘆いて、私娼を廃止にして娼館はすべて国営にしたというのに、来世では自ら立ちんぼしてるんだから」
準一が質問します。
「国営の娼館があるんだから、そこで働けばよかったんじゃないの? 街娼て違法行為なんでしょ?」
「もちろん違法行為よ。その法律を作ったのも曽祖母。
でもね、困ったことに国営の娼館で働くには、学校を出てないといけなかったのよ」
「あ、それ、昨日娼婦から聞いたよ」
「当時あの孤児院は学校と認められてなかった。だからあの保母さんは街角に立つしかなかった・・・
あ、今は学校と認められてるわよ、あの孤児院。
ま、そんなわけで侍従たちは、保母さんの胎内にいる子は、おじいさまの子じゃないと推測することにしたの。おじいさまと出会う前にすでにできてた子と見なすことにしたのよ。
それからしばらくして、保母さんは出産した。生まれてきた子は男の子だった」
準一は反射的にマグニの顔を思い浮かべました。
「男の子? も、もしかして?・・・」
「そう、その男の子がマグニくん。でも、やっぱ彼はおじいさまの息子じゃなかったみたい。
私はおじいさまの孫。おじいさまの血は1/4しか受け継いでないわ。
もしマグニくんが本当におじいさまの息子だったら、半分はおじいさまの血。なら次に魔法が現れる人はマグニくんのはず。次の王はマグニくんにならないといけなかったのよ。
彼は男の子。男の子なら地震魔法が使えたはず。地震魔法があればこの世は簡単に平定できるはず! グラニ帝国の侵略なんか、簡単に押し返すことができたはずなのに・・・
実際魔法が現れたのは私だった・・・」
姫はひらひらと風になびく自分の左袖を見ました。
「もしマグニくんが本当におじいさまの子だったら、私はこんなに苦労する必要はなかったのに・・・」
「マグニくん、今いくつなの?」
「6歳よ」
「てことは、君が女王になったときは5歳・・・ う~ん、もしかして魔法を受け継いで王様になるには、年齢制限ていうものがあるんじゃないの?」
「私もそれを考えたんだけど、うーんと昔には2歳で王になった人もいたみたい。まだ地震魔法というものがなかった時代だけど。
話をマグニくんが生まれる前に戻すわよ。あの保母と生まれたばかりの赤ん坊は処分すべきだと、一部の侍従や近衛兵は血気盛んになったそうよ。けど、おじいさまは保母に何かあったら大震災が起きるとみんなを脅かしたそうよ。
おじいさまは以前生まれたばかりの我が娘6人を最側近に殺され、その怒りのあまり大地震を引き起こし、イザヴェル市街は壊滅的な被害を受けたことがあった。だから配下のものは、誰も行動を起こせなかったみたい。
マグニくんが生まれるとおじいさまはとても喜んで、あの場所に孤児院を移し、優秀な教員も呼び寄せたそうよ」
「へ~・・・ 侍従たちはよく反対しなかったね。国のお金使ったんでしょ?」
姫は首を横に振り、
「ううん。おじいさまは王宮に眠るお宝を投げ売って資金を捻出したそうよ」
「へ~ そっかあ・・・ それじゃ侍従たちは、何も文句を言えないか・・・」
準一は児童養護施設の門に掲げられていた看板を思い出しました。
「あの門の看板に王立て文字があったけど、あれにはそういう意味があったんだ」
「ま、おじいさまが亡くなった今は、ノルン王国が直接管理してるけどね、あの孤児院」
「君のおじいさん、ずーっとマグニくんのこと、自分の子どもだと思ってたのかなあ? それともあの保母さんに思いを寄せていた?」
「さあ、今となったらなんとやらね・・・」
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