杜の国の王〜この子を守るためならなんだって〜

メロのん

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第2章 拠点開発

第47話 異文化

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 やはり目の前にあるのは家なのだろう。その大きさがおよそ6メートルという巨大さにさえ目をつぶれば僕らヒト族の家とそんなに変わりはない。ただそのデカさがあり得ないほどに違うだけで。

 そんなデカい家が集まった正に集落というべき中を進んでいくと、おそらく大蛇が僕たちをここに連れてきたであろう目的が見えて来た。

「「ひとがいっぱいいるね。」」

「ああ、だがどうにも……」

 ある程度前から複数の生物の気配が集まっているのは感じていた。ここに集落があることからも、この集落を建てた存在たちが居るのだろうとは予想していた。だがまさかというべきか、やはりというべきかその存在の正体は……巨人だった。

 まだ距離はあるが目算で小さい者で3メートル、大きい者は5メートルほどありそうだ。そんな存在たちがある程度近づいたというのにこちらに気づく様子はなく、集落の中心に集まっている。人が集まりすぎていて見えづらいがその中心には怪我人が複数人横たわっている。

「シュー」

「「「「「ッ!?」」」」」

 バッ

 大蛇の声でようやくこちらの存在に気付いた巨人たちは、大蛇の存在を確認するやいなや膝を地面に突きこうべ垂れる姿勢で固まってしまった。

「このひとたちどうしたのー?」

「分からないがこの大蛇が巨人たちにとって特別な存在なんだろうな。」

「はやくあのひとたちを助けないと。」

「だな。」

 大蛇が怪我人の前で止まる。ここまでされたら大蛇と会話できないといっても大蛇が連れて来た理由は分かる。

 怪我人は全員で5人。体格はこれまで見た巨人たちの中でも良く、体のあちこちに魔物につけられたであろう引っ掻き傷や打撲痕が見られる。流血がかなりひどいのだろう、顔色が悪く命の光もかなり弱々しい。これは急いで手当をしなければいけないだろう。

「ルア、この回復薬を飲ませてやってくれ。適量は分かるな?」

「うん。」

「ゾンは傷口を水で洗い流してくれ。」

「分かった!」

 異空間にしまってある、今まで出番の少なかった回復薬をルアに渡して飲ませてもらう。ルアと共に作ったのもあって扱いも理解している。

 僕はその間に回復魔法を怪我人にかけ始める。今となっては回復魔法をかける機会はほとんど無くなったが、いざという時のためにずっと練度を高めていた。ゾンとルアが赤子の頃はちょっとした傷が致命傷になる可能性もあったからな。そのおかげで今となっては空間魔法の次に得意な魔法だ。

 僕らが怪我人の手当てをしている時、大蛇に頭を垂れていた巨人たちは頭を上げ、ウカノたちの様子を固唾を飲んで見守っていた。自分たちの崇拝している双頭の大蛇が連れて来た存在。そんな存在が自分たちに危害を加える訳は無いと思っていたが、自分たちがどうすることもできなかった同胞たちを救えるのかは疑問だった。

 自分たちより小さき存在が、見たこともない力や物体を用いて同胞たちを治療していく。何が起こっているのか詳しいことは分からないが、そん存在たちが治療していくにつれ怪我をした同胞たちの呼吸は安定し始めてきた。その様子に思わず安堵する。

 そして治療を終えたのだろう。小さき者たちがその手を止めてこちらに振り返る。それに対して自分たちはその者たちに対して頭を垂れるのであった。
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