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 無数の弾丸がグラニ帝国軍の船団に向かって飛んで行きます。その最初の1発が先ほど「ノルン王国も我々がいただく!」と宣言した兵に向かって行きます。そして・・・
 ドキャーン! 眉間に命中。
「グヴァーッ!」
 兵は悲鳴をあげ、卒倒。それを見てこのボートに乗ってる漕ぎ手や兵たちはびっくり。
「ええ~!」
 弾丸が次々と手漕ぎボートに着弾。兵や漕ぎ手も次々と撃たれ、悲鳴をあげ倒れていきます。阿鼻叫喚状態。

「なんなんだよ、これはーっ!?」
 ここはそんなボートの1つ。手元に弾丸が着弾し、漕ぎ手の1人がびっくり。
「ひーっ!」
 その反対側に乗ってた漕ぎ手の後頭部に弾丸が命中。1つ後ろの漕ぎ手の後頭部にその脳みそがべっちょりと飛び散ります。脳みそを浴びた漕ぎ手も悲鳴をあげました。
「ぎゃーっ!」
 その漕ぎ手は兵に必至に訴えます。
「こ、これ以上進んだら、オレたち、やつらの餌食になってしまいますよ~! もう引き返しましょう!」
 次の瞬間、その漕ぎ手が影に覆われ、漕ぎ手の顔は恐怖にひきつりました。
「な、なにを・・・」
 影の正体はグラニ帝国軍の巨大な兵でした。兵は持ってたこん棒を振り上げました。とげとげがいっぱいついたモーニングスターです。
 次の瞬間漕ぎ手の首は消滅。切断箇所から血がドバーッと吹き出しました。それを見て他の漕ぎ手は縮み込みました。
「ひーっ!・・・」
 モーニングスターを持った兵が叫びます。
「お前ら奴隷どもがオレたちに命令するなんざ、100万年早いわ! 黙って漕げ!」
 漕ぎ手たちは呆気に取られてフリーズしてしまいました。すると兵はさらに激怒。
「なんじゃ、お前らーっ!」
 兵は持ってたモーニングスターを再び大きく振り上げ、
「漕げと言ってんだよ、オラーっ!」
 バキーン! 兵のすぐ近くにいた漕ぎ手の側頭部にそのモーニングスターがヒット。するとその首は胴体を離れ、宙を飛び、数十メートル先の海に落下しました。漕ぎ手たちはもう泣きそう。
「あ、ああ・・・ す、すみません!」
 漕ぎ手たちは謝罪するや否や、一斉に漕ぎ始めました。モーニングスターを持った兵はニャッと笑い、
「わかりゃいいんだよ、わかりゃ!」
 次の瞬間、その兵の右眼に弾丸が的中。
「ぐおーっ! 眼が・・・ 眼がーっ!」
 兵は両手で顔を覆います。これを見て数人の漕ぎ手がうなずきます。
「チャンス!」
 次の瞬間、その兵の身体が物凄い勢いでバックし始めました。数人の漕ぎ手がこの兵をラクビーのようにタックルしてるのです。これではいくら兵が巨大でも、一溜まりもありません。
 兵は海にドブーンと落下。それを見た別の巨漢の兵が、
「お前ら、何やっとる!」
 この兵にも別の複数の漕ぎ手が背後からタックル。兵は思わず悲鳴。
「な、なんだーっ!?」
 その兵を押してる数人の漕ぎ手が叫びます。
「オレたちゃ、妻子がいるんだ!」
「こんなところで死にたくないんだよーっ!」
 兵の眼の前に海が迫ってきました。慌てる兵。
「や、やめろーっ!」
 ザブーン! その兵も海に落ちました。兵は騎馬民族な上に、重い鎧を纏ってます。当然泳げません。水中であっぷあっぷ状態に。
「うぐぉ~ 助けてくれーっ! 助けてくれよ~! 頼む・・・」
 兵はそのまま水中に没しました。その他の兵たちも次々と漕ぎ手に突き落とされていきます。
 たとえ百戦錬磨であっても、揺れる船の上は初体験。そのため、前述の通り、兵の大半は船酔い状態。これでは本来の力は発揮できません。
 漕ぎ手の1人が宣言。
「よーし、みんな、引き返すぞーっ!」
 手漕ぎボートはUターンを開始。
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