13 / 132
第1章 安住の地を求めて
第13話 お隣さんが出来ました
しおりを挟む
「キュイ! キュキュイ! キュキュキュイ!」
テンの声で目が覚める。だがテンがいないなと周りを見渡すと、壁を蹴りながら洞窟を駆け回っていた。もしかして命を結合したから元気が有り余っているのか?まあ元気に越した事はないか。
「おはよう。今から肉を焼くから待っててな。」
「キュイ!」
そうして準備をした後、洞窟から出る。今日は森の雰囲気は元に戻っているな。この様子だとあの大蜘蛛もなんとか回復したのだろう。
昨日は肉を大蜘蛛まで何度も運んでいたためそれで1日が過ぎてしまった。今日は昨日できなかった果物と植物の採集をしよう。
動物が食べていた果物やキノコを集める。なかには紫色の、明らかに毒を持っていますよというキノコもあるが、動物達ご食べていたからきっと食べれるのだろう。
他にも薬草を集める。調合する技術は無いが錬金術でポーションにする事は出来る。魔力切れを起こした時などの非常時に持っておきたい。
持ってきたカバンがいっぱいになってきたので一旦帰ろうときた時、ふと前方から感じたことのない気配を感じた。
「キューキュー」
木の上から偵察していたテンも感じたようだ。
最初はあちらの気配がフラフラとしていたが、やがてこちらに1直線に近づいてくる。
相手もこちらを捉えたようだ。逃げる事はできるだろうが、相手の情報は持っておきたいためまだ様子見する。
ふと相手の気配が大きくなった。ん?この気配は昨日の大蜘蛛か?
もしかして昨日の僕を真似て、敵意がない事をアピールする為に気配を敢えて出したのだろうか。だとしたらこのままで大丈夫だろう。
姿を現したのはやはり大蜘蛛だった。そしてこちらとの距離が10メートルほどの所でその場に座った。ふむ、どうしたのだろうか。
大蜘蛛を観察するが昨日よりも命の光が強くなっているし元気になったのだろう。
わざわざ僕を探していたようだけどまだご飯が足りないとか?
採った果物をみせる。お?ちょっと物欲しげな視線を送ったかな?しょうがない。自分達の為に取ったのだがあげてやろう。一応水魔法で洗って、
「シャ!」
「キュ!?」
うわっ、びっくりした。僕が水魔法を使った瞬間大蜘蛛が勢いよく立ち上がった。すぐにその場に座ったが視線は下に落ちた水に固定されている。
なるほどな。きっと水を探していたんだな。そこで僕の気配を感じ取ったから水がもらえるかもと思ったのかもしれない。
こちらに敵意はないようだし大蜘蛛へと近づく。口元の鎌は1メートル程の長さでギザギザとしており、こんなもので挟まれたらひとたまりもないだろう。
8つある目も1つ1つが別の場所を見れるようだしどんな些細な動きでも逃さなそうだ。教わらないだろうと思いつつもやはり恐ろしいな。
手を伸ばせば届く距離まで来た。大蜘蛛は動こうとはしない。
水球を生成し口元へと運んでやる。水球を生成した時からソワソワし始め、口元運ぶと勢いよく飲み始めた。
こうしてみると愛嬌があるな。テンもお腹が空いている時はガムシャラに肉にかぶりついていたからな。
「キュ!?」
水を飲み終え満足したようなので帰ろうとすると、大蜘蛛も後ろをついてくる。
「どうした?ついてきたいのか?」
「シャァ」
なんとなく付いてきたそうな意志を感じた。まあ分かる。こいつの状況を考えるに、食事と水をくれる存在が近くにいるとありがたいのだろう。
水場はここから10分程の場所とそんなに遠くない。それなのに見つける事が出来ていないのならこいつの本来住んでた場所はこの辺りではないのだろう。
それがどういった理由なのかはわからない。大蜘蛛より強い生物が現れたのか、それとも巣を持たず転々と移動してるなかでたまたまこんな状況になったのか。
まあ1度助けた仲だ。それくらいはしてやるさ。
「ここが僕らの拠点だけど大蜘蛛はどうする?」
「シャア」
キョロキョロと周囲を見た後、周りより大きな木の上に登っていった。
まさかこの森で初めて仲良くするのが大蜘蛛とはな。
母様にも「困っているものがいたなら助けなさい」と言われたけど、まさか大蜘蛛とは驚くだろう。
ちょっと不思議な生き物と、ちょっと不思議なお隣さんと僕のこれから。どうなっていくのだろうか。
テンの声で目が覚める。だがテンがいないなと周りを見渡すと、壁を蹴りながら洞窟を駆け回っていた。もしかして命を結合したから元気が有り余っているのか?まあ元気に越した事はないか。
「おはよう。今から肉を焼くから待っててな。」
「キュイ!」
そうして準備をした後、洞窟から出る。今日は森の雰囲気は元に戻っているな。この様子だとあの大蜘蛛もなんとか回復したのだろう。
昨日は肉を大蜘蛛まで何度も運んでいたためそれで1日が過ぎてしまった。今日は昨日できなかった果物と植物の採集をしよう。
動物が食べていた果物やキノコを集める。なかには紫色の、明らかに毒を持っていますよというキノコもあるが、動物達ご食べていたからきっと食べれるのだろう。
他にも薬草を集める。調合する技術は無いが錬金術でポーションにする事は出来る。魔力切れを起こした時などの非常時に持っておきたい。
持ってきたカバンがいっぱいになってきたので一旦帰ろうときた時、ふと前方から感じたことのない気配を感じた。
「キューキュー」
木の上から偵察していたテンも感じたようだ。
最初はあちらの気配がフラフラとしていたが、やがてこちらに1直線に近づいてくる。
相手もこちらを捉えたようだ。逃げる事はできるだろうが、相手の情報は持っておきたいためまだ様子見する。
ふと相手の気配が大きくなった。ん?この気配は昨日の大蜘蛛か?
もしかして昨日の僕を真似て、敵意がない事をアピールする為に気配を敢えて出したのだろうか。だとしたらこのままで大丈夫だろう。
姿を現したのはやはり大蜘蛛だった。そしてこちらとの距離が10メートルほどの所でその場に座った。ふむ、どうしたのだろうか。
大蜘蛛を観察するが昨日よりも命の光が強くなっているし元気になったのだろう。
わざわざ僕を探していたようだけどまだご飯が足りないとか?
採った果物をみせる。お?ちょっと物欲しげな視線を送ったかな?しょうがない。自分達の為に取ったのだがあげてやろう。一応水魔法で洗って、
「シャ!」
「キュ!?」
うわっ、びっくりした。僕が水魔法を使った瞬間大蜘蛛が勢いよく立ち上がった。すぐにその場に座ったが視線は下に落ちた水に固定されている。
なるほどな。きっと水を探していたんだな。そこで僕の気配を感じ取ったから水がもらえるかもと思ったのかもしれない。
こちらに敵意はないようだし大蜘蛛へと近づく。口元の鎌は1メートル程の長さでギザギザとしており、こんなもので挟まれたらひとたまりもないだろう。
8つある目も1つ1つが別の場所を見れるようだしどんな些細な動きでも逃さなそうだ。教わらないだろうと思いつつもやはり恐ろしいな。
手を伸ばせば届く距離まで来た。大蜘蛛は動こうとはしない。
水球を生成し口元へと運んでやる。水球を生成した時からソワソワし始め、口元運ぶと勢いよく飲み始めた。
こうしてみると愛嬌があるな。テンもお腹が空いている時はガムシャラに肉にかぶりついていたからな。
「キュ!?」
水を飲み終え満足したようなので帰ろうとすると、大蜘蛛も後ろをついてくる。
「どうした?ついてきたいのか?」
「シャァ」
なんとなく付いてきたそうな意志を感じた。まあ分かる。こいつの状況を考えるに、食事と水をくれる存在が近くにいるとありがたいのだろう。
水場はここから10分程の場所とそんなに遠くない。それなのに見つける事が出来ていないのならこいつの本来住んでた場所はこの辺りではないのだろう。
それがどういった理由なのかはわからない。大蜘蛛より強い生物が現れたのか、それとも巣を持たず転々と移動してるなかでたまたまこんな状況になったのか。
まあ1度助けた仲だ。それくらいはしてやるさ。
「ここが僕らの拠点だけど大蜘蛛はどうする?」
「シャア」
キョロキョロと周囲を見た後、周りより大きな木の上に登っていった。
まさかこの森で初めて仲良くするのが大蜘蛛とはな。
母様にも「困っているものがいたなら助けなさい」と言われたけど、まさか大蜘蛛とは驚くだろう。
ちょっと不思議な生き物と、ちょっと不思議なお隣さんと僕のこれから。どうなっていくのだろうか。
10
お気に入りに追加
132
あなたにおすすめの小説


巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる