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さらに暗くなってきました。住宅街を複数のパトカーが走ってます。ある家の玄関では警官が聞き込みをしてます。どうやら準一の身柄はまだ確保されてないようです。
その準一ですが、マンションの裏、植え込みの中で体育座りしてました。
準一は思い出してました。バールを振りかざし、襲ってくる父親を。例え実の父親であっても、バールで襲ってきたら身の危険を感じるものです。
「あれ、正当防衛だよな?・・・」
準一は自分を正当化しようと、思いを巡らせてました。
しかし、準一の行為は、よくて傷害致死罪。おそらく殺人罪でしょう。自分の父親を殺したとなったら、最低でも20年。一生刑務所暮らしになるかもしれません。
ああ、どうすりゃいいんだよ、オレ・・・
と、ここで突然声が。
「いた!」
ビクッとする準一。警察に見つかった? 準一は慌ててあたりをキョロキョロ。が、誰もいません。
「だ、誰だ!?」
「まったくこの世界にはマナの力を持った人がたくさんいるから、捜すのが大変だったよ」
それは上からの声でした。準一は顔を上げると、そこには箒に跨った少女、今朝未明に助けてあげた少女=姫がいるのです。準一は息を呑み、そしてぽつりと、
「き、君はやっぱ魔女だったのか?」
すると姫はムッとしました。
「私は魔女じゃないよ! あんなのと一緒にしないで!」
「だ、だって箒に乗ってるじゃん・・・」
「この世界じゃ、箒に乗ってると魔女と見なされるの?」
黒いワンピースに黒いローブ、頭にウィッチズハット。姫はどこからどう見ても魔女にしか見えないのですが・・・
ただ、今朝着てたワンピースとはちょっと違うワンピースを着てました。胸の部分は赤い靴紐のような紐がついてます。
そして何より違うのは丈。スカートの部分が短いのです。準一の眼はそこから見えるレモン色のパンツを捉えてました。こんなときじゃなかったら、間違いなしに準一は萌え萌えになってるのですが・・・
姫の質問。
「さっきあなたの家に行ったら、おまわりさんがたくさんいたけど、何があったの?」
準一はぽつりと応えます。
「殺っちまったんだ・・・」
けど、その声は小さすぎて姫の耳には届きません。
「え、何? 聞こえないんだけど・・・」
すると準一は怒鳴り声で、
「殺しちまったんだよ、オレ、親父を!」
姫はびっくり。
「ええーっ!・・・・」
姫はコンテナの中から明石父に拾いあげられる自分を思い出しました。
「あの人がいなかったら、私、死んでた。そんな人が死んじゃうなんて・・・」
姫は準一を見て、
「これからどうすんの?」
と、ここで姫はニヤッと笑いました。何かいいアイデアが思い浮かんだようです。
「どう、私と一緒に来ない?」
「え、どこに?」
「私の国」
「え?・・・」
準一は考えました。この娘、外国人ぽいな。てことは、国外に逃亡? これはいいアイデアかも?・・・
で、姫に再び質問。
「なんて国?」
「ノルン王国」
「ええ?」
ノルン王国? 準一はそんな国、聞いたことありません。
「それ、ヨーロッパの国?」
姫は笑いました。
「あはは、この世界の国じゃないよ」
「ええ~?」
「別の次元の国」
その突拍子もない回答に準一はびっくり。ちょ、ちよっと待ってくれよ。じゃ、この娘、別次元からやって来たっていうのか?
準一はアニメマニア。別次元から人が訪ねてくるなんてストーリー、アニメの世界ではよくある話です。けど、実際そんな話を眼の前で言われると、心身がフリーズしてしまいます。
もしや、この娘、詐欺師なんじゃ? オレ、どこかの国に売られちゃうかも?・・・
その準一ですが、マンションの裏、植え込みの中で体育座りしてました。
準一は思い出してました。バールを振りかざし、襲ってくる父親を。例え実の父親であっても、バールで襲ってきたら身の危険を感じるものです。
「あれ、正当防衛だよな?・・・」
準一は自分を正当化しようと、思いを巡らせてました。
しかし、準一の行為は、よくて傷害致死罪。おそらく殺人罪でしょう。自分の父親を殺したとなったら、最低でも20年。一生刑務所暮らしになるかもしれません。
ああ、どうすりゃいいんだよ、オレ・・・
と、ここで突然声が。
「いた!」
ビクッとする準一。警察に見つかった? 準一は慌ててあたりをキョロキョロ。が、誰もいません。
「だ、誰だ!?」
「まったくこの世界にはマナの力を持った人がたくさんいるから、捜すのが大変だったよ」
それは上からの声でした。準一は顔を上げると、そこには箒に跨った少女、今朝未明に助けてあげた少女=姫がいるのです。準一は息を呑み、そしてぽつりと、
「き、君はやっぱ魔女だったのか?」
すると姫はムッとしました。
「私は魔女じゃないよ! あんなのと一緒にしないで!」
「だ、だって箒に乗ってるじゃん・・・」
「この世界じゃ、箒に乗ってると魔女と見なされるの?」
黒いワンピースに黒いローブ、頭にウィッチズハット。姫はどこからどう見ても魔女にしか見えないのですが・・・
ただ、今朝着てたワンピースとはちょっと違うワンピースを着てました。胸の部分は赤い靴紐のような紐がついてます。
そして何より違うのは丈。スカートの部分が短いのです。準一の眼はそこから見えるレモン色のパンツを捉えてました。こんなときじゃなかったら、間違いなしに準一は萌え萌えになってるのですが・・・
姫の質問。
「さっきあなたの家に行ったら、おまわりさんがたくさんいたけど、何があったの?」
準一はぽつりと応えます。
「殺っちまったんだ・・・」
けど、その声は小さすぎて姫の耳には届きません。
「え、何? 聞こえないんだけど・・・」
すると準一は怒鳴り声で、
「殺しちまったんだよ、オレ、親父を!」
姫はびっくり。
「ええーっ!・・・・」
姫はコンテナの中から明石父に拾いあげられる自分を思い出しました。
「あの人がいなかったら、私、死んでた。そんな人が死んじゃうなんて・・・」
姫は準一を見て、
「これからどうすんの?」
と、ここで姫はニヤッと笑いました。何かいいアイデアが思い浮かんだようです。
「どう、私と一緒に来ない?」
「え、どこに?」
「私の国」
「え?・・・」
準一は考えました。この娘、外国人ぽいな。てことは、国外に逃亡? これはいいアイデアかも?・・・
で、姫に再び質問。
「なんて国?」
「ノルン王国」
「ええ?」
ノルン王国? 準一はそんな国、聞いたことありません。
「それ、ヨーロッパの国?」
姫は笑いました。
「あはは、この世界の国じゃないよ」
「ええ~?」
「別の次元の国」
その突拍子もない回答に準一はびっくり。ちょ、ちよっと待ってくれよ。じゃ、この娘、別次元からやって来たっていうのか?
準一はアニメマニア。別次元から人が訪ねてくるなんてストーリー、アニメの世界ではよくある話です。けど、実際そんな話を眼の前で言われると、心身がフリーズしてしまいます。
もしや、この娘、詐欺師なんじゃ? オレ、どこかの国に売られちゃうかも?・・・
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