リトルクイーンのいけない魔法(R18+)

のどか

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 準一は何がなんでもフィアンセの姫にこのアニメ、パトロール魔女ジェニーを見てもらいたいのです。

 2人が太陽光パネルのところに飛んで来ました。2人は着陸すると、準一はさっそくDVDプレイヤーのセットを始めました。
「姫、ちょっと待ってて」
 その準一の背中を見てた姫の顔色がここでふっと変わりました。何か悪いことを思いついたようです。
 姫は準一の背後にそーっと近づきます。そして準一の背骨のラインに人差し指をすーっと這わせました。その途端、
「うぎゃーっ!」
 準一は入れたばかりの刺青が痛かったらしく、思いっきり仰け反りました。次に姫に振り返り、珍しく怒りました。
「な、何するんだよ!」
「あは、マジ痛いんだ。
 よみがえりの魔法円て本当なのかなあ? マナの力がある人だけしか使えないなんて、なんかおかしいよ。
 マナの力を持ってる人は、この世界ではこの国の王、つまり、私だけ。私は誰のために、なんのために1度だけよみがえる必要があるの? よみがえりの魔法円なんて、眉唾ものだよ!」
「けど、オレもマナの力を持ってるんでしょ?」
 ここで準一はブリュンとヒルドを思い浮かべました。
「そう言えばグラニ帝国に雇われていた2人の魔女も持ってたような・・・」
「うん、あの2人も持ってたわね。
 正直なこと言うと、私以外にもマナの力を持ってる人がいるのよ、このノルン王国には」
「ええ?・・・」
「マナの力を持ってるかどうか判別できる人は、マナの力をある一定以上持ってる人だけ。もちろん私は判別できるわよ」
 ちなみに、準一もマナの力を持ってますが、マナの力を持ってる人の探知能力はありません。
 姫の話が続きます。
「実のことを言うと、マナの力を持ってる人と今まで何回もすれ違ってんのよ、私」
「へ~・・・ もし、マナの力を持ってる人とすれ違ったら、どうすんの?」
「ノルン王国基本法(憲法)によると、私は国王としてその人と決闘しないといけないみたい。どっちが真の王なのか?」
「ええ~?・・・」
「でも、痛いのは嫌だから、私はやり過ごしてきた。たぶん歴代の王も、みんな無視してきたんだと思う。
 それに相手が持ってるマナの力は、私が持ってるマナの力の1/10以下。決闘したって結果は見えてるわ。おまけに、私以外のマナの力の所有者は、自分がマナの力を持ってることに気づいてないみたい。
 そう言えば昨日、26人の娼婦と会ったわよね」
「うん」
「その中にも1人、マナの力を持った人がいたわよ」
「ええ?・・・」
「その人も自分にマナの力があることに気づいてないんじゃないかな?・・・」
「今までマナの力を持ってることに気づいてる人はいたの、王以外で?」
「う~ん・・・ あ、1人いたっけ。おじいさまがいた時代、おじいさまはものすごく強いマナの力を持ったおばあさんを見つけたことがあったの」
「ええ、そんなに強いマナの力を持ってる人がノルン王国にいたのに、先代の王様はそれに気づかなかったの、ぜんぜん?」
「ううん、そのおばあさんは港に入ったばかりの客船の中にいたんだ」
「旅行者?・・・」
「ふふ、そうね。おじいさまはその力を感じ取ると、慌てて港までそのおばあさんを出迎えに行ったそうよ」
「そのおばあさんと決闘したの?」
「あはは、まさかあ・・・ 相手はおばあさんよ。決闘するはずないじゃん。逆におじいさまはそのおばあさんをレストランの貴賓室に招いて、食事したそうよ」
「へ~ 先代の王様は気に行ったんだ、そのおばあさんを」
「ふふ、そうね」
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