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海面。海中から姫と準一が乗った箒が勢いよく飛び出して来ました。そのまま上空へ。
準一はゴホッゴホッとかなり息苦しそう。姫は横目でそれを見て、
「もう、準一たら、息を止めてって言ったじゃん。あ、泳げなかったのかな?」
「お、泳げるよ! いきなり海に潜るから・・・」
箒はかなり高い場所に空中停止。準一はたった今穴を空けた軍艦を見ました。軍艦はつんのめるように沈没し始めてます。乗員は次々海に飛び込んでます。
準一の質問。
「穿孔魔法ていったい?」
姫が応えます。
「箒に乗ってある一定以上のスピードで壁なんかに突っ込むと、箒の先っぽが壁に当たる寸前、その壁に丸い穴が空くという魔法よ」
準一は感心。
「へ~ そんな魔法もあるんだ?」
軍艦はさらに傾いてます。もう沈没寸前。手摺に手を掛けなんとか落ちないように耐えていた船長は、ついに海へと落下しました。
「うぎゃーっ!」
落下中の船長は、姫と準一を見つけると、怒りの声をあげました。
「くっそー、覚えてやがれ、このクソガキーっ!」
パッシャーン! 船長の身体は海中に没しました。姫はそれを見て、
「あーあ、この海域は人喰い鮫の棲息地なのに・・・」
それを聞いて準一の表情から血が引きました。
「ええ、たった今潜った海が人喰い鮫の棲息地?・・・」
準一の視野にふと2隻の軍艦が飛び込んできました。準一は姫に、
「姫、あと2隻ですよ。頑張ってやっつけちゃいましょうよ!」
「え~ もういいんじゃない?」
「ええ、なんで?」
姫は2隻の軍艦を見ました。2隻はUターンしてる最中。
「あいつら、逃げる気よ。もうこれで十分でしょ」
準一は苦笑い。この人、追い打ちなんて絶対しないんだな。準一はそう覚りました。
準一はトランシーバーを取り出し、
「じゃ、侍従長さんに連絡するよ」
が、トランシーバーはびしょ濡れ。背中を見ると、背中のトランシーバーの本体もびしょ濡れでした。
「あちゃーっ、これ、使えるかなあ?」
準一はトランシーバーに、
「あ~ もしもし・・・」
するとトランシーバーから侍従長の声が。
「おお、準一殿ですか!?」
どうやらトランシーバーは無事だったようです。準一は応えます。
「姫の魔法のお蔭でスクルド王国の軍艦はすべて退けました!」
トランシーバーから歓喜の声。
「おおー、それは素晴らしい!」
それを聞いて姫は苦笑。
「半分は準一のお蔭じゃん」
準一はトランシーバーに、
「今から帰ります!」
準一はトランシーバーを仕舞いました。
姫の質問。
「じぃ、喜んでるみたいね?」
「うん!」
「あは。じゃあ、帰ろっか!」
空中停止していた箒が移動し始めました。
一方こちらは南端の国境線。南端の国境線も山脈上にあり、その山脈は海に岬となって突き出てました。
ただ、北側とは違って、岬の先に島が点々とつながっておらず、いきなり海が深くなってます。そのせいで大型船舶でも岬ぎりぎりに廻ることができるようです。
今ウルズ王国軍の軍艦3隻がこの岬に現れました。
3隻ある軍艦の先頭の軍艦(旗艦)。その甲板上、この軍艦の船長と思われるヒゲモジャモジャな男性が背後にいる部下たちに命令。
「この岬を巡るとノルン王国に入る! 敵船が待ち構えてる可能性があるから、皆、十分注意するように!
現在ノルン王国で稼働可能な軍艦は3隻。しかもすべて旧型。それに対しこちらは3隻とも新型艦。船の側面を飾る大砲の数は従来の1.5倍、威力と射程距離は2倍以上ある!」
準一はゴホッゴホッとかなり息苦しそう。姫は横目でそれを見て、
「もう、準一たら、息を止めてって言ったじゃん。あ、泳げなかったのかな?」
「お、泳げるよ! いきなり海に潜るから・・・」
箒はかなり高い場所に空中停止。準一はたった今穴を空けた軍艦を見ました。軍艦はつんのめるように沈没し始めてます。乗員は次々海に飛び込んでます。
準一の質問。
「穿孔魔法ていったい?」
姫が応えます。
「箒に乗ってある一定以上のスピードで壁なんかに突っ込むと、箒の先っぽが壁に当たる寸前、その壁に丸い穴が空くという魔法よ」
準一は感心。
「へ~ そんな魔法もあるんだ?」
軍艦はさらに傾いてます。もう沈没寸前。手摺に手を掛けなんとか落ちないように耐えていた船長は、ついに海へと落下しました。
「うぎゃーっ!」
落下中の船長は、姫と準一を見つけると、怒りの声をあげました。
「くっそー、覚えてやがれ、このクソガキーっ!」
パッシャーン! 船長の身体は海中に没しました。姫はそれを見て、
「あーあ、この海域は人喰い鮫の棲息地なのに・・・」
それを聞いて準一の表情から血が引きました。
「ええ、たった今潜った海が人喰い鮫の棲息地?・・・」
準一の視野にふと2隻の軍艦が飛び込んできました。準一は姫に、
「姫、あと2隻ですよ。頑張ってやっつけちゃいましょうよ!」
「え~ もういいんじゃない?」
「ええ、なんで?」
姫は2隻の軍艦を見ました。2隻はUターンしてる最中。
「あいつら、逃げる気よ。もうこれで十分でしょ」
準一は苦笑い。この人、追い打ちなんて絶対しないんだな。準一はそう覚りました。
準一はトランシーバーを取り出し、
「じゃ、侍従長さんに連絡するよ」
が、トランシーバーはびしょ濡れ。背中を見ると、背中のトランシーバーの本体もびしょ濡れでした。
「あちゃーっ、これ、使えるかなあ?」
準一はトランシーバーに、
「あ~ もしもし・・・」
するとトランシーバーから侍従長の声が。
「おお、準一殿ですか!?」
どうやらトランシーバーは無事だったようです。準一は応えます。
「姫の魔法のお蔭でスクルド王国の軍艦はすべて退けました!」
トランシーバーから歓喜の声。
「おおー、それは素晴らしい!」
それを聞いて姫は苦笑。
「半分は準一のお蔭じゃん」
準一はトランシーバーに、
「今から帰ります!」
準一はトランシーバーを仕舞いました。
姫の質問。
「じぃ、喜んでるみたいね?」
「うん!」
「あは。じゃあ、帰ろっか!」
空中停止していた箒が移動し始めました。
一方こちらは南端の国境線。南端の国境線も山脈上にあり、その山脈は海に岬となって突き出てました。
ただ、北側とは違って、岬の先に島が点々とつながっておらず、いきなり海が深くなってます。そのせいで大型船舶でも岬ぎりぎりに廻ることができるようです。
今ウルズ王国軍の軍艦3隻がこの岬に現れました。
3隻ある軍艦の先頭の軍艦(旗艦)。その甲板上、この軍艦の船長と思われるヒゲモジャモジャな男性が背後にいる部下たちに命令。
「この岬を巡るとノルン王国に入る! 敵船が待ち構えてる可能性があるから、皆、十分注意するように!
現在ノルン王国で稼働可能な軍艦は3隻。しかもすべて旧型。それに対しこちらは3隻とも新型艦。船の側面を飾る大砲の数は従来の1.5倍、威力と射程距離は2倍以上ある!」
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