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第一章【ファルカ・キルシュトルテ】
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西方魔領。豊かな土壌と森林、清らかな空気と川、1年を通して安定した気候。人が生活する上でこの上ない条件の土地だ。『ある1点』を除けば。
そこはその名の通り、魔物が蔓延る土地。古くから魔物達の楽園として、禁断の地とされてきた土地。
だが、ある日現れたひとりの男と、彼を筆頭にした『軍勢』がその常識を打ち破った。
軍勢は瞬く間に西方魔領へと押し入り、魔物を蹴散らして進み、人々の住む土地を開拓した。
人々が住み着き、豊かな自然の恩恵を受けるようになったその後も、襲ってくる魔物から守るよう働いた。
軍勢の名は『討魔騎士団』。頭である男の名は『シュバルツ・キルシュトルテ』。男は開拓した土地を自身の治める『領地』とし、様々なパイプを使って開拓と発展を促した。
『キルシュトルテ西方魔領』。そこは、危険な土地でありながら騎士達によって守護された豊かな領地。
その伝説の開拓から、100年と少し。
――
「――さて、今期の実りはどうなっている?」
「大豊穣さ。当たり前だろ。他の地域で採れた同じ物を比べても、実の『付き方』が違う。お前も確かめてみろよ。外界へ出たこと無いんだろ?」
厳かで豪華な装飾のされた壁、高い天井から吊り下がるシャンデリア、一部の弛みも無く敷かれたカーペット。『大屋敷』の廊下を、ふたりの男が歩く。
「とは言え、流石に都の方が『最新』だろ。ここはどうしたって、『地方都市』の枠組みから出られねえ。ま、俺はこんな田舎の方がゆっくりできて良いけどな」
「ゆっくりできる?嘘を吐け。土地より技術と言われる今の時代に『こんな田舎』にしがみついてんのは、『可憐なお嬢様が居る』からだろうが」
「……へっ」
男達はある扉の前で止まった。とある一室の前。部屋の外だというのに、既に『何やら良い香り』が漂ってくる気がする。男のひとりが姿勢を正して生唾を飲み込んでから、コンコンとノックをした。
「……どうぞ」
声が返ってくる。凛と澄んだ女声。少女か、女性か。幼さは全く無い訳ではないが、大人の声とも言い切れない。例えるなら『蕾』のような……『これから』を『期待してしまう』ような癖になる美声。
「しっ。……失礼いたします」
先程まで談笑していた男達は、その内容すらもう忘れている。扉を開け、視界に映り込んでくる『我がキルシュトルテ西方魔領の宝石』。
「農作物についての報告は明日の筈ですけれど……」
何やら筆を持っていたその手をはたと止め、彼らの顔を確認する。少し不思議そうに首を傾げて問う。男達は部屋へ入ると同時に頭を下げる。
「はっ。我々は『農地管理部』ではなく『危機管理部』でございます」
「『危機管理』……」
「はっ。つい昨日、キルシュトルテ領の西側、『小洒落た森』にて、不審な人物を発見いたしました」
「森。……不審な人物?」
男の発言を、その声で復唱する。これは彼女の癖であった。聞き取った言葉を噛み砕き、飲み込もうとするように、『彼女の声で』『上書きして』『聞き直す』のだ。
「はっ。通常ならばわざわざ申し上げに参らずとも解決する問題なのですが。事情が事情でございまして。直接ご判断を仰ぎたく参上いたしました――」
ここまで問答し、ようやく頭を上げる。『名』を呼ぶ際には相手の顔を見る。これはこの国での常識である。
先が赤く染まった白い髪。特徴的である。整えられた目と鼻、口。誰が見ても、『美しい』と形容する白磁器のような肌。表情は穏やかで、人懐こい印象を受ける。しかしその視線は、『上に立つ者』の格が伺えるような鋭さを持っている。
「――ファルカ・キルシュトルテお嬢様」
西方魔領領主の息女。今年で17になる我らが姫。ファルカは落ち着いた様子で、報告に来た男の次の言葉を待った。
――
――
ファルカ・キルシュトルテ。私の名前。『世界を自由に飛び回る』と名付けられた。もう、15で成人して2年が経つ。病気で伏せがちな父の代わりに、西方領の自治をしている。私の目的は領の目的と同じ。『皆が生き、栄えること』。その為には、この豊かな土地と騎士団が必要だ。騎士団の運営も私の仕事。領民を魔物などの外敵から守らなくてはならない。領地は決して狭くない。私は日々、領内を駆け回って居る。
今日は久々に大屋敷に戻り、都への報告書を纏めていた。四半期に一度、収穫した作物の種類と量を報告するのだ。それによって、納める税が決まる。この西方領は豊かであるため、『額』ではなく『割合』で税を納めさせられている。それでも他の地方より豊かであるため、別に構わないのだけれど。
税は必要だ。私は農業や狩猟の知識こそあれど、実際にはできない。その時間も無い。代わりに、騎士団を運用し、都との折衝もし、それにより領地と領民を守る。『だから』領民から、税を頂いている。持ちつ持たれつ。社会の構造はそうなっている。私や騎士団が居なければ、魔物に襲われてすぐに領地はまた昔のように禁断の地と戻るだろう。
魔物。世界のヒエラルキーでは動物の『上』に位置する存在。超自然的な力を持つ怪物。この西方領にも無数に存在している。領内にもちらほらと魔物の出現する領域があり、また一歩外へ出ればもう魔物の巣窟である。魔物の話題には敏感にならなければならない。奴等はいつでも、この土地の奪還を狙っている。曾祖父の代で築き上げたこのキルシュトルテ領を、私の代で滅ぼされる訳には行かない。
――
「危機管理部。……不審な人物。……それは、どのような事情でしょうか」
特に、私が力を入れているのが彼らの所属する『危機管理部』だ。この部署は人数が少ないが、領を囲む防壁や危険地帯の近くに配属され、『何か』あればすぐに私へ報告できるよう人員配置と連携体制を執っている。問題が発生すればすぐに対処する。でなければ『喰われる』のは自分達なのだ。危険な場所に『家』を建てた以上、その危機は自分で管理しなければならない。
「えーとですね。……説明が難しいのですが、まず、見たことの無い衣服を身に付けていまして」
「衣服」
「ええ。王国の物では無く、隣国にも似たような服はありません。構造も、何やら不可解な物で」
「……不可解」
報告に来たと言うのに、言葉がしどろもどろになっている。これは彼が報告の準備を怠ったのか、本当に『不可解』なことが起きているのか。後者の方があり得る。そもそも不審な人物という点でおかしい。外からこの領へ入るには『人間界側』からしか来ないし、入り口もひとつ。さらには事前申請が必要で、『私が許可を出している』筈だからだ。
「さらには言葉も通じません。大陸語では無いようなのです」
「……言葉が」
西方領は、人の生活圏である『人間界』の西端に存在する。それより西側は魔物の世界『魔界』であるのだ。だから侵入したとしても『西の森』で見付かるのはおかしい。彼らはそう言いたいのだろう。
「見た目は成人男性です。お嬢様と同じくらいでしょうか。落ち着いており、敵意もありません。武器も持たず。何やら四角い『板』のような道具を持っており、その面を指でつつく動作をするのが特徴的で。しかも建物へ入ると何故か靴を脱ぐのです。何もかも、我々と、こう……『文化』が違うような」
矢継ぎ早に情報を並べる。私はその中で気になる点はまずひとつだった。
「武器を……持たず?」
「はい。お嬢様も深くご存じと思いますが『小洒落た森』の『魔物遭遇率』は『100%』。そんな森へ丸腰で入るなどもっての他。自殺行為です」
だけど、その男性は森に居た。
「発見時は?」
「定期巡回をしていた一等女性騎士が、森の奥深くで発見しました。その際既に『ユニコーン』に襲われておりましたが、彼女がこれを討伐。この戦闘での怪我人はおりません」
「森の女性騎士というと……」
「シャルロッテ・ホルンシュタインです」
「そう……ですか」
私はシャルロッテとは顔見知りだ。と言っても、騎士全員私を知っているのだが。私は森のある領西部へ視察へ向かった際には必ず彼女と食事をしている。年齢が22と私より少し上で、姉のように思っているのだ。
「……それで、その男性を保護したのですね」
「はっ。ですがこのようなケースは初めてでして。どうすれば良いか……」
通常、侵入者は捕らえて投獄だ。もしくは、どこかの国や都が探しているお尋ね者ならそちらへ引き渡し。だけどこの西方領へ侵入してくる者はまず居ない。その上、その男性は外から侵入したのではなく、『領内の森で見付かった』。丸腰で『奥深く』へなど行ける筈は無い。それに、森の周囲には櫓がある。森への侵入すら見逃す筈は無い。
「……分かりました。私が会いましょう。言葉については、『魔道具』があります」
「!」
私は立ち上がった。何にせよ領内の問題だ。それによって民が困っている。ならば私が解決しなければならない。
その男性が無害ならば、問題は無い。彼の言葉を聞き、どこか帰る場所があるなら送ってあげよう。ここに住むのならそれでも良い。『小洒落た森』へ丸腰で入る胆力は素晴らしい。良い騎士になりそうだ。
……少し楽観的だろうか。相手は『未知』の存在だ。油断はしないようにしよう。
そこはその名の通り、魔物が蔓延る土地。古くから魔物達の楽園として、禁断の地とされてきた土地。
だが、ある日現れたひとりの男と、彼を筆頭にした『軍勢』がその常識を打ち破った。
軍勢は瞬く間に西方魔領へと押し入り、魔物を蹴散らして進み、人々の住む土地を開拓した。
人々が住み着き、豊かな自然の恩恵を受けるようになったその後も、襲ってくる魔物から守るよう働いた。
軍勢の名は『討魔騎士団』。頭である男の名は『シュバルツ・キルシュトルテ』。男は開拓した土地を自身の治める『領地』とし、様々なパイプを使って開拓と発展を促した。
『キルシュトルテ西方魔領』。そこは、危険な土地でありながら騎士達によって守護された豊かな領地。
その伝説の開拓から、100年と少し。
――
「――さて、今期の実りはどうなっている?」
「大豊穣さ。当たり前だろ。他の地域で採れた同じ物を比べても、実の『付き方』が違う。お前も確かめてみろよ。外界へ出たこと無いんだろ?」
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「とは言え、流石に都の方が『最新』だろ。ここはどうしたって、『地方都市』の枠組みから出られねえ。ま、俺はこんな田舎の方がゆっくりできて良いけどな」
「ゆっくりできる?嘘を吐け。土地より技術と言われる今の時代に『こんな田舎』にしがみついてんのは、『可憐なお嬢様が居る』からだろうが」
「……へっ」
男達はある扉の前で止まった。とある一室の前。部屋の外だというのに、既に『何やら良い香り』が漂ってくる気がする。男のひとりが姿勢を正して生唾を飲み込んでから、コンコンとノックをした。
「……どうぞ」
声が返ってくる。凛と澄んだ女声。少女か、女性か。幼さは全く無い訳ではないが、大人の声とも言い切れない。例えるなら『蕾』のような……『これから』を『期待してしまう』ような癖になる美声。
「しっ。……失礼いたします」
先程まで談笑していた男達は、その内容すらもう忘れている。扉を開け、視界に映り込んでくる『我がキルシュトルテ西方魔領の宝石』。
「農作物についての報告は明日の筈ですけれど……」
何やら筆を持っていたその手をはたと止め、彼らの顔を確認する。少し不思議そうに首を傾げて問う。男達は部屋へ入ると同時に頭を下げる。
「はっ。我々は『農地管理部』ではなく『危機管理部』でございます」
「『危機管理』……」
「はっ。つい昨日、キルシュトルテ領の西側、『小洒落た森』にて、不審な人物を発見いたしました」
「森。……不審な人物?」
男の発言を、その声で復唱する。これは彼女の癖であった。聞き取った言葉を噛み砕き、飲み込もうとするように、『彼女の声で』『上書きして』『聞き直す』のだ。
「はっ。通常ならばわざわざ申し上げに参らずとも解決する問題なのですが。事情が事情でございまして。直接ご判断を仰ぎたく参上いたしました――」
ここまで問答し、ようやく頭を上げる。『名』を呼ぶ際には相手の顔を見る。これはこの国での常識である。
先が赤く染まった白い髪。特徴的である。整えられた目と鼻、口。誰が見ても、『美しい』と形容する白磁器のような肌。表情は穏やかで、人懐こい印象を受ける。しかしその視線は、『上に立つ者』の格が伺えるような鋭さを持っている。
「――ファルカ・キルシュトルテお嬢様」
西方魔領領主の息女。今年で17になる我らが姫。ファルカは落ち着いた様子で、報告に来た男の次の言葉を待った。
――
――
ファルカ・キルシュトルテ。私の名前。『世界を自由に飛び回る』と名付けられた。もう、15で成人して2年が経つ。病気で伏せがちな父の代わりに、西方領の自治をしている。私の目的は領の目的と同じ。『皆が生き、栄えること』。その為には、この豊かな土地と騎士団が必要だ。騎士団の運営も私の仕事。領民を魔物などの外敵から守らなくてはならない。領地は決して狭くない。私は日々、領内を駆け回って居る。
今日は久々に大屋敷に戻り、都への報告書を纏めていた。四半期に一度、収穫した作物の種類と量を報告するのだ。それによって、納める税が決まる。この西方領は豊かであるため、『額』ではなく『割合』で税を納めさせられている。それでも他の地方より豊かであるため、別に構わないのだけれど。
税は必要だ。私は農業や狩猟の知識こそあれど、実際にはできない。その時間も無い。代わりに、騎士団を運用し、都との折衝もし、それにより領地と領民を守る。『だから』領民から、税を頂いている。持ちつ持たれつ。社会の構造はそうなっている。私や騎士団が居なければ、魔物に襲われてすぐに領地はまた昔のように禁断の地と戻るだろう。
魔物。世界のヒエラルキーでは動物の『上』に位置する存在。超自然的な力を持つ怪物。この西方領にも無数に存在している。領内にもちらほらと魔物の出現する領域があり、また一歩外へ出ればもう魔物の巣窟である。魔物の話題には敏感にならなければならない。奴等はいつでも、この土地の奪還を狙っている。曾祖父の代で築き上げたこのキルシュトルテ領を、私の代で滅ぼされる訳には行かない。
――
「危機管理部。……不審な人物。……それは、どのような事情でしょうか」
特に、私が力を入れているのが彼らの所属する『危機管理部』だ。この部署は人数が少ないが、領を囲む防壁や危険地帯の近くに配属され、『何か』あればすぐに私へ報告できるよう人員配置と連携体制を執っている。問題が発生すればすぐに対処する。でなければ『喰われる』のは自分達なのだ。危険な場所に『家』を建てた以上、その危機は自分で管理しなければならない。
「えーとですね。……説明が難しいのですが、まず、見たことの無い衣服を身に付けていまして」
「衣服」
「ええ。王国の物では無く、隣国にも似たような服はありません。構造も、何やら不可解な物で」
「……不可解」
報告に来たと言うのに、言葉がしどろもどろになっている。これは彼が報告の準備を怠ったのか、本当に『不可解』なことが起きているのか。後者の方があり得る。そもそも不審な人物という点でおかしい。外からこの領へ入るには『人間界側』からしか来ないし、入り口もひとつ。さらには事前申請が必要で、『私が許可を出している』筈だからだ。
「さらには言葉も通じません。大陸語では無いようなのです」
「……言葉が」
西方領は、人の生活圏である『人間界』の西端に存在する。それより西側は魔物の世界『魔界』であるのだ。だから侵入したとしても『西の森』で見付かるのはおかしい。彼らはそう言いたいのだろう。
「見た目は成人男性です。お嬢様と同じくらいでしょうか。落ち着いており、敵意もありません。武器も持たず。何やら四角い『板』のような道具を持っており、その面を指でつつく動作をするのが特徴的で。しかも建物へ入ると何故か靴を脱ぐのです。何もかも、我々と、こう……『文化』が違うような」
矢継ぎ早に情報を並べる。私はその中で気になる点はまずひとつだった。
「武器を……持たず?」
「はい。お嬢様も深くご存じと思いますが『小洒落た森』の『魔物遭遇率』は『100%』。そんな森へ丸腰で入るなどもっての他。自殺行為です」
だけど、その男性は森に居た。
「発見時は?」
「定期巡回をしていた一等女性騎士が、森の奥深くで発見しました。その際既に『ユニコーン』に襲われておりましたが、彼女がこれを討伐。この戦闘での怪我人はおりません」
「森の女性騎士というと……」
「シャルロッテ・ホルンシュタインです」
「そう……ですか」
私はシャルロッテとは顔見知りだ。と言っても、騎士全員私を知っているのだが。私は森のある領西部へ視察へ向かった際には必ず彼女と食事をしている。年齢が22と私より少し上で、姉のように思っているのだ。
「……それで、その男性を保護したのですね」
「はっ。ですがこのようなケースは初めてでして。どうすれば良いか……」
通常、侵入者は捕らえて投獄だ。もしくは、どこかの国や都が探しているお尋ね者ならそちらへ引き渡し。だけどこの西方領へ侵入してくる者はまず居ない。その上、その男性は外から侵入したのではなく、『領内の森で見付かった』。丸腰で『奥深く』へなど行ける筈は無い。それに、森の周囲には櫓がある。森への侵入すら見逃す筈は無い。
「……分かりました。私が会いましょう。言葉については、『魔道具』があります」
「!」
私は立ち上がった。何にせよ領内の問題だ。それによって民が困っている。ならば私が解決しなければならない。
その男性が無害ならば、問題は無い。彼の言葉を聞き、どこか帰る場所があるなら送ってあげよう。ここに住むのならそれでも良い。『小洒落た森』へ丸腰で入る胆力は素晴らしい。良い騎士になりそうだ。
……少し楽観的だろうか。相手は『未知』の存在だ。油断はしないようにしよう。
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