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準一は「姫が」と言いかけましたが、あえてその名前は伏せておくことにしました。
侍従長の話が続きます。
「ふふ、なんのご冗談を? この国では50年以上も前に法律が変わり、13歳にならないと結婚できなくなりました。12歳で結婚したら、たとえ王室の者でも逮捕されますぞ」
準一は姫の言葉を思い出しました。
「私のお母さんは12歳でこの国にお嫁に来た」
そして苦笑いして思いました。
「あは、あれはやっぱウソか?」
「話を元に戻しましょう。15歳になったばかりの先代王は、3人の17歳の王妃と結婚しました。侍従衆や近衛兵たちは若き王が年上の王妃たちに丸め込まれるんじゃないかと危惧しましたが、みんな仲良くやってたようです。
3人はすぐに妊娠しました。最初に出産したのは第1王妃。しかし、生まれてきた子は女の子でした。
女の子では将来王になったとき地震魔法が使えない可能性があります。そこで侍従や侍女、近衛兵たちが会議し、この女の子は直ちに亡き者になりました」
「ひどいなあ。王様は何も抗議しなかったんですか?」
「もちろんひどく激怒しました。しかし、王は当時まだ16歳になったばかり。会議に出席することも叶いませんでした。
続いて第2王妃と第3王妃も出産。けど、2人とも女の子でした。この2人もすぐに亡き者にされました。
3人の王妃はすぐにまた妊娠しました。が、またもや3人とも女の子でした。この3人も出産と同時に亡き者となりました」
「う~ん、ひどい話だ、ほんと・・・ 王様はずーっと自分を押し殺してたんですか?」
「まあ、それがですねぇ、都合6人目の王女を亡き者にした直後、この首都イザヴェルを大地震が襲いました。死者2千数百人。十中八九先代王が起こした地震でした。ま、本人は否定も肯定もしませんでしたが。
それから数ヶ月後、またもや3人の王妃は妊娠しました。このときは宮廷内にいる者ばかりか、イザヴェルに住まう住民たちも恐れ、震えました。
もし次も女の子が生まれたらどうすればいい? 亡き者にしたらまた王の怒りに触れ、地震が起きる可能性があります。けど、生かしておいたら・・・
ついに最初の子が生まれました。それは男の子でした」
「あは、やっと男の子が生まれたんだ」
「左様。続く2人の赤ちゃんも男の子でした。私はこの頃すでに侍従になってましたが、それはみんなで喜んだものです。しかし、また不幸が発生しました。
王妃がまた女の子を生む可能性がある、危険だと、一部の近衛兵が画策し、先代王がいない隙を見計らって、3人の王妃を惨殺してしまったのです。
先代王は大変悲しみました。先代王は本当に3人を愛してたのです。それが証拠に、王は二度と結婚しませんでした。
それでも3人の王子はすくすく育ち、17歳、結婚適齢期になりました。3人とも同じ日に結婚することになりました。
3人の花嫁の出身地ですが、母親がウルズ王国だった第1王子はウルズ王国から花嫁をもらい、他の2人も母親と同じ出身国の花嫁をもらいました。
最初に妊娠した王妃は、スクルド王国から来た王妃でした。我々は第2妃殿下と呼んでましたね。生まれてきた赤ちゃんは、またもや女の子でした」
「あは、女の子・・・ 何かの呪いかな?」
「我々はまたもや王室会議を開きました。ただ、以前の会議と違うのは、若いという理由で会議から締め出されていた王が、今回は参加してたのです。
大勢の意見は亡き者にするでしたが、王の鶴の一声でその赤ん坊は生かされることになりました」
「あは、さすがに王様に逆らうことはできなかったか?・・・」
侍従長の話が続きます。
「ふふ、なんのご冗談を? この国では50年以上も前に法律が変わり、13歳にならないと結婚できなくなりました。12歳で結婚したら、たとえ王室の者でも逮捕されますぞ」
準一は姫の言葉を思い出しました。
「私のお母さんは12歳でこの国にお嫁に来た」
そして苦笑いして思いました。
「あは、あれはやっぱウソか?」
「話を元に戻しましょう。15歳になったばかりの先代王は、3人の17歳の王妃と結婚しました。侍従衆や近衛兵たちは若き王が年上の王妃たちに丸め込まれるんじゃないかと危惧しましたが、みんな仲良くやってたようです。
3人はすぐに妊娠しました。最初に出産したのは第1王妃。しかし、生まれてきた子は女の子でした。
女の子では将来王になったとき地震魔法が使えない可能性があります。そこで侍従や侍女、近衛兵たちが会議し、この女の子は直ちに亡き者になりました」
「ひどいなあ。王様は何も抗議しなかったんですか?」
「もちろんひどく激怒しました。しかし、王は当時まだ16歳になったばかり。会議に出席することも叶いませんでした。
続いて第2王妃と第3王妃も出産。けど、2人とも女の子でした。この2人もすぐに亡き者にされました。
3人の王妃はすぐにまた妊娠しました。が、またもや3人とも女の子でした。この3人も出産と同時に亡き者となりました」
「う~ん、ひどい話だ、ほんと・・・ 王様はずーっと自分を押し殺してたんですか?」
「まあ、それがですねぇ、都合6人目の王女を亡き者にした直後、この首都イザヴェルを大地震が襲いました。死者2千数百人。十中八九先代王が起こした地震でした。ま、本人は否定も肯定もしませんでしたが。
それから数ヶ月後、またもや3人の王妃は妊娠しました。このときは宮廷内にいる者ばかりか、イザヴェルに住まう住民たちも恐れ、震えました。
もし次も女の子が生まれたらどうすればいい? 亡き者にしたらまた王の怒りに触れ、地震が起きる可能性があります。けど、生かしておいたら・・・
ついに最初の子が生まれました。それは男の子でした」
「あは、やっと男の子が生まれたんだ」
「左様。続く2人の赤ちゃんも男の子でした。私はこの頃すでに侍従になってましたが、それはみんなで喜んだものです。しかし、また不幸が発生しました。
王妃がまた女の子を生む可能性がある、危険だと、一部の近衛兵が画策し、先代王がいない隙を見計らって、3人の王妃を惨殺してしまったのです。
先代王は大変悲しみました。先代王は本当に3人を愛してたのです。それが証拠に、王は二度と結婚しませんでした。
それでも3人の王子はすくすく育ち、17歳、結婚適齢期になりました。3人とも同じ日に結婚することになりました。
3人の花嫁の出身地ですが、母親がウルズ王国だった第1王子はウルズ王国から花嫁をもらい、他の2人も母親と同じ出身国の花嫁をもらいました。
最初に妊娠した王妃は、スクルド王国から来た王妃でした。我々は第2妃殿下と呼んでましたね。生まれてきた赤ちゃんは、またもや女の子でした」
「あは、女の子・・・ 何かの呪いかな?」
「我々はまたもや王室会議を開きました。ただ、以前の会議と違うのは、若いという理由で会議から締め出されていた王が、今回は参加してたのです。
大勢の意見は亡き者にするでしたが、王の鶴の一声でその赤ん坊は生かされることになりました」
「あは、さすがに王様に逆らうことはできなかったか?・・・」
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