リトルクイーンのいけない魔法(R18+)

のどか

文字の大きさ
上 下
79 / 143

79

しおりを挟む
 姫は苦笑い。
「あは、またそれか・・・ 曽祖母ひいおばあちゃん、ほんとうに嫌な法律作ったなあ・・・」
「先々代の女王様は立派な人ですよ。あの人がいたからこそ、私たちは安心して仕事ができるのです」
「ふふ、そうね」
 姫は振り返り、
「ありがと、じゃ!」
 姫は駆け出しました。黒服の男性は娼婦に、
「あの人、本当に女王なんですか?」
「ええ。あの人がいなかったらこの国は、今頃間違いなくグラニ帝国軍かウルズ王国軍かスクルド王国軍に占領されてたわよ。私たちもどうなってたことか?・・・ 彼女に感謝しないと」
 黒服の男は感心しきり。
「へ~・・・」

 4畳半くらいの狭い部屋。窓はありますがシェードがかかってて、それほど明るくありません。
 中央にはベッドのような台があり、そこに上半身裸の準一がうつ伏せで寝かされてます。15歳くらいの少女がその背中にタトゥー用の針を刺します。
 針を刺した瞬間、準一の身体は激しく反応。
「うぐぅ!」
 施術中の少女の横にいた別の少女が、
「お客さん、大丈夫ですか?」
 準一は作り笑いで応えます。
「あは、大丈夫ですよ」
 けど、準一は顔面蒼白です。ちなみに、今発言した少女は12歳くらい。助手のようです。
 今度は施術中の少女が準一に話しかけました。
「こんなに痛がるお客さんは初めてですよ。大丈夫ですか?」
 準一は頭を掻きながら、ただひたすら苦笑い。
「いや、その・・・ あははは・・・」
 次の瞬間、スチャッという音。出入り口にかかってるドア代わりのぶ厚いカーテンがいきなり引かれた音です。さらに、
「な、何やってんのよ、準一!?」
 の声。彫師が振り返り、
「誰、あなた? 今仕事中なんだけど!」
 助手が震えました。
「じょ、女王様?・・・」
 彫師はその言葉を信じてないようです。
「はぁ? こんなところに女王様が来るはずないじゃん。何考えてんのよ、あなた?」
「いや、その人は本当に姫・・・ 女王ですよ」
 それは準一の声。それを聞いても彫師は、まったく信じないようです。
「そんなバカなぁ!
 王室にいる女性はみんな長髪よ。こんな男の子みたいな髪型の女の子が王室にいるはずないじゃん!?」
 姫はめんどくさいなあて顔を見せ、右手を前に突き出しました。そして宣言。
「出でよ、箒!」
 すると箒がポーンと出現し、何もなかった姫の右手に握られました。
 姫はその箒にぽいっと横乗り。プカプカと浮く姫の身体。姫はこの状態で彫師を見て、
「これで信じてくれる?」
 彫師は口をあんぐり。
「ええ~?・・・」
 この国で魔法を使える人は、そのときの王のみ。眼の前の少女が箒を召喚し、それに乗ったということは、少女は女王ということ。
 頑固な彫師でも、さすがにこれを見せられたら、信じないといけません。
 姫は準一の顔の側に来て、質問しました。
「刺青入れてんの?」
「あは、よみがえりの魔法円を入れてもらってるんだよ」
「何それ?」
 準一は助手を見て、
「すみません。女王様によみがえりの魔法円を見せてあげてください」
「あ、はい」
 助手は紙片を姫に見せました。
「これです」
 姫はその紙片を受け取り、そこに描かれた魔法円を見ました。
「なんなの、この魔法円?」
 準一が応えます。
「図書館で見つけたものだよ。勝手に持ってきてごめん」
「これって何か効果あんの?」
「さあ?・・・」
「ええ~? どんな効果があるのかわかってないのに、刺青入れてんの?」
 準一は苦笑。
「あははは・・・」
「呆れた・・・」
 姫は今度は彫師を見て、
「この魔法円て、なんの効果があんの?」
「さあ、私にもさっぱりわかりません」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

入れ替わった恋人

廣瀬純一
ファンタジー
大学生の恋人同士の入れ替わりの話

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

リアルフェイスマスク

廣瀬純一
ファンタジー
リアルなフェイスマスクで女性に変身する男の話

処理中です...