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ここは準一に与えられた寝室。かなり豪華な寝室です。まるでお姫様が使うような天蓋つきベッドに準一が横たわってます。
今日準一はいろんなことがありました。特に一番大きかった事象は、実の父親を殺してしまったこと。
仕事仕事で家族のことなんかちっとも顧みなかった男でしたが、それでも父親は父親。自分の遺伝子の半分は、この父親のものです。自分は父親の分身。それを殺してしまったなんて・・・
本来なら裁判を受け刑務所に入ってちゃんとお勤めしなくちゃいけないのですが、卑怯にも異世界に逃げてしまいました。この異世界でどうやって生きていけば、父親殺しの罪は清算できるのだう?・・・
まてよ、オレはなんでこの世界にいるんだ? みんなに姫と呼ばれてるあの女王様に連れて来られたからじゃないか?
姫はオレを必要としてた。だから連れて来られた。じゃ、姫のために一生懸命働けばいいんじゃないのか?
そんなことを考えてるうちに準一は、いつの間にやら眠ってしまいました。彼もかなり疲れていたようです。
それからどれくらい時間が経ったのでしょうか? ドンドン! ドンドン! 突然ドアが激しくノックされました。ワンテンポ置いてドアの向こうから叫ぶ声が。
「準一殿! 準一殿!」
それは侍従長の声でした。
ベッドの準一は半身起き、眼を擦りました。
「なんだあ・・・」
準一は寝ぼけてます。ドアの向こうから再び声が。
「失礼しますぞ!」
ガチャッ! ドアが開き、侍従長が入ってきました。
「準一殿、大変です!」
準一はまだ寝ぼけてます。
「え・・・ どうしました?」
「グラニ帝国の軍が船団を組んで、対岸を出港したようです!」
その一言で準一は、やっと眼が醒めました。
「ええーっ!?・・・」
「あなたはぎりぎり間に合ったようです。姫の判断は正しかったようですな!
さあ、早く着替えて!」
「わ、わかりました!」
なんとなく明るくなってきた砂浜。たくさんの兵が波打ち際に横1列に並んでます。砂浜は段丘のようになっていて、2mくらい高くなった場所にも横1列に兵が並んでいます。
その中を走る侍従長と準一。準一は両側にできた兵の壁を見て思いました。
「うわっ、すごい数! 戦争が近づいてんだな?・・・」
準一は空を見上げました。夜空を彩るジャガイモのようなゴツゴツとした2つの月。準一は昨夜交わした姫との会話を思い出しました。
「君の世界にも月はあるの?」
「あるよ、2つ。けど、こんなに丸くないよ。ジャガイモみたいにゴツゴツしてるし・・・」
そしてつぶやきました。
「あは、この世界の月は本当にジャガイモみたいだ」
横に並んだ兵の中央あたりに巨漢のコマンダーと将軍がいます。そこに声が。
「将軍殿!」
将軍とコマンダーが振り返ると、侍従長と準一が駆けてくるところでした。
2人が将軍の側に来ました。さっそく侍従長が質問しました。
「今どのような状況ですかな?」
将軍は応えます。
「対岸の港から敵の手漕ぎボードが一斉に出向したようです」
「数は?」
「それが・・・ 数えることが不可能なほどの数だと言ってましたな」
準一は心の中でびっくり。
「うわっ・・・」
侍従長は再び質問。
「今どこまで来てますかな?」
将軍は再び応えます。
「偵察船によると、海峡の半分は越えてるようです」
それを聞いて準一はある疑問が浮かび、つぶやきました。
「対岸のスパイや偵察船とどうやって連絡を取り合ったんだろ?」
と、準一の耳に声が入ってきました。
「わかった!」
準一はその声の方向に振りかえると、1人の兵がトランシーバーに話しかけてました。その背中には無線機用の機材が見えます。
今日準一はいろんなことがありました。特に一番大きかった事象は、実の父親を殺してしまったこと。
仕事仕事で家族のことなんかちっとも顧みなかった男でしたが、それでも父親は父親。自分の遺伝子の半分は、この父親のものです。自分は父親の分身。それを殺してしまったなんて・・・
本来なら裁判を受け刑務所に入ってちゃんとお勤めしなくちゃいけないのですが、卑怯にも異世界に逃げてしまいました。この異世界でどうやって生きていけば、父親殺しの罪は清算できるのだう?・・・
まてよ、オレはなんでこの世界にいるんだ? みんなに姫と呼ばれてるあの女王様に連れて来られたからじゃないか?
姫はオレを必要としてた。だから連れて来られた。じゃ、姫のために一生懸命働けばいいんじゃないのか?
そんなことを考えてるうちに準一は、いつの間にやら眠ってしまいました。彼もかなり疲れていたようです。
それからどれくらい時間が経ったのでしょうか? ドンドン! ドンドン! 突然ドアが激しくノックされました。ワンテンポ置いてドアの向こうから叫ぶ声が。
「準一殿! 準一殿!」
それは侍従長の声でした。
ベッドの準一は半身起き、眼を擦りました。
「なんだあ・・・」
準一は寝ぼけてます。ドアの向こうから再び声が。
「失礼しますぞ!」
ガチャッ! ドアが開き、侍従長が入ってきました。
「準一殿、大変です!」
準一はまだ寝ぼけてます。
「え・・・ どうしました?」
「グラニ帝国の軍が船団を組んで、対岸を出港したようです!」
その一言で準一は、やっと眼が醒めました。
「ええーっ!?・・・」
「あなたはぎりぎり間に合ったようです。姫の判断は正しかったようですな!
さあ、早く着替えて!」
「わ、わかりました!」
なんとなく明るくなってきた砂浜。たくさんの兵が波打ち際に横1列に並んでます。砂浜は段丘のようになっていて、2mくらい高くなった場所にも横1列に兵が並んでいます。
その中を走る侍従長と準一。準一は両側にできた兵の壁を見て思いました。
「うわっ、すごい数! 戦争が近づいてんだな?・・・」
準一は空を見上げました。夜空を彩るジャガイモのようなゴツゴツとした2つの月。準一は昨夜交わした姫との会話を思い出しました。
「君の世界にも月はあるの?」
「あるよ、2つ。けど、こんなに丸くないよ。ジャガイモみたいにゴツゴツしてるし・・・」
そしてつぶやきました。
「あは、この世界の月は本当にジャガイモみたいだ」
横に並んだ兵の中央あたりに巨漢のコマンダーと将軍がいます。そこに声が。
「将軍殿!」
将軍とコマンダーが振り返ると、侍従長と準一が駆けてくるところでした。
2人が将軍の側に来ました。さっそく侍従長が質問しました。
「今どのような状況ですかな?」
将軍は応えます。
「対岸の港から敵の手漕ぎボードが一斉に出向したようです」
「数は?」
「それが・・・ 数えることが不可能なほどの数だと言ってましたな」
準一は心の中でびっくり。
「うわっ・・・」
侍従長は再び質問。
「今どこまで来てますかな?」
将軍は再び応えます。
「偵察船によると、海峡の半分は越えてるようです」
それを聞いて準一はある疑問が浮かび、つぶやきました。
「対岸のスパイや偵察船とどうやって連絡を取り合ったんだろ?」
と、準一の耳に声が入ってきました。
「わかった!」
準一はその声の方向に振りかえると、1人の兵がトランシーバーに話しかけてました。その背中には無線機用の機材が見えます。
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