リトルクイーンのいけない魔法(R18+)

のどか

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 準一は侍従長の横にきました。すると侍従長は準一の腕を強引に引っ張りました。
「もっとこっちに!」
 準一はバランスを崩しかけます。
「うわっ!」
 侍従長は準一の両肩をポーンと叩き、強めな口調で、
「あなたはここです!」
 準一の身体は姫のすぐ前に来ました。準一は振り返り、侍従長に質問。
「な、なんでここに?」
 侍従長は応えます。
「もう少しすればわかります!」
 姫は準一を見て、
「よろしくね」
 準一は顔を赤く染め、
「ええ? ああ・・・」

 海岸を進む手漕ぎボート。かなり大きな木製のボートです。その片側に10人、計20人の漕ぎ手がいます。漕ぎ手は全員オールを1本持っていて、舵手コックスの太鼓に合わせてオールを漕ぎます。
 船の真ん中には、鎧兜を纏った大柄な兵が10人ほどいます。その中の特にごつい鎧兜の兵が宣言します。
「ふふ、陸地が見えたぞ! ノルン王国も我々がいただく!」
 その他の兵が一斉に呼応します。
「おーっ!」
 威勢はいいのですが、実はほとんどの兵はこれが初の乗船。そのせいか、大半は船酔い状態。特にひどい兵は、ボートの一番後ろでゲロを吐いてました。
 漕ぎ手は全員奴隷。進行方向とは真逆に座ってます。兵の情けない姿は、漕ぎ手に丸見え。みんなゲラゲラ笑ってました。
 あたりを見ると、このようなボートが海を覆い尽くすように進んでました。

 船団が海岸に近づいてきました。準一はあまりのボートの数におののきました。
「うわ~ と、とんでもない数だぞ!・・・ どうすんだよ、これ?・・・」
 準一は将軍に話しかけました。
「あ、あの~ 攻撃は?」
「まだ早い!」
「ええ~!?」
 準一がふと左側を見ると、他とは違う甲冑をまとった兵の一団がいました。少し高い砂丘の上です。
「あれ~? あそこにいる人たち、ほかとは違う毛色の鎧を纏ってるけど?」
 それに姫が応えます。
「あれはスクルド王国の軍隊よ」
「え、スクルド王国?」
「私の母はスクルド王国出身。だから首都防衛の一翼を担ってもらってるのよ」
「へ~・・・」
 準一は昨夜の侍従長の話を思い出しました。侍従長の説明によると、50年前の謀反の制裁で、スクルド王国の王はむごたらしく処刑されました。
 それだけではありません。これを機にノルン王国はスクルド王国にたくさんの税金を課すようになってます。スクルド王国の国民はその重税にあえいでるはず?
 スクルド王国はノルン王国をかなり恨んでると思われます。そんな国の軍隊にノルン王国の首都の防衛を任せてもいいのでしょうか?
 しかし、姫の母親はスクルド王国出身だったなんて・・・ これは政略結婚だったんだろうな?・・・
 なお、スクルド王国軍と姫一行との間の距離はだいたい500m。スクルド王国軍の兵全員が、姫の方を見てました。何か事を起こす気なのでしょうか?

 さらにグラニ帝国の手漕ぎボートの船団が岸に近づいてきました。準一は焦り、再び将軍に質問。
「敵はもうそこまで来てますよ。なんとかしないと!」
 すると将軍は、
「ふむ、そろそろかな?」
 とつぶやくと、大きな声で号令。
「皆の者、布をほどけ!」
 すると兵全員が一斉に返答。
「了解!」
 兵全員が一斉に布をくるくるとほどき始めました。布から出てきたものは・・・ なんと小銃でした。自衛隊が使ってる5.56mm口径の小銃です。それを見て準一はびっくり。
「ええ~!?・・・」
 将軍の次の号令。
「構えーっ!」
 横に並んだ兵たちが一斉に小銃を構えました。将軍はさらに号令を下します。
「撃てーっ!」
 ズババババババーン! けたたましい轟音。ノルン王国軍の一斉射撃です。
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