杜の国の王〜この子を守るためならなんだって〜

メロのん

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第2章 拠点開発

第43話 初めての狩り

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「今日は一緒に狩りに行こうか」

「やったー!」

「私達が狩るの?凄い不安……」

「狩るのはテンだけだ。2人にはそれを見て狩りとはどんなものかを知ってもらう。」

「なんだー、早く僕も狩りに参加できるようになりたーい!」

「私は狩りはあんまりかな……。」

 2人にとってこの狩りが刺激になることは間違い無いだろう。2人とも命のやり取りを知らないから今はまだ狩りというのを軽いものだと捉えているだろう。正直まだ幼い2人に命のやり取りを見せるのは気が早いかもしれない。それでも自然の中で生きる以上いつか経験しなければいけないのだ。

 ここ最近ゾンとルアの成長について考える事が増えた。今までも2人が言葉を早く覚えるためにたくさん語りかけたし、健やかに育つように運動もさせた。魔法も2人が興味を持ったものは僕に教えられるものは教えた。

 子供にとって経験とは成長する1番の要因だと感じた。だからこそ少し早くても経験させるべきだろう。それがショックを受けるものだとしてもそれもまた2人を成長させる良い経験になるだろう。

 ☆

 僕とテンとゾンとルアで狩りのスポットへと転移し今は獲物を探している。2人には森の歩き方、気配の消し方を事前に教えており、一生懸命実践しようとしている。ただなかなか難しいらしく手間取っている。

 そういえばテンも最初は全く気配を消すことが出来なかったな。今でこそなんて事のないように気配を消せるが、あの時はできた?って何度も僕の顔を見て来たな。きっと褒められたかったんだろうが可愛かったな。

「キュ」

 おっと、昔のことを考えていたら獲物を見つけたようだ。あいつは狼型の魔物だな。

「ゾン、ルア、あいつが今回の獲物だ。あいつは身体強化に炎の魔法を扱う。今回は知った魔物だからいいが、知らない魔物の場合はどんな魔法を扱うかの確認は絶対にするんだ。それが自身の安全に直結する。」

「「う、うん……。」」

 どうやらあの魔物に気圧されているようだ。今までの魔物は2人に友好的なものしか居なかったから、獲物を探し気が立っている魔物は初めてだからな。

「テン任せた。」

「キュイ」

 相手に一方的に気付いてるというアドバンテージを活かし、樹の上から奇襲を仕掛ける。炎の玉を相手の腰あたりに発火し、テン自身は相手の正面へ周る。相手としては自身に発火された火を気にしたいが、そちらを気にすると正面の敵に隙を見せることになるため注意を逸せなくなっている。

「グルルルルルル!」

 結局自身の火を消すことより目の前の敵を倒すことを優先したようだ。すぐに身体強化を発動させテンへと掴みにかかる。だが速さでテンに敵うはずもなく、テンは避けるついでに更に火の玉を相手にぶつける余裕がある。

「グアアアア!」

 敵を捕まえられないことに苛立ち始めたのだろう。捕まえられないなら遠距離で攻撃すればいいとばかりに口元に魔力を集める。身体強化も部位に魔力を集めるが、それとは比にならないくらいの魔力を凝縮させる。そしてかなりの魔力が集まった時、狼の魔物から炎属性のブレスが放たれる。

「「ひっ……」」

 喰らえば命の危険がある攻撃とはいえ喰らわなければ意味がない。テンなら簡単に避けれるが、避けてしまうと森への被害が甚大なものになってしまう。そのためテンが取る行動は相手の魔法を打ち消す事。テンの目の前に迫る炎のブレスだがテンに当たることは無く、何かに当たってるわけでもないのに消えていく。

 やっている事はシンプルだ。相手の魔法に自分の魔力をぶつけ、制御権を奪い霧散させているだけだ。シンプルではあるがそれをやれるモノなんてテン位なものだろうと言えるくらいに難しいのだが。

「グルウ……」

 相手の決死の一撃が無駄に終わった。こうなればもう勝負は決まったものだ。奥の手も使い果たした相手はやがて為す術もなくテンに倒された。

「キュイー!」

「お疲れ様テン」

「「……」」
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