You're my……

弓チョコ

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第17話 ( ≧∀≦)ノ☆

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「あきゃ! あひゃっ!」
「おう。どしたどした」

 その日から。正確には昨日から。母さんが毎日、晩御飯を作ってくれるようになった。
 しかも、悠太がリビングに居るんだ。僕を見て直ぐ様飛び込んで来た。

「あーあー。んなぁ! きゃきゃっ!」
「よしよし。まず手洗いうがいさせてくれ。母さんに怒られるから」

 この前1歳になったばかりの悠太は、まだしっかりとは喋られない。これから言葉は覚えていくだろう。楽しみだ。

「もうすぐだから先にお風呂入りなさい」
「!」

 キッチンには、母さんが居る。なんだか油の揚がる、美味しい匂いがする。
 17時56分。優愛を真愛ちゃんに渡してすぐ帰ってきた時間だ。多分これも、僕の帰宅時間に丁度晩御飯ができるように、真愛さんから聞いていたんだろうな。

「……分かった」
「貴方の好きだった豚カツよ」
「!」

 脱衣所へ行く時に、そんな声が聴こえた。僕はまた吃驚。
 もう間違いない。ていうか昨日の時点で気付いていたけど。

 母さんは僕との関係を修復しようとしてる。それも相当、歩み寄ってくれている。
 真愛ちゃんに、相談してるんだ。つまり母さんは。母さんも。
 どうにかしたいと、思っていたんだ。

——

「どうしたの悠太。さっき食べたのにまたお腹空いた? なら少し待って。さっきのカレー出すから」
「…………」

 お風呂から上がっても、母さんと悠太はリビングに居た。これは初めてだ。

「……もう、普通に食べれるんだ」
「…………そうよ。カツは難しいけど、もう普通の、柔らかいものなら。あっ。ちょっ。悠太。お兄ちゃんが気になるの? そっち行きたい?」

 豚カツが用意された席に着くと、向かいの席で母さんの腕の中の悠太がこっちを向いて手を伸ばした。この子、人見知り本当しないんだよなあ。優愛もそうだったっけ。

「あ、やっぱりカレー? どっち?」
「んーきゃあ!」
「ふふっ。じゃあ、いただきます」
「召し上がれ」

 ちょっと笑ってしまった。まともに悠太と一緒にご飯を食べるなんて、悠太が生まれてから初めてかもしれない。
 それくらい、ずっと母さんは悠太と寝室に居て。僕はいつも自室に居る。
 お箸も。お茶も味噌汁もサラダも白米もある。湯気が立っている。
 いつものカップ麺とか。たまの外食とか。
 目じゃないんだよ。本当に。

——

「…………」

 じっと、僕が食べているのを母さんが見ている。ちょっと食べずらい。

「……うー。あー」
「はいはいはいはい。もう良いのね。遊ぶ? これ好きでしょ。ほら。これなんだ?」

 悠太はカレーを食べ終わったのか、カーペットの上でドタバタし始めた。母さんも付いていく。赤ちゃんと接していると、こっちまで柔らかい言葉遣いになる。普段僕に対する態度は冷たい母さんだけど、悠太の前ではこうだ。
 もしかしたら僕が幼い頃も、母さんはそうだったのかもしれない。

「……久し振りだから、味変わってないと良いけど」
「大丈夫。滅茶苦茶美味しいよ」
「………………そう」

 僕はずっと、ドキドキしていた。
 これ。
 【家族】じゃないかっ、て。

——

——

『どうでした?(>_<)』

『毎日訊いて来るのね貴女』

『トンカツトンカツ!(^o^)/』

『もう何年も作ってなかったけど、食べてくれたわ』

『良かったじゃないですか!(ノ゚Д゚)ノ
 美味しいって言ってくれましたか?』

『言ってくれたわ』

『( ≧∀≦)ノ☆』

『言葉にしなさい』

『順調ですね! わたしも明海さんのトンカツ食べたい!』

『なら来たら良いじゃない』

『えっ!!!!!!』

『重明と仲良いのでしょう? 話して良ければ明日にでも来たら良いじゃない』

『是非!!!!!!!!!』

『感嘆符多用しすぎよ』

『お願いします! 悠太くんと遊びたいし! 優愛も喜びます!!!!(>_<)』

『そうね。優愛お姉ちゃんに会えたら悠太も喜ぶわ』

『でも明日はちょっと無理なので、また行ける日連絡します!!!!!』

——

——

「明海さんて専業主婦なんだよね」
「うん。基本家に居るよ」
「良いなあ。旦那さん稼ぎ良いんだ」
「……どうなんだろう。あんまり他と比べることもないから」
「でもシゲくんお小遣いでしょ? 月いくら……って、訊いちゃ駄目か」
「良いよ別に。5万円だけど」
「ええええええええええ」

 真愛ちゃんの出す話題に、母さんのことが増えてきた。ふたり、仲良いんだろうか。ママ友なのかな。

「ごっごっ。5万てっ。こーこーせいが貰って良いのそれ!?」
「……食費と携帯代込みだからかな。そんなに贅沢はできないよ。読んでる漫画の新刊を買って残りは貯めて、好きなゲームの新作が出たら買うくらいだし。毎日カラオケとか外食とか、できる訳じゃないよ」
「それでも凄いって! お父さん何してるの?」
「……うーん。聞いたこと無いんだ。子供が想像する、なんか『会社員』みたいなイメージしか無くて」
「ふぅん。でもね、やっぱり裕福だよ。マイホームでしょ?」
「…………やっぱりそうだよね」
「あーいや。別にそんな、申し訳なさそうにする必要ないけどさ」

 確かにそうだ。ウチは金銭的には裕福なんだから、家庭内不和がある程度で不満なんか言えない筈だ。

「明海さん……シゲくんの両親て仲良いの?」
「分からない。……見たこと無いんだ。ふたりが同じ空間に居るところ」
「…………そっか。わたしの両親もまあ、普通かなあ。好きで結婚した筈なのにね。結婚したことないから分かんないけど」
「うん」
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