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明石父はかなり怖い眼つき。踏み込むアクセルペダル。明石父の愛車がグォーンと加速します。かなりの速度。完全に法定速度を超えてます。
明石父の頭の中は怒りで一杯。常務に対する怒りもありますが、大半は自分の息子、準一に対する怒りでした。
準一はある日突然高校に行かなくなりました。その原因は明石父にはわかりませんでした。
当たり前です。準一が引き籠ったとき、明石父を主幹とする設計チームは、設計コンペで立て続けに入賞してたのです。仕事が楽しくって楽しくって息子のことなんかどうでもよかったのです。
しかし、息子が本格的に引き籠ると、明石父も不調に陥ってしまいました。心のどこかで引っかかっていたようです。
彼の設計チームはこれを機に設計コンペで入賞できなくなってしまいました。明石父はいつしか自分の息子の存在が鬱陶しくなってきました。
さらに3か月前に突如就任した例の常務。あの常務のパワハラのせいで彼の右腕のような設計士が何人も辞めていきました。
弱り目に祟り目。明石父は完全に追い詰められてしまいました。
明石父の怒りはさらにボルテージを上げました。
明石家、2階、準一の部屋。準一は机に座ってノートパソコンでインターネットをやってます。と、ドアの向こうから母親の声が響いてきました。
「あ、あなた、なんなの、こんな時間に帰ってきて?」
その声に準一ははっとします。
母親の声が慌てた声に変わりました。
「あ、あなた、どこに行く気!?」
誰かが階段を昇る音。ダンダンダンダン! これはかなり感情が籠った音です。母親の声が悲鳴に変わりました。
「あなた、やめて! 準一の部屋に入らないで! お願い!」
父親が来る? 準一は焦りました。
次の瞬間、ドアノブからガチャガチャと言う音。それに続けて、
「準一、開けろーっ! ドアを開けるんだーっ!」
それは父親の怒鳴る声でした。準一は反射的に、
「入ってくんなーっ! オレがこんなになったのは、全部お前のせいだーっ!」
と怒鳴り返しました。
次の瞬間、バリッ!という破壊的な音。さらにもう1度バリッ!という音。と、木製のドアのドアノブ付近が破られ、バールのようなもの、いや、バールそのものが出現しました。驚く準一。
「ええーっ!?」
さらに2回、3回同じ個所がバールで叩かれ、穴は大きくなりました。それが終わると、その穴から手が入ってきて、ドアノブの中心にあるボタン式の鍵を押しました。鍵を解除したのです。
ドアが開き、バールを持った父親が入室してきました。その顔は鬼の形相。
「準一ーっ!」
な、なんなんだよ、こいつ!? 準一は思わず叫びます。
「くんなよーっ! 出てけーっ!」
「お前、まだそんなこと言ってんのかーっ!?」
父親はバールを振り上げ、準一に突進。
「うぉーっ!」
準一は殺意を感じました。おいおい、マジかよ!? 逃げないと・・・
けど、準一は何も抵抗できません。突然の出来事に身体が硬直してしまったです。もう眼をつぶるしかありませんでした。
「く・・・」
次の瞬間、ガチャーン!という破壊的な音。が、準一は無事?
準一はそーっと眼を開け、その音がした方向を見ました。バールの餌食になったものは、ノートパソコンでした。
「なんだ、こんなもーん!」
父親は何度も何度もノートパソコンにバールを叩き込みます。唖然とする準一。
「ああ・・・」
父親は今度はサイドボードに乗ってるたくさんのアニメキャラのフィギュアをにらみました。準一はそれに気づき、はっとします。
「そ、それはやめて!・・・」
が、父親は止まりません。バールを振り上げました。
「うぉーっ!」
明石父の頭の中は怒りで一杯。常務に対する怒りもありますが、大半は自分の息子、準一に対する怒りでした。
準一はある日突然高校に行かなくなりました。その原因は明石父にはわかりませんでした。
当たり前です。準一が引き籠ったとき、明石父を主幹とする設計チームは、設計コンペで立て続けに入賞してたのです。仕事が楽しくって楽しくって息子のことなんかどうでもよかったのです。
しかし、息子が本格的に引き籠ると、明石父も不調に陥ってしまいました。心のどこかで引っかかっていたようです。
彼の設計チームはこれを機に設計コンペで入賞できなくなってしまいました。明石父はいつしか自分の息子の存在が鬱陶しくなってきました。
さらに3か月前に突如就任した例の常務。あの常務のパワハラのせいで彼の右腕のような設計士が何人も辞めていきました。
弱り目に祟り目。明石父は完全に追い詰められてしまいました。
明石父の怒りはさらにボルテージを上げました。
明石家、2階、準一の部屋。準一は机に座ってノートパソコンでインターネットをやってます。と、ドアの向こうから母親の声が響いてきました。
「あ、あなた、なんなの、こんな時間に帰ってきて?」
その声に準一ははっとします。
母親の声が慌てた声に変わりました。
「あ、あなた、どこに行く気!?」
誰かが階段を昇る音。ダンダンダンダン! これはかなり感情が籠った音です。母親の声が悲鳴に変わりました。
「あなた、やめて! 準一の部屋に入らないで! お願い!」
父親が来る? 準一は焦りました。
次の瞬間、ドアノブからガチャガチャと言う音。それに続けて、
「準一、開けろーっ! ドアを開けるんだーっ!」
それは父親の怒鳴る声でした。準一は反射的に、
「入ってくんなーっ! オレがこんなになったのは、全部お前のせいだーっ!」
と怒鳴り返しました。
次の瞬間、バリッ!という破壊的な音。さらにもう1度バリッ!という音。と、木製のドアのドアノブ付近が破られ、バールのようなもの、いや、バールそのものが出現しました。驚く準一。
「ええーっ!?」
さらに2回、3回同じ個所がバールで叩かれ、穴は大きくなりました。それが終わると、その穴から手が入ってきて、ドアノブの中心にあるボタン式の鍵を押しました。鍵を解除したのです。
ドアが開き、バールを持った父親が入室してきました。その顔は鬼の形相。
「準一ーっ!」
な、なんなんだよ、こいつ!? 準一は思わず叫びます。
「くんなよーっ! 出てけーっ!」
「お前、まだそんなこと言ってんのかーっ!?」
父親はバールを振り上げ、準一に突進。
「うぉーっ!」
準一は殺意を感じました。おいおい、マジかよ!? 逃げないと・・・
けど、準一は何も抵抗できません。突然の出来事に身体が硬直してしまったです。もう眼をつぶるしかありませんでした。
「く・・・」
次の瞬間、ガチャーン!という破壊的な音。が、準一は無事?
準一はそーっと眼を開け、その音がした方向を見ました。バールの餌食になったものは、ノートパソコンでした。
「なんだ、こんなもーん!」
父親は何度も何度もノートパソコンにバールを叩き込みます。唖然とする準一。
「ああ・・・」
父親は今度はサイドボードに乗ってるたくさんのアニメキャラのフィギュアをにらみました。準一はそれに気づき、はっとします。
「そ、それはやめて!・・・」
が、父親は止まりません。バールを振り上げました。
「うぉーっ!」
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