杜の国の王〜この子を守るためならなんだって〜

第3章 身代わり

第117話 愛をこめて

「ふんふふ～ん♪ ふんふ～ん♪」

　(今日の姫様は随分とご機嫌だな。…いや、今日というよりゾン君とルアちゃんと出会ってからか。私の知る姫様は能面といった表現が適切なほど感情を表に出さなかった。今思うと他人と交流する時に浮かべてた笑顔も作り笑顔だったのだと分かる。本当の姫様の笑顔はこんなにも美しいのだから。)

「マーシャ、味付けは薄めと濃いめどちらがいいかしらね？」

「む…なかなか難しいですね。ですが今回は薄めでどうでしょう？次回料理を振る舞う時に濃いめから薄めの味だと何か物足りなさを感じるかもしれません。それならば最初は薄味で次回濃いめを作るのはいかがですか？」

「名案だわ！料理を振る舞うのは今回限りではないのだし次回に取っておきましょう！味付けも決まった事だし…後は栄養ね！ゾン君とルアちゃんは成長期だからちゃんとバランスを考えないとね。」

　☆

「お待たせしました！いっぱい作ったから遠慮なく食べてくださいね！」

「おいしそー！」

「いい匂い。」

　(これがエルフ族の食事か…エルフ族らしく豊富な山菜に動物のであろう肉。ただ肉の上にふりかかってる小さな粉の粒たちはなんだろうな？普通に焼くより香ばしいいい匂いが引き立てられていて食べるのが楽しみだな。)

「それじゃあ頂こうか。」

「「「頂きます！！！」」」

「んー！このお野菜甘くて美味しいー！」

「うふふっ、そのお野菜は適切な時間茹でると甘くなるのよ。」

「お肉も美味しい。なんだかピリッとした辛さがお肉とあっててお肉の生臭さも無い。」

「ほんとだ、これは美味い。いったいどんな工夫をしたんだ？」

「ふふっ、喜んでくれて何よりですわ。お肉にはヘパーという植物を使っているんです。へパーのまだ熟していない果実の部分を天日干しにする事で良い調味料となるのです。」

「へー、それは良い事を聞いた。調味料など今まで気にした事がなかった。さすが自然と共に生きる種族と呼ばれるだけあって、植物の活用方法などはお手のものだな。」

「ホーンさんもエリンさんも護衛の人たちも食べよー？みんなで食べた方が美味しいよー？」

「ふふふっ、そうですね。」