杜の国の王〜この子を守るためならなんだって〜

第1章 安住の地を求めて

閑話 名付けと覚悟

「ねえウカノ」

「ルアか、どうした？」

「雪フクロウたちの名前ってなんで一緒なの？」

「ん？」

「だって、私とゾンの名前は違うのに、雪フクロウたちは一緒だから呼びづらいなって」

「ああそういうことか。雪フクロウは名前じゃないんだよ。」

「「どういうこと？」」

「雪フクロウも羊も大蜘蛛も種族名だね。とはいっても僕が勝手にそう呼んでるだけなんだけどね。」

「なんで名前をつけてあげないの？」

「名前で呼ばれると嬉しいよ？」

「そうだなあ。2人は命の重さを理解してるかい？」

「「命の重さ？」」

「普段僕らが食べているお肉はこの森に生きている生き物を狩って頂いているんだよ。」

「うん、テンが狩ってきてくれてるんだよね。」

「僕も早く狩りにいきたい！」

「僕たちは生き物の命を頂いてるんだということを忘れちゃいけないよ。だからこの森で生きていく上で無闇に命を奪ってはいけない。食料として頂く時か、相手が襲ってきた時やどうしようもない時だけしか命を奪ってはいけないよ。」

「「うん……」」

　「僕はね2人にも命を軽くみて欲しくないんだ。それは命を奪う時だけじゃない。共に暮らす事だってそうなんだ。もし2人は雪フクロウと羊がとても強い魔物に襲われてたらどうする？」

「「助けたい……」」

「2人が雪フクロウと羊を好きだからそう思うんだよね？」

「「うん！」」

「でもね好きだからっていうのと、覚悟は違うものなんだよ。名前を付けるっていうのは共に生きる覚悟の１だと思ってる。だから2人が成長して覚悟が出来た時に名前を付けてやってくれないか？きっと雪フクロウも羊も喜んでくれるさ。」

「「分かった！」」

「「ホホー！」」

「メエ～！」

「ゾンとルアの名前も僕が覚悟を持って付けたんだよ。2人がどんな危険に陥っても絶対に助けるからね。」

「「ウカノ！」」

　両脇からゾンとルアが抱きついてきたので抱きしめてやる。

「キュ！　キュキュキュ！」

「テンもおいで。」

「キュイ！」