杜の国の王〜この子を守るためならなんだって〜

メロのん

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第3章 身代わり

第114話 本題

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「さて、もうそろそろ戻るとするか。」

「そうだな、私たちとしても有意義な時間だった。私も魔法の腕には自信があったのだが、まだまだ上を目指せることを知れて良かった。」

「俺ももっと鍛えなければな。」

「あんたは頭の方も鍛えるべきね。」

「なんだと!」

 ゾンとルアたちはしばらくの間4人だけの時間が必要だろうと、サハンとの戦闘後も談笑していた。

 2人についても色々と知ることが出来た。サハンは魔法が自由に扱えないながらも、自慢の弓を活かして狩った動物の功績から護衛に抜擢され、エルフ族の中でもかなり異端らしい。

 生まれながらに魔法は上手く扱えなかったらしいが、周りと違う体質でもめげずに努力し続けてきたその人柄は大したものだ。こういった人間は逆境に強くかなり重宝できる。護衛として身近に置いておくのは妥当な判断だろうな。

 反対にマーシャは魔法が大の得意らしく、魔法の腕を買われての護衛に抜擢されたのだとか。

 確かに高い腕前ではあるが魔物を相手するとなると心許ない実力だ。ただし向上心の塊のようで何度も魔法について詳しく聞かれた。

 エルフ族は様々な魔法をより強力に放てることを重視しているらしく、魔法の発動が不効率だったのでそこを指摘してやると目を輝かせて感謝された。

 なんか…冷徹な印象を最初に持っていたが魔法に対してはこんな感情を露わにするんだな。

 僕たちがお互いのことを知れたように、向こうもお互いのことを十分に話し合えただろうか。

 ☆

「王よ、サハンです。中に入ってもよろしいでしょうか?」

「ああ、構わぬ。」

「あー!ウカノおかえりー!」

「ただいま2人とも。色々と話せたかい?」

「「うん!」」

 (2人の表情を見る限りわだかまりなく話せたようで良かった。エリンの目元が腫れているがそれだけの事を話せたんだろうな。)

「ウカノ殿よ、改めて感謝を。我らの子どもを助け、育ててくれて感謝する。」

「私からもありがとうございます。そして……これからも2人をよろしくお願いします…」

「いいんだな?」

「ええ勿論です。ゾン君とルアちゃんは今まで通りにウカノさんと住んでいる方が良いと話し合った結果纏まりました。ただ……3人が良ければこれからも会いにきてくれれば……」

「もちろんだよー!」

「いつでも会いにくるよ。」

「ほんと!?」

「「うん!」」

 (本来の目的とはかなりズレたが、結果的に2人のためになって良かったな。)



「そういえばヒト族の国へ向かっていたと言っていたが何か理由が?」

「あー、そうだな。」

「何か困り事などあれば力になれるかも知れないぞ?」

「確かにそうだな。何か手掛かりが得られれば良いしな。実は呪いに関しての手がかりを求めてヒト族の国を目指していたのだが、呪いに関して何か知ってることはあるか?」

「呪い…」

「森の中に呪いと思わしき痕跡があってな。ちょうどエルフ族の集落がある森の東側に呪いの痕跡があり、そこだけ生き物の気配が完全に消えていた。もしかしたらヒト族が森への侵入を試みるために何らかの策を講じたのかもと思ってヒト族の国を目指していたんだが。」

「呪いに関しては分からないが、ヒト族がそんな事をしているとは到底思えんな。」

「その根拠を聞いても?」

「確かにヒト族が森の資源を求めて何度も画策しているとは聞いている。最近でも策を講じていたが失敗したはずだ。これはヒト族の国へ紛れ込ませた者からの情報だから確かだ。もし本当に森の生き物をどうにか出来る策があるのだとしたらもっと話題になっているはずだ。」

「そうか…となると手掛かりは無しか。それにしてもヒト族の国へ紛れ込ませたりするんだな。」

「昔からヒト族との間にはいざこざがあってな。何が起きても良いようにしているのだよ。」

「何とも周到なことで。」

「そういえば…」

「どうしたエリン?」

「今回な事とは関係ないかもしれないんですけど、呪いに関する話を聞いたことがあります。」

「本当か!?今は手がかりも何もない状況だ。少しの事でも教えてくれ。」

「私が呪いという単語を聞いたのは、魔女と呼ばれたエルフ族の逸話です。」
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