リトルクイーンのいけない魔法(R18+)

のどか

文字の大きさ
上 下
37 / 143

37

しおりを挟む
 実は2年前、この峠道にはたくさんの山賊がはびこってて大問題になってました。そこでノルン王国とスクルド王国は協同で掃討作戦を実施。スクルド王国側の山賊はすべてその場で処刑されました。
 一方ノルン王国側では当時の国王自ら出陣し、陣頭指揮を執りました。何人かは激しく抵抗したのでその場で処刑しましたが、ほとんどの山賊は生きたまま捕らえられました。
 当然処刑を覚悟した山賊たちですが、王の裁定で二度と山賊行為はしない、今後は国境警備隊として働くという条件で解き放ったのです。
 だからここにいる元山賊たちは、ノルン王国の王室のためなら命も惜しまないのです。
 元山賊、現国境警備隊のヒャッハーな男たちに囲まれては、もうどうしようもありません。最後に残ったスクルド王国最後の兵は一かバチか、崖を飛び降りました。
「うわーっ!」
 国境警備隊のリーダー格の男は高笑い。
「ガハハハ、話にもならんわ!」
 その男は落ちてる小銃を拾い上げ、
「ほーっ、こいつが親方が言ってた突撃銃アサルトライフルていうやつか?
 みんな、この飛び道具を集めるんだ!」
 全員、応えます。
「おーっ!」

 時間は少し遡ります。今は午前中。ここはノルン王国首都イザヴェル、その郊外。畑の中に住宅が点在してます。その中を姫と準一が箒に乗って空を飛んでます。準一は右手に地図を持ち、それを凝視してます。
「姫、もうちょっと先だよ」
「OK!
 この世界では初めてかな、準一と箒に乗るの?」
「うん、そうだね」
「前一緒に乗ったとき、私の髪の毛、気にならなかった?」
「え?」
 準一は自分の世界であった出来事を思い出しました。
 ヘリコプターから逃げる姫と準一。アスファルトスレスレで街道を飛んでるとき、姫の長髪が走行風圧で舞い上がり、準一の顔を覆いました。
 現在の準一。
「あは、君の髪の毛がオレの顔をズボッと覆ったっけ」
「やっぱり・・・ 私、髪の毛切っちゃおっかな?」
「ええ~ もったいないよ・・・」
 ここで地図を見てる準一はあることに気づきました。
「あ、姫、ここだよ」
「OK!」
 2人が乗った箒がゆるやかな螺旋を描いて降下。2人は地面に降り立ちました。
 姫は近くにある家のドアに向かいました。そしてドアをノック。すると家の中から声が。
「はーい!」
 ドアが開きました。顔を出したのは40代て感じの女性。
「なんですか?・・・」
 女性は姫を見てびっくり。
「あ、あなたは女王様!?」
 姫は大きな帽子を取り、深くおじぎをしました。
「突然の訪問、失礼します。今朝早くグラニ帝国軍が我が国に攻めてきました」
「あ、我が国の軍隊がせん滅したと聞きましたが?・・・」
「その戦闘の最中、あなたの息子さんは戦死しました」
「ええ・・・」
 女性は雷に撃たれたようなショックを感じました。姫は言葉を続けます。
「私の背後にいたスクルド王国軍の兵たちが裏切って、私に武器を向けました。あなたの息子さんは私の盾になってくれました。あなたの息子さんは私の命の恩人です」
 女性は両眼から涙を流し、
「あ、ありがとうございます。私の息子は志願兵です。国のために戦死するのが兵士の誉だと言ってました。女王様を守って戦死したのなら、本当に誉です」
「もう少ししたら軍から正式な報告が来ると思います」
 姫は再び深く頭を下げ、
「短いですが、これで失礼します。ありがとうございました」

 姫と準一が箒に乗りました。前に跨った姫。
「行くよ!」
 後ろに乗った準一がそれに応えます。
「OK!」
 2人が乗った箒が飛び始めました。飛行中、準一は姫に話しかけました。
「なあ、姫」
「ん、何?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

入れ替わった恋人

廣瀬純一
ファンタジー
大学生の恋人同士の入れ替わりの話

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

リアルフェイスマスク

廣瀬純一
ファンタジー
リアルなフェイスマスクで女性に変身する男の話

処理中です...