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第3章 身代わり
第73話 一人前
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文字通り命を賭けた必死の一撃。使わねばならないほど傷を負ったわけではない。ただ攻撃が当たらず為す術ない現状を打開するための一撃。どこから攻撃されているのか分からないなら目の前の相手を潰してからそちらに収集すればいい。そう考えたのだろう。目の前に敵がいるのに構わず口元に膨大な魔力を溜め始める。
だがそれをやすやすと見過ごすゾンではない。ゾンも相手に呼応するかのように魔力を一箇所に集める。今まで魔力を分散させ複数の魔法を顕現させていた。それを纏めたものよりも更に濃度の濃い魔力。そして魔法を顕現させる。
それは今までよりも大きさも魔力の濃度も上の炎の玉が1つ。確かに威力は今までと桁違いだ。この森に来て僕が初めて戦闘を行った牛の動物。あれくらいの生き物ならばその魔法1つで命を奪える。それほど威力の高い魔法だ。
しかし相手は今までゾンの魔法で致命傷すら負わせられなかった相手だ。ゾンの魔法がいくら威力が高かろうがそれで相手を倒せるとは安易すぎる考えだぞ。これしか手がないのだとしたらいよいよ危ないかもな。いつでも助けに入れるようにしておくべきだろう。
そして相手よりも早くに魔法を完成させ放つゾン。相手としても放たれた魔法を一瞥するも大したダメージにならないと微動だにしない。
だがその時ニヤリ、とゾンが笑う。まるでそれが狙い通りというように。
放たれた炎の玉は相手を狙ったかと思いきや相手の頭上まで飛んでいく。そしてその時別方向からゾンの魔法と匹敵するほどの魔力の塊飛んできた。
目に見えない魔力の塊…ルアか。
そう思い当たった時、ゾンの魔法とルアの魔法が相手の真上で衝突し目を開けていられないほどの光が周囲を包む。
「グルァァァァァァ!!!」
そして目を開けたそこには巨大な、天を貫く炎の竜巻が相手を包み込んでいた。
はははっ…なんだこれは……
魔法と魔法がぶつかって強力な魔法となった?いや、魔法同士がぶつかればより強力な魔法が残り、弱い方は消失するはずだ。
もし全く同じ魔力量なら…可能なのか?
誰もが考え付かなかった方法。誰かに教えられたわけでもなく自分たちで編み出した方法。1人での力が弱いなら2人で。2人の創造力に驚かされるとはな…
少し経って竜巻が消失したそこにはすっかり生き絶えた狼の魔物の姿があった。僕には命の光が見えるから生き絶えたと分かるが、それが分からないゾンとルアはまだ警戒している。
「おめでとうゾン、ルア、すでに生き絶えたよ。」
「やったねルア!」
「うん!私たちだけで出来たね!」
姿を隠していたルアがやってきて2人で抱き合う。大したもんだよほんとに。最初は魔物ではなく動物を狩るという選択肢もあった。ただ2人にとって動物はそこまで苦戦する相手ではない。多少危険でも僕たちが助けに入れるということで魔物相手を選んだのだが、それでも僕の想像を軽く超えてきた。
将来は歴史に名を残す魔法使いとして名を残しても何もおかしくはないな。
だがそれをやすやすと見過ごすゾンではない。ゾンも相手に呼応するかのように魔力を一箇所に集める。今まで魔力を分散させ複数の魔法を顕現させていた。それを纏めたものよりも更に濃度の濃い魔力。そして魔法を顕現させる。
それは今までよりも大きさも魔力の濃度も上の炎の玉が1つ。確かに威力は今までと桁違いだ。この森に来て僕が初めて戦闘を行った牛の動物。あれくらいの生き物ならばその魔法1つで命を奪える。それほど威力の高い魔法だ。
しかし相手は今までゾンの魔法で致命傷すら負わせられなかった相手だ。ゾンの魔法がいくら威力が高かろうがそれで相手を倒せるとは安易すぎる考えだぞ。これしか手がないのだとしたらいよいよ危ないかもな。いつでも助けに入れるようにしておくべきだろう。
そして相手よりも早くに魔法を完成させ放つゾン。相手としても放たれた魔法を一瞥するも大したダメージにならないと微動だにしない。
だがその時ニヤリ、とゾンが笑う。まるでそれが狙い通りというように。
放たれた炎の玉は相手を狙ったかと思いきや相手の頭上まで飛んでいく。そしてその時別方向からゾンの魔法と匹敵するほどの魔力の塊飛んできた。
目に見えない魔力の塊…ルアか。
そう思い当たった時、ゾンの魔法とルアの魔法が相手の真上で衝突し目を開けていられないほどの光が周囲を包む。
「グルァァァァァァ!!!」
そして目を開けたそこには巨大な、天を貫く炎の竜巻が相手を包み込んでいた。
はははっ…なんだこれは……
魔法と魔法がぶつかって強力な魔法となった?いや、魔法同士がぶつかればより強力な魔法が残り、弱い方は消失するはずだ。
もし全く同じ魔力量なら…可能なのか?
誰もが考え付かなかった方法。誰かに教えられたわけでもなく自分たちで編み出した方法。1人での力が弱いなら2人で。2人の創造力に驚かされるとはな…
少し経って竜巻が消失したそこにはすっかり生き絶えた狼の魔物の姿があった。僕には命の光が見えるから生き絶えたと分かるが、それが分からないゾンとルアはまだ警戒している。
「おめでとうゾン、ルア、すでに生き絶えたよ。」
「やったねルア!」
「うん!私たちだけで出来たね!」
姿を隠していたルアがやってきて2人で抱き合う。大したもんだよほんとに。最初は魔物ではなく動物を狩るという選択肢もあった。ただ2人にとって動物はそこまで苦戦する相手ではない。多少危険でも僕たちが助けに入れるということで魔物相手を選んだのだが、それでも僕の想像を軽く超えてきた。
将来は歴史に名を残す魔法使いとして名を残しても何もおかしくはないな。
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