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なお、光弾銃の方も、準一にはまったく理解できてないようです。
侍従長。
「左様ですか? 準一殿も朝から活躍しっぱなしです。もうお休みください」
「あは、そうですね」
準一は立ち上がりました。侍従長は立ち去ろうと振り返りましたが、
「あ、ちょっと待ってください!」
その準一の言葉で立ち止まりました。侍従長は振り向き、
「なんですかな?」
「先代の王様は姫の祖父と聞きました。つまり2親等。なんで1親等である子が王位を継承しなかったんですか?
そもそも私はここに来て、姫の父親も母親も見てません。どこに行ってしまったんですか?」
侍従長はちょっと考え、
「聞きたいですか?」
「ええ」
「話は長くなりますよ」
「構いませんよ」
「わかりました。お話しましょう!」
侍従長は近くにあったベンチを見ました。
「立ってるのもなんです。ここに座ってください」
言われるがまま、準一はベンチに座りました。侍従長も同じベンチに座りました。
「これは3代前の王の時代から離さないといけません」
「3代前の王は、たしか女王でしたね?」
「左様。4代前の王が崩御し、次に魔法が現れたのは王女でした。当然その王女が次の王となりました。
女王が戴冠してすぐのことです。側近はある異変に気づきました。女王は地震魔法が使えなかったのです。これでは国は守れない。そう判断した近衛兵の一部はすぐに謀反を起こし、女王を襲いました。
しかし、この謀反は失敗に終わりました。女王は侍従たちの進言を聞いて、碧いブローチを身に着けてたのです」
「碧いブローチ? それって今姫が身に着けているものと同じ?」
「左様。古来から王族に伝わる碧いブローチです。そのブローチが力を発揮し、女王暗殺は失敗。女王側についてた近衛兵によって、謀反は瞬く間に鎮められました。
しかし、女王は相変わらず地震魔法は使えませんでした。これがウルズ王国やスクルド王国にバレたら、一大事。
それを危惧した何者かが女王の料理に毒を盛り、女王はあっという間に崩御してしまいました。戴冠から2ケ月もしないうちに女王は崩御してしまったのです。
ところで3代前の女王には4人の子がいました。3人が王子で1人が王女。当然王子の誰かに魔法が現れると思ったのですが、なぜか王女に魔法が現れました。規定によりその娘が次の王となりました。
新女王は地震魔法が使えるのか? 側近の注目はそこでした。果たして新女王は地震魔法が使えませんでした。
側近たちは困りました。もしこれが世間に知れたら、ウルズ王国とスクルド王国が攻めて来ます。
近衛兵たちは公然と新女王の処刑を求め始めました。新女王とその幼い子どもたちが亡くなれば、新女王の男兄弟の誰かが新たな王になると目論んだようですな」
「男兄弟が王になれば地震魔法が使えると考えた?」
「左様。しかし、前女王に碧いブローチがあったように、新女王にも秘密兵器がありました。それが鎌鼬の剣でした」
「それって、今オレが持ってる?・・・」
「左様。あれは本来一部の王しか使えない武器なのなのです。
鎌鼬の剣は碧いブローチより強力。さらに侍従や侍女の毒見も強化され、毒殺もできなくなりました。新女王は国民からも支持されるようになり、いつしか近衛兵たちも謀反を諦めるようになりました。
しかし、何年経っても新女王は地震魔法が使えませんでした。そのことは国家機密になってましたが、ある日露見してしまい、さっそくウルズ王国軍とスクルド王国軍は軍艦を連ねてノルン王国に攻め込んできたのです」
侍従長。
「左様ですか? 準一殿も朝から活躍しっぱなしです。もうお休みください」
「あは、そうですね」
準一は立ち上がりました。侍従長は立ち去ろうと振り返りましたが、
「あ、ちょっと待ってください!」
その準一の言葉で立ち止まりました。侍従長は振り向き、
「なんですかな?」
「先代の王様は姫の祖父と聞きました。つまり2親等。なんで1親等である子が王位を継承しなかったんですか?
そもそも私はここに来て、姫の父親も母親も見てません。どこに行ってしまったんですか?」
侍従長はちょっと考え、
「聞きたいですか?」
「ええ」
「話は長くなりますよ」
「構いませんよ」
「わかりました。お話しましょう!」
侍従長は近くにあったベンチを見ました。
「立ってるのもなんです。ここに座ってください」
言われるがまま、準一はベンチに座りました。侍従長も同じベンチに座りました。
「これは3代前の王の時代から離さないといけません」
「3代前の王は、たしか女王でしたね?」
「左様。4代前の王が崩御し、次に魔法が現れたのは王女でした。当然その王女が次の王となりました。
女王が戴冠してすぐのことです。側近はある異変に気づきました。女王は地震魔法が使えなかったのです。これでは国は守れない。そう判断した近衛兵の一部はすぐに謀反を起こし、女王を襲いました。
しかし、この謀反は失敗に終わりました。女王は侍従たちの進言を聞いて、碧いブローチを身に着けてたのです」
「碧いブローチ? それって今姫が身に着けているものと同じ?」
「左様。古来から王族に伝わる碧いブローチです。そのブローチが力を発揮し、女王暗殺は失敗。女王側についてた近衛兵によって、謀反は瞬く間に鎮められました。
しかし、女王は相変わらず地震魔法は使えませんでした。これがウルズ王国やスクルド王国にバレたら、一大事。
それを危惧した何者かが女王の料理に毒を盛り、女王はあっという間に崩御してしまいました。戴冠から2ケ月もしないうちに女王は崩御してしまったのです。
ところで3代前の女王には4人の子がいました。3人が王子で1人が王女。当然王子の誰かに魔法が現れると思ったのですが、なぜか王女に魔法が現れました。規定によりその娘が次の王となりました。
新女王は地震魔法が使えるのか? 側近の注目はそこでした。果たして新女王は地震魔法が使えませんでした。
側近たちは困りました。もしこれが世間に知れたら、ウルズ王国とスクルド王国が攻めて来ます。
近衛兵たちは公然と新女王の処刑を求め始めました。新女王とその幼い子どもたちが亡くなれば、新女王の男兄弟の誰かが新たな王になると目論んだようですな」
「男兄弟が王になれば地震魔法が使えると考えた?」
「左様。しかし、前女王に碧いブローチがあったように、新女王にも秘密兵器がありました。それが鎌鼬の剣でした」
「それって、今オレが持ってる?・・・」
「左様。あれは本来一部の王しか使えない武器なのなのです。
鎌鼬の剣は碧いブローチより強力。さらに侍従や侍女の毒見も強化され、毒殺もできなくなりました。新女王は国民からも支持されるようになり、いつしか近衛兵たちも謀反を諦めるようになりました。
しかし、何年経っても新女王は地震魔法が使えませんでした。そのことは国家機密になってましたが、ある日露見してしまい、さっそくウルズ王国軍とスクルド王国軍は軍艦を連ねてノルン王国に攻め込んできたのです」
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