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「じゃ、行こっかーっ!」
姫が大きな声でそう宣言すると、2人を乗せた箒が物凄い勢いで降下し始めました。びっくりする準一。
「ちょ、ちょっと、速過ぎるってーっ!」
準一の眼に無骨な建物の屋根が迫ってきました。準一は思わず悲鳴をあげました。
「うわーっ!」
次の瞬間、準一は真っ暗な場所に佇んでました。唖然とする準一。
「ええ~ またぁ?・・・」
準一はあたりを見渡しました。しかし、どこを向いても真っ暗。ふと上を見ると丸い穴が開いていて、そこから仄かな月明かりが差し込んでました。
「あの穴から入ってきたのか? これも姫の魔法? 穿孔魔法だっけ?」
月明かりと準一が暗闇に馴れてきたせいか、周りが見えてきました。どうやら準一は無骨なロッカーに囲まれてるようです。
「なんだよ、このロッカー?」
「武器が入ってるロッカーよ」
それは姫の声。どうやら姫はロッカーに護符のようなものを貼ってるようです。準一は不思議に思い、質問しました。
「何やってんの?」
「護符を貼ってんの、転移魔法の」
準一は転移魔法て言葉が引っかかったようです。
「転移魔法? も、もしかして?」
「そう、そのもしかして」
と言うと、姫は指をパチンと鳴らしました。すると複数のロッカーが一瞬で消えました。準一の顔が驚きとそれ以上の喜びに変わりました。
「おおーっ!?」
姫の世界の宮殿の大広間。魔法円が強く青く光ってます。たった今その魔法円の中に無数の無骨なロッカーが現れました。ロッカーのいくつかは開いていて、そこから小銃が見えます。
巨漢のコマンダーやそれ以外の兵たちは、途端に歓喜の顔になりました。
「おおーっ!」
侍従長も歓喜。
「皆の者、喜べ! さっそく姫が武器を調達してきてくれたぞーっ!」
再び武器庫の中、準一も護符の束を持って、次々とロッカーに貼り付けて行きます。
「よーし、オレも!」
先ほどとは別の自衛隊施設の部屋。たくさんのモニターが並んでいて、それを数人の隊員が見てます。モニターの中の映像は、基地の周辺や格納庫の中など。
と、突然ブザーが鳴り、回転灯が廻り始めました。室内にいた隊員全員がびっくり。
「な、なんだ!?」
隊員の1人がパソコンのモニターを見て、
「人感センサーが反応してます!」
別の隊員はモニターを切り替えます。すると暗闇の中に蠢く2つの人影が。姫と準一です。
「また武器庫が荒らされてます!」
別の隊員もそのモニターを見て、
「おいおい、今度は2人かよ・・・」
その隊員が受話器を手にしました。
「あ、もしもし、警察ですか!?」
再び武器庫。今度は準一が指をパチン!と鳴らしました。すると眼の前にあった複数のロッカーがふっと消えました。喜ぶ準一。
「あは、こいつはおもしろい!」
姫は口に護符《タリスマン》の束をくわえ、右手でそれを1枚1枚はぎ取り、一心不乱にロッカーなどに貼っていきます。
「もっともっと頂かないと! こんなもんじゃ足んないよ!」
姫は口から最後の護符《タリスマン》をはぎ取り、それをロッカーに貼ると、指をパチン! すると眼の前にあったロッカーや金庫が一瞬で消えました。ニコッとする姫。
「あは!」
と、遠くの方からパラパラパラという音が。準一ははっとし、
「あの音は?・・・ ヘリコプターだ!」
「え、ヘリコプター!?・・・」
姫は右手で無くなってしまった自分の左手の袖を掴みました。何か思うところがあるようです。と、突然右手を突き出しました。
「出でよ、箒!」
すると箒がこつ然と現れ、その手に握られました。
姫が大きな声でそう宣言すると、2人を乗せた箒が物凄い勢いで降下し始めました。びっくりする準一。
「ちょ、ちょっと、速過ぎるってーっ!」
準一の眼に無骨な建物の屋根が迫ってきました。準一は思わず悲鳴をあげました。
「うわーっ!」
次の瞬間、準一は真っ暗な場所に佇んでました。唖然とする準一。
「ええ~ またぁ?・・・」
準一はあたりを見渡しました。しかし、どこを向いても真っ暗。ふと上を見ると丸い穴が開いていて、そこから仄かな月明かりが差し込んでました。
「あの穴から入ってきたのか? これも姫の魔法? 穿孔魔法だっけ?」
月明かりと準一が暗闇に馴れてきたせいか、周りが見えてきました。どうやら準一は無骨なロッカーに囲まれてるようです。
「なんだよ、このロッカー?」
「武器が入ってるロッカーよ」
それは姫の声。どうやら姫はロッカーに護符のようなものを貼ってるようです。準一は不思議に思い、質問しました。
「何やってんの?」
「護符を貼ってんの、転移魔法の」
準一は転移魔法て言葉が引っかかったようです。
「転移魔法? も、もしかして?」
「そう、そのもしかして」
と言うと、姫は指をパチンと鳴らしました。すると複数のロッカーが一瞬で消えました。準一の顔が驚きとそれ以上の喜びに変わりました。
「おおーっ!?」
姫の世界の宮殿の大広間。魔法円が強く青く光ってます。たった今その魔法円の中に無数の無骨なロッカーが現れました。ロッカーのいくつかは開いていて、そこから小銃が見えます。
巨漢のコマンダーやそれ以外の兵たちは、途端に歓喜の顔になりました。
「おおーっ!」
侍従長も歓喜。
「皆の者、喜べ! さっそく姫が武器を調達してきてくれたぞーっ!」
再び武器庫の中、準一も護符の束を持って、次々とロッカーに貼り付けて行きます。
「よーし、オレも!」
先ほどとは別の自衛隊施設の部屋。たくさんのモニターが並んでいて、それを数人の隊員が見てます。モニターの中の映像は、基地の周辺や格納庫の中など。
と、突然ブザーが鳴り、回転灯が廻り始めました。室内にいた隊員全員がびっくり。
「な、なんだ!?」
隊員の1人がパソコンのモニターを見て、
「人感センサーが反応してます!」
別の隊員はモニターを切り替えます。すると暗闇の中に蠢く2つの人影が。姫と準一です。
「また武器庫が荒らされてます!」
別の隊員もそのモニターを見て、
「おいおい、今度は2人かよ・・・」
その隊員が受話器を手にしました。
「あ、もしもし、警察ですか!?」
再び武器庫。今度は準一が指をパチン!と鳴らしました。すると眼の前にあった複数のロッカーがふっと消えました。喜ぶ準一。
「あは、こいつはおもしろい!」
姫は口に護符《タリスマン》の束をくわえ、右手でそれを1枚1枚はぎ取り、一心不乱にロッカーなどに貼っていきます。
「もっともっと頂かないと! こんなもんじゃ足んないよ!」
姫は口から最後の護符《タリスマン》をはぎ取り、それをロッカーに貼ると、指をパチン! すると眼の前にあったロッカーや金庫が一瞬で消えました。ニコッとする姫。
「あは!」
と、遠くの方からパラパラパラという音が。準一ははっとし、
「あの音は?・・・ ヘリコプターだ!」
「え、ヘリコプター!?・・・」
姫は右手で無くなってしまった自分の左手の袖を掴みました。何か思うところがあるようです。と、突然右手を突き出しました。
「出でよ、箒!」
すると箒がこつ然と現れ、その手に握られました。
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