杜の国の王〜この子を守るためならなんだって〜

メロのん

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第2章 拠点開発

第59話 なんだかやる気のヨタドリたち

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 ぺろぺろ…

 ぺろぺろ……ぺろ

「んう…ん、おはようテン。」

「キュキュ!」

 まだ日が出始めてから数時間といったところか。欲を言うならもう少し寝ていたいのだがどうやらテンはそれを許してくれないようだ。まだ体を起こすのは気怠いので上に乗ってるテンを撫でながら眠気を覚まし、昨日何をしたかを思い出す。

 何をしたっけか、そう今日の出来事を思い出す内に少し離れたところに複数の気配を感じ思い当たる。そうだ、大蜘蛛が見た事ない魔物を大樹の裏側に見かけたといってその確認に行ったんだ。そこでヨタドリたちと出会いなんやかんやで一緒にすむ事になったんだった。

 思い出した所でまずはヨタドリたちの様子を確認しに行こうかと本日最初の行動を決める。もう少し横になっていたい思いを捨て去りいまだ気怠い体を起こす。

「キュイー…」

「また撫でてやるからそう落ち込むな。」

「キュ!」

 僕としてもあのままテンを撫で続けたかったが断腸の思いで撫でるのをやめる。

 まだ朝も早いためゾンとルアは羊に寄りかかりながら2人くっついて寝ている。そんな2人の愛らしい姿に思わず頭を撫でる。

「「んぅ」」

 どうして幼い子供はこんなに可愛いのだろうか。例え本当の血が繋がってなくてもこの愛に偽りはない。

 さて、2人の可愛さに囚われてしまっていたがそろそろヨタドリの様子を見に行こう。

「ヨタドリの様子を見にいくけどテンも行くかい?」

「キュ!」

 テンは当然!とばかりに僕の左肩に乗りかかってくる。

 ヨタドリたちの居場所へは簡単に行ける。僕らが住んでる場所とヨタドリの住んでる場所は廊下を繋げているから外に出る必要はない。なのでこの家に入る時とは逆方向についてる扉から渡り廊下へと出て、ヨタドリの棲む場所へと向かう。

 気配から察するに全員その場に留まっているようだがまだ寝ているのだろうか。数分ほど歩きヨタドリの棲み家へと到着する。

 扉を開けるとその場に立ちすくんでいるヨダドリたちの姿がある。なんだ起きているのか。その場に留まっている気配しか感じなかったからてっきり寝ているのかと思っていたが、そういえばヨタドリと出会った時もその場で立ったまま身動きしていなかったと思い出す。

「もう起きていたんだな。おはようヨタドリたち。」

「…キュ?」

 あれ、声をかけても反応が無い。1番扉に近いヨタドリに近づき顔を確認すると、どうやらまだ眠っているようだ。立っているから起きていると思ったがヨタドリは立ったまま寝るのか…いや、雪フクロウも立ったまま寝るから鳥ならそこまで驚くことではないか。

 空を飛べない事や水中を華麗に泳ぐ姿から、頭からその可能性を捨て去っていたがこれで鳥に関する種族というのが高まったな。

「クァ…?」

 僕たちの存在を察知した群れの中でも1番大きな個体が目を覚ました。ただ寝起きだからかかなり眠そうだ。半開きの目を開け、左右に何度かキョロキョロと首を振り僕たちの姿を捉える。

「おはよう。みんなの様子を確認しにきたのだが大丈夫そあだな。」

「クァ!」

「「「クァ……?」」」

「おっと、起こしてしまってすまないな。まだ朝も早いし眠いなら寝てていいぞ。」

「クアァ」

 どうやらもういいらしい。お邪魔かと思って外に出ようとしたらヨタドリたちもくっついて来た。

 外に出て空間魔法で川を渡り大樹の元へと向かう。ヨタドリたちは初めて見る転移に驚き戸惑っていたが、次の瞬間には慌てたように水を渡って僕の元へと来る。大樹の元へと着いたら根元に腰を下ろし日光を浴びる。葉の隙間から程よく降り注ぐ日光が気持ちよく、1番のお気に入りスポットなのだ。

「キュイー…」

 僕の膝の上で丸まり、撫でられるがままのテンも気持ちよさそうに声を出している。

 さてさて、こうしてゆっくりしてるのもいいが今日はどうしようか。本来であれば狩りはまだする予定では無かったのだが、ヨタドリたちが思いがけず一緒にすむ事になったので食料を補充する必要があるな。

「今日は仮に行こうかテン。」

「キュキュイ!」

「クァ?」

「キュキュ キュイ」

「クァクァ!」

 なんだ?少しテンと会話をしたヨタドリが興奮し始めた。

「まさか狩りに一緒に行きたいのか?」

「クァ!」

 やはりそうっぽいな。もしかして実は好戦的なのか?やる気になっているのは良いがヨタドリは本当に戦えるのだろうか。
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